為替管理制度

最終更新日:2016年10月14日

管轄官庁/中央銀行

マレーシア中央銀行(Central Bank of Malaysia/Bank Negara Malaysia)

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為替相場管理

複数通貨バスケット方式による変動相場制


マレーシアでは、新たな段階の金融サービスに対応するため、為替管理を規定する1953年外国為替管理法(Exchange Control Act 1953)をはじめ、1989年銀行・金融機関法(Banking Financial Institutions Act 1989)、1983年イスラム銀行法(Islamic Banking Act 1983)、1996年保険法(Insurance Act 1996)、2003年決済システム法(Payment Systems Act 2003)、1984年タカフル法(Takaful Act 1984)を2013年6月30日に廃止し、同日新たな2013年金融サービス法および2013年イスラム金融サービス法を施行した。

2013年金融サービス法 "Financial Service Act 2013" (5.89MB)
2013年イスラム金融サービス法 "Islamic Financial Service Act 2013" (6.24MB)

これにより、マレーシア中央銀行が過去に公布した為替管理通達(ECM通達)は同日をもって廃止され、それまでに出された通達内容で有効な外国為替管理規定(Foreign Exchange Administration (FEA) rules)の要旨を発表した。外国為替管理規定では、居住者と非居住者とを区別する。

「居住者」に適用される規定 "RULES APPLICABLE TO RESIDENTS"(125KB)

居住者の定義:
・マレーシア国民(マレーシア国外の領域の永住権を所持し、国外に居住する者を除く)
・マレーシアの永住権を所持し、定住する非マレーシア国民
・マレーシアで設立、登録、または認可された“人”(法人・非法人、本社・支店を問わず)

「非居住者」に適用される規定 "RULES APPLICABLE TO NON-RESIDENTS"(114KB)

非居住者の定義:
・居住者以外の個人
・居住者である会社の海外の支店・子会社・地域事務所・営業所・駐在員事務所
・大使館、領事館、高等弁務官事務所、超国家機関、国際機関、またはマレーシア国外の領域の永住権を所持し、国外に居住するマレーシア国民

貿易取引

非居住者に対する物およびサービスの支払いは、外国通貨またはリンギで行うことができる。

1. 決済通貨
非居住者に対する物およびサービスの支払いは、外国通貨またはリンギで行うことができる。

2. 輸出収益
輸出収益は、売買契約に規定される支払い方法に基づき、輸出日から6カ月以内に全額マレーシアに送金されなければならない。輸出収益の受取が6カ月を超える場合や非居住者との他の取引により相殺を行う場合は、中央銀行の承認が必要である。
輸出収益は、外国通貨で受領しリンギに交換するか、国内の認可銀行の輸出外貨口座(Foreign Currency Account:FCA)に保持されなければならない(FCAに保持される資金の額に制限なし)。居住者は、輸出収益をリンギまたは他の外国通貨と交換するために、国内の認可銀行と先物外国為替契約を交わすことができる。
年間輸出総収益が5,000万リンギ相当額を上回る居住輸出業者のみが、マレーシア中央銀行に四半期ごとに報告書を提出するよう義務付けられている。
報告書は、各四半期の最終日から21日以内に下記リンクを通じて銀行に提出する。
マレーシア中央銀行:外国為替管理部、物品輸出に関する報告書の提出"Central Bank of Malaysia/Bank Negara Malaysia, Foreign Exchange Administration, Submission of Report on Export of Goods外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"
リンギ建ての受領も可能だが、非居住者がマレーシア国内の認可銀行に保有するリンギ建ての外部口座、または国内の認可銀行グループの海外支店が保有する外部口座を通じて行われなければならない。

輸出収益のある居住会社は、マレーシア国内の他の居住会社に対する物品とサービスの決済を輸出で得た外貨で行うことが可能である。

貿易外取引

非居住者である個人および金融機関は、直接・間接にかかわらず、マレーシアの居住者に対し、預金や保険金を募ること、保険商品やその他の商品を提供することは認められていない。

資本取引

居住者は、非居住者に対するリンギ建てまたは外国通貨建ての支払いが20万リンギまでの場合は、中央銀行への報告は不要である。
居住者および非居住者は、リンギ通貨の持ち込み、持ち出しが1万ドル相当額まで認められ、外国通貨の持ち込み、持ち出しには制限がない。

1. 投資
(1) 非居住者によるマレーシアへの投資
直接投資家は、資本、収益、配当、利息、報酬、賃貸料を自由に本国へ送金することができる。非居住者は、その資産を居住者に、リンギ建てまたは外貨建てで売却することができる。ただし、マレーシア国外への送金は、外国通貨で行わなければならない。

(2) 居住者による海外投資
国内信用供与を得ていない居住者である企業および個人は、自由に海外に投資することができる。リンギ建て国内信用供与を得ている居住者は、外国を源泉とする資金の保有外国通貨で自由に海外に投資することができる。
さらに、株主資本10万リンギ以上で開業後1年以上の企業は同一企業グループ内で暦年で5,000万リンギまで、個人は同100万リンギまで、リンギを外国通貨に転換して海外投資を行うことができる。
2011年5月のさらなる緩和発表により、中央銀行により適格と判断された会社は、年間5,000万リンギの上限なしに一定の海外直接投資ができることとなった。
また、すべての居住者は外貨建て借入れ制限の範囲内で、調達した資金を使って海外投資ができる。

居住者である投資信託運用会社およびファンド運用会社は、非居住者、およびリンギ建て国内信用供与を得ていない居住者に帰属する純資産総額(Net Asset Value:NAV)または非居住者、およびリンギ建て国内信用供与を得ていない居住者のために運用する資金の100%を海外に投資することができる。リンギ建て国内信用供与を得ている居住者に帰属する資産またはリンギ建て国内信用供与を得ている居住者のために運用する資金については、イスラム法に則ったシャリア資産への投資にはNAVの100%、普通資産への投資にはNAVの50%までを海外に投資することができる。

認可保険会社は、非居住者、およびリンギ建て国内信用供与を得ていない居住者へ販売した投資リンク型ファンドのNAVの100%を海外に投資することができる。リンギ建て国内信用供与を得ている居住者へ販売した投資リンク型ファンドのNAVの50%までを海外に投資することができる。Takaful(イスラム保険)運営会社は、居住者および非居住者に販売した投資リンク型ファンドのNAVの100%を海外に投資することができる。


2. 信用供与
(1) 居住者
a. 居住者に対する外貨建て信用供与
居住者である個人は、1,000万リンギを上限に、国内の認可銀行、非居住者から外貨建て信用供与を得ることができる。また、外貨建て借入の元本および利息について、資金再調達が可能である。

居住者である企業は、非居住者金融機関、グループ外からの借入れを目的とする特別目的会社を除いて、同一企業グループ内の居住者・非居住者である他社、居住者・非居住者の直接株主はマレーシア国内の認可銀行等から、居住者に対する外貨建て債券発行を通じて、金額の制限なく自由に外貨建て信用供与を得ることができる。
また、同一企業グループ内の非居住者である他社、もしくは直接株主以外の非居住者から、同一企業グループ内で親子関係にある居住者企業と合計で1億リンギを上限に外貨建て信用供与を得ることができる。また、外貨建て借入れの元本および利息についても、資金の再調達が可能である。

b. 居住者に対するリンギ建て信用供与
居住者である個人は、マレーシア国内での使用を目的に100万リンギを上限として、非居住者の企業(金融機関を除く)または個人からリンギ建て信用供与を得ることができる。ただし、非居住者である家族からの信用供与について金額の制限はない。
居住者である企業は、マレーシア国内の実需に基づく活動のために、同一企業グループ内の非居住者の他社(非居住者金融機関を除く)または非居住者の直接株主から、リンギ建て普通債券またはイスラム債券の発行を通じて、金額の制限なく自由にリンギ建て信用供与を得ることができる。
また、同一企業グループ内で親子関係にある居住者企業と合計で100万リンギを上限として、マレーシア国内での使用を目的に、同一企業グループ内の非居住者企業または個人からリンギ建て信用供与を得ることができる。

(2) 非居住者
a. 非居住者に対する外貨建て信用供与
非居住者は、マレーシア国内の認可銀行、国内の他の非居住者、居住者である企業や個人、家族から、金額の制限なく自由に外貨建て信用供与を得ることができる。ただし、リンギ建て国内信用供与を得ている居住者がリンギを外貨に転換することで信用供与を行う場合、その居住者側の制限として、個人は年間100万リンギ、企業は同一企業グループ内で年間5,000万リンギを信用供与の上限とする。

b. 非居住者に対するリンギ建て信用供与
非居住者は、マレーシア国内の実需に基づく活動や、マレーシアの住宅や商業用不動産購入のために、国内の認可銀行からリンギ建て普通債券またはイスラム債券の発行を通じて、金額の制限なく自由にリンギ建て信用供与を得ることができる。また、非居住者である個人は、居住者である家族、雇用主から金額の制限なく自由にリンギ建て信用供与を得ることができる。

非居住者の証券会社およびカストディアン銀行は、決済資金の受取が予想外に遅れた際に、マレーシア証券市場(Bursa Malaysia)でのリンギ建て証券取引決済のために、国内の認可銀行から金額の制限なくリンギ建て信用供与を得ることができる。また、非居住者は、証券取引ライセンス保有の居住者から、信用取引のためのリンギ建て信用供与を金額制限なく得ることができる。

非居住者である個人は、居住者である保険会社から、購入した保険の解約返戻金を上限としてリンギ建て借入れを行うことができる。


3. 銀行預金
(1) 居住者の外貨口座
居住者は、マレーシア国内の認可銀行または海外の銀行に外貨口座(FCA)を開設することができる。入金する外貨はリンギを転換したもの、居住者から得たもの、非居住者から得たものである。リンギを転換する場合、リンギ建て国内信用供与を得ていない居住者は金額の制限がない。リンギ建て国内信用供与を得ている居住者は、リンギを外貨に転換して海外投資ができる範囲が上限である。居住者から得たものは認可された目的のものに限られる。非居住者から得た輸入代金は、認可された国内銀行のFCAへの入金に限られる。居住者である個人は、いかなる目的でも共同名義外貨口座を開設し、維持することが認められている。他方、居住者である企業は、共同名義外貨口座の開設に中央銀行の事前認可を要する。

(2) 非居住者の外貨およびリンギ口座
マレーシア中央銀行によれば、非居住者は国内の認可銀行に自由に外貨またはリンギの口座を開設することができ、これらの口座からの外貨での送金は自由であるとしている。しかしながら、2016年9月現在、非居住者の口座開設には、雇用パスなどの長期滞在ビザの取得を求めるマレーシアの地場銀行もある。
非居住の旅行者のリンギでの持ち出し、持ち込みは1万ドル相当額までとされている。


4. 利子、配当、利益などの海外への送金
利子、配当、利益などの海外への送金に関する規則については、前述の「資本取引 1.投資」の項を参照。


5. その他
(1) 先物外国為替契約
居住者は貿易取引について、国内の認可銀行と自由に先物予約ができる。保有する外貨資産に対する先物予約も可能である。
非居住者(金融機関を除く)は、経常取引※については確定した取引実額または予想額ベースで、非経常取引では確定した取引実額ベースで、それぞれ先物予約ができる。非居住者の代理人としての非居住者金融機関は、確定した取引実額ベースで先物予約ができる。
※経常取引(current account transaction):物品サービスの売買、フィー、コミッション、ロイヤルティー、賃金給与、配当、利子、利益から発生する授受

(2) 資金調達
居住者は非居住者に対し、普通株式(無償増資、有償増資を含む)、非償還型優先株、私募負債証券を自由に発行できる。それ以外の証券の発行は、マレーシア中央銀行の認可を要する。また、居住者はリンギ建て債券を自由にマレーシア国内で発行でき、調達資金は国内で自由に使用可能、海外投資にはそれを含めた国外投資額が年間5,000万リンギを超えない限り使用が可能である。外貨建て債券は、それを含めた外貨建て借入れが1億リンギを超えない限り発行可能で、国内外で自由に使用が可能である。

非居住者がマレーシア国内でリンギ建ての債券を発行する場合は、マレーシア中央銀行の承認が必要である。調達資金の使途は、マレーシア国内での物品サービス(金融サービス、金融証券商品を除く)、不動産(土地のみを除く)の取得に限る。外貨建ての場合は、金額や用途に制限なく自由に発行できる。

(3) 特定の企業に与えられる特別ステータス
マルチメディア・スーパー・コリドー・ステータスを取得した企業は、自社のための取引について、リンギのオフショア取引を除くすべての為替管理規則から除外される。

1990年ラブアン会社法(Labuan Companies Act 1990)に基づき、ラブアン国際オフショア金融センターに設立または登録された事業体は、外国為替管理の目的上は非居住者として位置付けられる。

1990年ラブアン会社法"Labuan Companies Act 1990外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

認可された経営統括本部(OHQ)は、保有する外貨や借入れにより自由に海外投資が可能である。また、他の居住者への貸付目的や他の居住者の代理でない限り、国内の認可銀行、非居住者から、自由に外貨建て信用供与を得ることができる。マレーシア証券市場(Bursa Malaysia)のメインボードへ普通株式を新規上場することで調達した資金は、自由に外貨建て資産に投資できる。また、外国の証券市場に上場することで調達した外貨資金は、同一企業グループのマレーシア国内の他社に対し、自由に貸し付けできる。

地域流通センター(RDC)および国際調達センター(IPC)には、居住者としての規則が適用される。

イスカンダル開発地域政策および国家バイオテクノロジー政策に則って承認された居住者である企業は、居住者と自由に外貨受け払いが可能である。また、国内の認可銀行、非居住者から、自由に外貨建て信用供与を得ることができる。国内外の外貨建て資産に自由に投資できる。さらに、輸出代金をオフショアに留めておくことができる。

関連法

2013年金融サービス法(Financial Service Act 2013)、2013年イスラム金融サービス法(Islamic Financial Service Act 2013)、1990年ラブアン会社法(Labuan Companies Act 1990)

その他

特になし

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