菓子の輸入規制、輸入手続き
インドネシアでの輸入手続き
1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)
調査時点:2024年12月
加工食品流通許可
菓子の輸入に際しては、国家医薬品食品監督庁(BPOM)規則2023年第23号に従い、加工食品流通許可(Izin Edar)を取得する必要があります。これはBPOMへ商品登録を行うことにより取得するもので、申請はBPOMのサイトに接続したインドネシアの事業許認可統合システムである、オンライン・シングル・サブミッション(OSS)システムから行います。
菓子を含む加工食品の登録は、低の中リスク、高の中リスク、高リスクに分類されて実施されています。それぞれのリスクの目安は次の通りです。
- 低の中リスクに分類される加工食品
- 特定の消費者を対象にしていない、強調表示がない、商業殺菌や低温殺菌、放射線照射、遺伝子組換え、有機など特定の製造工程を経ていない、特定の原材料や食品添加物を使用していない、または許容量制限のない食品添加物を使用した加工食品
- 高の中リスクに分類される加工食品
- インドネシア国家規格(SNI)が強制適用されている加工食品
- 高リスクに分類される加工食品
-
- 特別栄養補助加工食品(PKGK)
- 強調表示食品
- 遺伝子組換え食品(GMO)
- 放射線照射食品
- 許容量制限のある食品添加物を使用した食品
- 低温殺菌プロセスを経た加工商品
- 商業殺菌/その他の新技術食品
商品登録の申請には、以下のような許認可や情報を提出します。提出すべき書類は、リスクレベルに応じて異なります。
- レジストレーション・システムにアカウントを開設するのに必要な書類
-
- 食品輸入分野の事業認可(輸入業者事業者番号(API)として有効な事業者基本番号(NIB))
- 納税者番号(NPWP)
- 原産国の企業からの契約書の形での指名書(加工食品流通許可登録を行う権利の付与や指名期間などの明記があり、輸入者が特権的に指名されている場合は特権的指名についての条項も記載されていること。現地の公証人・商工会議所・在外公館などの認証が必要)。
- 公認/認定機関が発行したGMP(適正製造規範)/HACCP(危害分析および重要管理点)証明書または同様の証明書、あるいは原産国政府による監査結果
- 加工食品安全マネジメントシステム規格適合証明書(SMKPO)
- 商品登録の申請に必要な書類や情報
-
- 使用されている原材料の組成情報またはリスト(特定の食品原材料の原産地に関する記述を含む)
- 生産工程
- 消費期限に関する情報
- 生産コードに関する情報
- ラベルデザイン
- 製品写真(ラベルに記載されているすべての情報が読みやすく写っているもの)
- ラベルの翻訳文(原文が英語以外のもの)
- 衛生証明書(Health Certificate)または自由販売証明書(Certificate of Free Sale)
- 分析証明書(金属・化学・細菌汚染、食品添加物、栄養素、品質・特徴。ただし、低の中リスクに分類される菓子の場合は、栄養素の分析証明書のみ必要。高の中リスクに分類された菓子の場合は、食品添加物と栄養素の分析証明のみ必要。)
- 特定の原材料・添加物の特性(原料の由来、遺伝子組換え製品の説明、食品添加物の種類、はちみつのクロラムフェニコール含有度、など)
- 原産国の企業からの契約書の形での指名書(加工食品流通許可登録を行う権利の付与や指名期間などの明記があり、輸入者が特権的に指名されている場合は特権的指名についての条項も記載されていること。現地の公証人・商工会議所・在外公館などの認証が必要)。
このほか必要に応じて、SNI証使用製品証明(SPPT-SNI)、有機認証、遺伝子組換え食品である旨の証明、放射線照射の証明、ハラール認証などの提出も必要です。
商品登録は、商品の種類ごとのほか、包装の種類、構成要素、ラベルのデザインごとに行うこととされており、これらが異なる場合はその都度、登録/再登録しなければなりません。 なお、加工食品流通許可の有効期間は5年間で、有効期限の6ヵ月前から10日前までに更新しないとなりません。
ポストボーダー輸入証明書
加工食品流通許可証を取得後、BPOM規則2022年第27号(BPOM規則2023年第28号で変更)に従い、BPOMからの輸入証明書を取得することが義務付けられています。これはポストボーダー輸入証明書と呼ばれるもので、輸入の都度取得が必要です。ポストボーダー輸入証明書の申請は、BPOMのサイト内のSKIサービスサイトにアカウントを開設し、加工食品流通許可証やBPOMに承認されたラベルなどをアップロードして行います。必要な情報は次のとおりです。
- SKIサービスサイトにアカウントを開設するのに必要な書類や情報
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- NIB(事業者基本番号)
- NPWP(納税者番号)
- 輸入予定商品のHSコード一覧
- 責任者の住民証(KTP)と誓約書
- 会社の倉庫と事務所の写真(前面と背面)
- 加工食品安全マネジメントシステム規格適合証明書(SMKPO)
- ポストボーダー輸入証明書の申請に必要な書類や情報
-
- 申請書輸入者の名称と住所
- 食品カテゴリーと商標
- 梱包の種類、重量/数量
- 輸入量
- 輸出国
- 輸出者に関する情報
- インボイスとパッキングリストに関する情報
- 消費期限
- ロット/バッチ/生産コード
- 船降港
- 分析証明書(金属・化学・細菌汚染、食品添加物、栄養素、品質・特徴)
- 製造業者からのレファレンスレター(輸出者が製造業者と異なる場合)
- 協業契約(登録承認を有する輸入業者と異なる輸入者によって輸入が行われる場合、公証が必要)
- 分析結果(ホルムアルデヒド、メラミン、着色料)
- 加工食品流通許可証(Izin Edar)
- 製造日/消費期限およびロット/バッチ番号が記載された書類
- インボイスとパッキングリスト
- 商品登録時に承認されたラベル
ポストボーダー輸入証明書は、税関からの物品搬出許可の発行日から7日以内に取得することとされています。また、ポストボーダー輸入証明書の申請時に、輸入される菓子は保存期間全体の最低2/3が残っている必要があります。
なお、上記の分析証明書については、インドネシアへサンプルを送り、インドネシア国内の認定試験所で分析してもらい、発行を受けることもできますが、海外の認定試験所で分析、発行してもらうことも可能で、製造元の海外の工場ですでに認定試験所にて分析を受け、分析証明書を取得していることが多いです。
サーベイヤーレポート
一方、商業大臣規則2024年第8号によると、菓子の輸入には船積み前検査が課されています。検査結果をまとめたサーベイヤーレポート(LS)を、輸入申告書に添付します。
関連リンク
- 関係省庁
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国家医薬品食品監督庁(BPOM)
-
商業省(インドネシア語)
-
インドネシア・ナショナル・シングル・ウインドウ(INSW)(インドネシア語)
-
商業省 ポータルサイト「INATRADE」(インドネシア語)
-
オンライン・シングル・サブミッション(OSS)(インドネシア語)
- 根拠法等
-
BPOM規則2023年第23号(インドネシア語)
(828 KB)
-
BPOM規則2022年第27号(インドネシア語)
(820 KB)
-
BPOM規則2023年第28号(インドネシア語)
(560 KB)
-
BPOM規則2021年第21号(インドネシア語)
(1.16MB)
-
商業大臣規則2024年第8号(インドネシア語)
(9.16MB)
- その他参考情報
-
加工食品流通許可(Izin Edar)申請(BPOM)(インドネシア語)
-
ジェトロ「インドネシア 貿易管理制度 「輸入品目規制」詳細」
(655KB)
-
事業許認可統合システム「オンライン・シングル・サブミッション(OSS)システム」
2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)
調査時点:2024年12月
菓子の輸入の手順は次のとおりです。
- 輸入予定の菓子について、加工食品流通許可を取得。
- 輸出国において商業大臣が指名した検査会社による船積み前検査を受けて、サーベイヤーレポート(LS)を取得。
- ポストボーダー輸入証明書を取得。
- 輸入関税および輸入関連租税を納付。 輸入品のHSコードを特定し、関税率表でその関税率を確認し、必要な租税と一緒に金額を計算した後、関税総局の通関サービス利用者オンラインを通じてeビリングを取得して、銀行などで納付し、輸入関税・租税納付書(SSPCP)を取得します。
- 輸入申告
輸入申告書(PIB)を次のような添付書類とともに、船卸港の税関に提出し、申告書登録番号を受けます。- SSPCP
- インボイス
- パッキングリスト
- 船荷証券
- ポストボーダー輸入証明書
- LS
- 原産地証明書(日本インドネシア経済連携協定(JIEPA)等における輸入の場合)
- インドネシア国家規格証使用製品証明書(SPPT SNI、強制適用の品目の場合)
- 書類審査
船卸港の税関が申告内容や添付書類、輸入関税の計算などを審査します。 - 搬出許可(SPP)の取得。
税関からの搬出許可が出た後、貨物を引き取ることができます。
3. 輸入時の検査・検疫
調査時点:2024年12月
輸入時の検査・検疫はありませんが、税関エリアを通過後に、輸入要件を満たしているかどうかの検査を行うポストボーダー検査の対象になります。輸入要件は、船積み前検査の結果をまとめたサーベイヤーレポート(LS)を指します。船積み前検査については、「輸入規制 2.施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等」を参照してください。ポストボーダー検査のため、輸入業者は、サーベイヤーレポート(LS)および輸入申告書を少なくとも5年間保管しなければなりません。
輸入業者は当該輸入品を使用、販売、譲渡する前に、輸入要件を満たしていることを表明した宣言書(Self Declaration)を作成し、輸入申告書の番号を記載のうえ、商業省の許認可ポータルサイトINATRADE(http://inatrade.kemendag.go.id)を通じて提出します。
4. 販売許可手続き
調査時点:2024年12月
インドネシアにおいて小売販売されるか最終消費者に直接販売されるために小売用に包装された菓子は、加工食品として国家医薬品食品監督庁(BPOM)に登録し、加工食品流通許可を取得する必要があります。BPOM規則2023年第23号によると、申請は輸入業者が行い、申請に必要な条件は次の通りです。
- 輸入業あるいは販売業の事業認可を取得している。
- 原産国の企業からの契約書の形で指名書を保有している(加工食品流通許可登録を行う権利の付与や指名期間など明記、公証人・商工会議所・在外公館の認証が必要)。
- 流通施設における加工食品安全管理システムを適用している。
輸入の菓子には、製品の登録ごとに「BPOM RI ML xxxxx (取得番号)」という加工食品流通許可番号が交付されますので、これをラベルに表示します。ラベルは商品登録時に提出し、承認を受けます。
また、商品登録は、商品の種類ごとのほか、包装の種類、構成要素、ラベルのデザインごとに行うこととされており、これらが異なる場合はその都度登録しなければならず、包装やラベルに変更があった場合にもその都度、加工食品流通許可を更新しないとなりません。 (詳細は、『1.輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)』を参照ください。)
なお、BPOM規則2023年第23号は、原料として利用され、最終消費者に直接販売されない加工食品は、加工食品流通許可の取得義務の例外としています。
関連リンク
5. その他
調査時点:2024年12月
なし
インドネシア内の輸入関税等
1. 関税
調査時点:2024年12月
輸入関税は、CIFから計算し、輸入申告前に納付します。菓子の輸入関税率は財務大臣規則No.26/PMK.010/2022により、HSコード別に次のとおりです。
- 1704(砂糖菓子):20%、HSコード1704.90.10(薬を含有するトローチおよびドロップ)のみ15%
- 1806(チョコレート):15%または20%、HSコード1806.90.40(HSコード0401番台から040番台までの食品調整品)は5%、同1806.90.30(小麦粉・ミール・デンプンまたはモルトのエキスの食品調製品)は10%
- 190531(スイートビスケット)、190532(ワッフル及びウエハー)、190590(その他の焼き菓子):20%、HSコード1905.90.60(医療用に適するオブラート)のみ5%
- 210500(アイスクリーム):15%
ただし、日本・インドネシア経済連携協定(JIEPA)において、菓子の関税率は既に0%に引き下げられています(財務大臣規則No.50/PMK.010/2022)。日本・アセアン包括的経済連携協定(AJCEP)が利用できる品目の場合も、輸入関税率は0%になっています(財務大臣規則No.48/PMK.010/2022)。一方、地域的な包括的経済連携(RCEP)における日本からの輸入では、HSコードにより、2024年は0%、7%または7.3%、25年は0%、6%または6.6%と、輸入関税率は一般税率よりは低く設定されています(財務大臣規則No.225/PMK.010/2022)。いずれも適用のためには、特定原産地証明書および運送要件証明書(通し船荷証券の写しなど)の提出が必要です。
関連リンク
- 関係省庁
-
財務省(インドネシア語)
-
財務省関税総局(インドネシア語)
-
インドネシア・ナショナル・シングル・ウインドウ(INSW)(インドネシア語)
- 根拠法等
-
財務大臣規則No.26/PMK.010/2022(インドネシア語)
(25.1MB)
-
財務大臣規則No.50/PMK.010/2022(インドネシア語)
(18.3MB)
-
財務大臣規則No.48/PMK.010/2022(インドネシア語)
(16.3MB)
-
財務大臣規則No.225/PMK.010/2022(インドネシア語)
(65.7MB)
- その他参考情報
-
外務省「日本・インドネシア経済連携協定」
- ジェトロ「日本・インドネシア経済連携協定」
- ジェトロ「関税制度」(インドネシア)
2. その他の税
調査時点:2024年12月
輸入前払い所得税
財務大臣規則2024年第81号により、菓子の輸入には、前払い所得税(PPh-22)が輸入申告前に徴収されます。税率はCIFの7.5%です。ただし、HSコード1806.90.40(HSコード0401番台から0404番台までの食品調整品)および同1905.90.60(医療用に適するオブラート)は、輸入業者事業者番号(API)を有している企業でCIFの2.5%に設定されています。PPh-22は、法人税の年次申告時に法人税と相殺されます。
付加価値税
菓子の輸入にはCIFの11%の付加価値税(VAT)がかかるほか、国内取引時にも取引価額に11%が加算されます。この税率は2021年第7号税務規則調和法により、2025年に12%に引き上げられる予定です。いずれも、商品購入時に事業者が負担した仕入れのVAT額は、販売時に取引先から徴収する売り上げのVAT額と、月次単位で相殺されます。会社は事業開始前に、税務署にVAT課税業者(PKP)として登録しておく必要があります。
3. その他
調査時点:2024年12月
なし
その他
調査時点:2024年12月
有機認証
BPOM規則2017年第1号により、有機加工食品を国内で流通させるには、国家認定委員会(KAN)に認定された有機認証機関が発行した有機認証で証明されている必要があります。有機認証を受けた加工食品は、そのラベルと公告において、食品の種類の後ろに“Organik”(有機の意)と記載し、法令で定められたインドネシア有機ロゴを表示する義務があります。
ハラール認証
宗教大臣規則2019年第26号により、国内で流通する加工食品には2024年10月17日以降、イスラーム法で許されていることを意味するハラール認証を受けていることが義務付けられています。ハラール認証は、ハラール製品保証実施庁(BPJPH)に認定された国内外の認証機関が審査し、発行します。ハラール認証を受けた加工食品は、所定のハラール・ラベルの表示が必要です。逆にハラールでない食品は、ハラールでない旨を製品に表示することが義務付けられています。 ただし、政令2024年第42号により、海外から輸入される加工食品に対するハラール認証の義務は、最大で2026年10月17日まで猶予されました。
遺伝子組換え食品
国家医薬品食品監督庁(BPOM)規則2024年第19号により、遺伝子組換え食品は、国内流通に際してBPOMからの安全性認証の取得が義務付けられています。認証を取得するには、遺伝子組換え食品安全委員会(KKH-PRG)の分析を受けて推薦状を取得する必要があります。遺伝子組換え食品安全認証に基づいて安全であることが表明された遺伝子組換え食品で、遺伝子組換えDNAの含有率が5%以上の遺伝子組換え食品については、通常の食品ラベルの表示のほか、“PRODUK REKAYASA GENETIK”(『遺伝子組換え製品』の意)と記載することとされています。
放射線照射食品
BPOM規則2018年第3号により、輸入の放射線照射食品には、原産国の政府が発行した放射線照射証明の添付が義務付けられています。ラベルには通常の食品ラベルの表示のほか、食品の種類の後ろに“PANGAN IRADIASI”(放射線照射食品の意)と記載し、法令で定められた専用ロゴを付します。