日本からの輸出に関する制度

清涼飲料水の輸入規制、輸入手続き

品目の定義

本ページで定義する清涼飲料水のHSコード

2009:
フルーツジュース(ぶどう液含む)と野菜ジュース、発酵しておらず、アルコール添加物を含有しない、砂糖またはその他の甘味料を含む、含まないにかかわらず
220110:
天然または人工のミネラルウオーターと炭酸水
2202:
砂糖またはその他の甘味料、フレーバーの添加物を含有する水、ミネラルウオーターと炭酸水を含む、およびその他アルコールを含有しない飲料、HSコード2009のフルーツジュースと野菜ジュースに含まれない

インドネシアの輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2020年5月

これまでインドネシアは、東京電力福島第一原子力発電所事故発生時より、日本産農産物について放射性物質の検査報告書の提出を求めていましたが、7月26日付けでこの提出義務が解除されました。これにより、インドネシアにおける放射性物質輸入規制が撤廃されました。
詳しくは、関連リンクの「農林水産省『インドネシアによる日本産食品の輸入規制の撤廃について』」を参照してください。

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2019年8月

輸入開始前に該当品目を国家医薬品食品監督庁(BPOM)に登録し、「加工食品流通許可書」を取得する必要があります。流通許可書を取得するためには、原産国の加工製造業者はGMP、HACCP、ISO22000の認証取得、同種の認定証明書、原産国政府の監査結果のいずれかを提出し、適正製造規範を満たしていることを証明する必要があります。
また、輸出国の商標保有者は、輸入業者との間にインドネシアにおける販売者に指定するディストリビューター指名書の契約を締結する必要があり、衛生証明(Health Certificate)または自由販売証明書(Certificate of Free Sale)の提出も求められます。
最後に、原産国における船積み前検査が義務付けられています。検査は商業大臣が指名する検査機関によって行われ、検査内容は次のとおりです。

  • 原産国と船積み港
  • 船積み時期
  • 船卸港
  • HSコードと品目説明
  • インドネシア国家規格(SNI)認証番号(SNIの適用製品のみ)
  • 物品登録番号
  • 流通許可承認書

検査結果をまとめた検査会社によるレポートは、通関義務履行時に船卸港の税関に提出しなければなりません。

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2019年8月

なし

インドネシアの食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2019年8月

清涼飲料水のうちボトル入り飲料には、インドネシア国家規格(SNI)の適用が義務付けられています。対象は次のとおりです。

ミネラルウオーター(HS 2201.10.10):SNI No. 3553:2015
デミネラルウオーター(脱塩水)(HS 2853.90.10):SNI No. 6241:2015
天然ミネラルウオーター(HS 2201.10.10):SNI No. 6242:2015
炭酸水(HS 2201.10.20):SNI No.7812:2013

2. 残留農薬および動物性薬品

調査時点:2019年8月

残留農薬規制については原則、食品の国際規格であるCODEX(コーデックス委員会)の規格が採用されていますが、残留農薬の監督を行うインドネシアの保健省と農業省は、1996年に保健・農業大臣合同決定No.881/Menkes/SKB/VIII/1996,No.711/Kpts/TP.270/8/96にて218種類の農薬について独自の残留/汚染上限を設けています。これら基準を超える食品の輸入および国内販売は禁止されており、これらに規定されていない農薬の残留は認められていません。

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2019年8月

規制されている細菌は、一般生菌、大腸菌群、サルモネラ、リステリア・モノサイトゲネスで、BPOM令2019年第13号にて許容混入値が定められています。規制されている化学物質は、マイコトキシン、ダイオキシン、3-クロロプロパン-1,2-ジオール(3-MCPD)、多環芳香族炭化水素(PAH)で、BPOM令2018年第8号に残留濃度上限値が定められています。規制されている重金属は、ヒ素(As)、鉛(Pb)、水銀(Hg)、カドミウムで、BPOM令2018年第5号に最大残留基準値が定められています。

4. 食品添加物

調査時点:2019年8月

保健大臣規則2012年第33号では、清涼飲料水を含む食品に使用が禁止される食品添加物として次の19の物質を挙げています。

  • ホウ酸
  • サリチル酸とその塩
  • ジエチルピロカーボネート
  • ズルチン
  • ホルムアルデヒド
  • 臭素酸カリウム
  • 塩素酸カリウム
  • クロラムフェニコール
  • 臭化物食用油
  • ニトロフラゾン
  • ズルカマラ
  • コカイン
  • ニトロベンゼン
  • アントラニル酸シンナミル
  • ジヒドロサフロール
  • トンカ豆
  • ショウブの根茎からとれる精油(Calamus oil)
  • ヨモギギクの精油(Tansy oil)
  • サッサフラスの精油(Sasafras oil)

また、使用が認められる食品添加物は保健大臣規則2012年第33号に、使用量の制限についてはBPOM令2019年第11号に定められています。

5. 食品包装規制(食品容器の品質または基準)

調査時点:2019年8月

食品用の容器包装は、2019年国家医薬品食品監督庁(BPOM)規則第20号に、食品包装として使用が禁止されている原料と使用が許可されている原料のリストが掲載されています。食品包装として使用が許可されている原料については、食品への移行量の規制についても記載されています。

食品包装として使用が認められる原料としては、プラスチック(モノ/マルチレイヤー)、ゴム/エラストマー、紙とカートン、ふた/ガスケット/封印、レジン/ポリマーレイヤー、陶器、ガラス、金属があり、食品への移行量の制限つきでリストが定められています。

なお、工業大臣規則No.24/M-IND/PER/2/2010によって、食品包装には食品に適した安全な容器を使用していることを示すロゴの表示が義務けられています。またプラスチック容器については、リサイクルのコードと使用しているプラスチックの種類を表記することが定められています。

6. ラベル表示

調査時点:2019年8月

インドネシア語、アラビア数字、アルファベット表記での表示が義務付けられています。表示が義務付けられている項目は次のとおりです。

  1. 商品の名称
  2. 原料品名
  3. 内容量
  4. 製造元・輸入者の名称と住所
  5. ハラール証明(条件づけられている場合)
  6. 製造日と製造コード
  7. 賞味期限
  8. 加工食品流通許可番号(ML番号)
  9. 特定の原料の由来

このほか、製品によっては次の項目の表示も必要になります。

  1. 栄養についての説明
  2. 食品の放射線照射についての説明
  3. 有機食品についての説明
  4. 遺伝子組み換え食品についての説明
  5. 使用方法または作り方
  6. 保存方法
  7. 摂取についての説明、アドバイス
  8. 用途についての説明
  9. ヒトの健康に対する影響について必要なその他の説明
  10. 警告

豚からの原料を含む食品は、図のように、“mengandung babi”(豚含有の意)を赤文字で記載し、その横に豚の絵を配し、これらをさらに赤線の四角で囲む。文字のサイズは最低1.5mmで、ラベルの面積に比して適当な大きさで示す必要があります。

豚を含む商品に付けるラベル

これに加え、今後は食品自体に豚由来の成分が含まれない場合でも、同じ製造ラインや同じ施設内で豚を含む食品を製造している場合は、“Pada proses pembuatannya bersinggungan dan/atau menggunakan fasilitas bersama dengan bahan bersumber babi”( 同じ製造ラインや同じ施設内で豚を含む食品を製造している意味) を赤文字で記載し、赤線の四角で囲った表示が必要です。

同じ製造ラインや同じ施設内で豚を含む食品を製造している場合に付けるラベル

このほかアルコール、アレルゲン、人工甘味料、食品添加物の含有などについて表示します。
製品名および注意文は、2mmのArialフォントによる小文字の「o」と同じかそれより大きいサイズで記載しなければなりません。ラベルは「加工食品流通許可書」の取得時に承認されている必要があり、承認済みのラベルと同一のものが、インドネシア国内に搬入される際に表示されている必要があります。

7. その他

調査時点:2019年8月

食品安全・衛生規制
2004年政令第28号にて、食品の安全・衛生、食品添加物、遺伝子組み換え食品、食品の放射線照射、食品の包装、食品の品質保証とラボラトリー試験、汚染食品に分けて規定されています。

インドネシアでの輸入手続き

1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)

調査時点:2019年8月

日本から清涼飲料水を輸入するにあたり、輸入業者またはディストリビューターが国家医薬品食品監督庁(BPOM)に商品を登録し、「加工食品流通許可書」を取得することが必要です。これに先立ち輸入業者またはディストリビューターは、流通設備の監査を管轄の事務所で受けて、適性流通規範を満たしていることを証明しなければなりません。この監査結果のほか、流通許可書の登録申請には次のような書類が必要です。

  1. 原産国の加工製造業者のGMP、HACCP、ISO22000の認証取得、同種の認定証明書、原産国政府の監査結果
  2. 輸出国の商標保有者から輸入業者またはディストリビューターへの、インドネシアにおける販売者に指定するディストリビューター指名書の契約
  3. 衛生証明(Health Certificate)または自由販売証明書(Certificate of Free Sale
  4. 使用原材料のリストまたは構成
  5. 生産フロー
  6. 最終製品試験結果または分析証明(Certificate of Analysis
  7. 保存期間についての情報
  8. 製品コードについての情報
  9. ラベル案、ラベルが外国語の場合は宣誓翻訳家による英訳をつける
  10. 製品写真

ただし、製品のリスク、消費者ターゲット、クレーム表示、添加物使用、特定の生産プロセス、および特定の原材料の要件に従って、ハイリスク、ミドルリスク、ローリスク、超ローリスクからなるリスクが評価され、このリスクに応じて提出すべき書類などが異なります。
また、必要に応じて商標権認証やインドネシア国家規格(SNI)証使用製品認証、有機認証、遺伝子組み換え食品である旨の証明、放射線照射の証明、ハラール認証などの提出も必要です。

流通許可書の登録申請は、許認可統合機関であるオンライン・シングル・サブミッション(OSS)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますから、そのサイトを通じて流通許可書の取得のためのコマーシャル/オペレーショナル許可を取得した後、BPOMの電子登録のためのポータルサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにおいて、次の手順で手続きを行います。

  1. BPOMのポータルサイトの中のe-Registrationアプリケーションを通じて必要なデータを記入し、補完書類を提出。
  2. 法定登録料の納付命令書に従い、納付命令書を受け取ってから10日以内に納付。納付証明をOSSサイトにアップロードする。
  3. 2.の納付後、1.のデータおよび書類が評価される。申請受付から30日以内に結果発行。
  4. 3.の評価結果が承認推薦である申請に対し、審査が行われる。申請受付から35日以内に結果を発行。
  5. 4.の結果が不備なしの場合、BPOMは流通許可書を発行し、OSSのサイトを通じて交付。

また、清涼飲料水の輸入に際して輸入業者は、ポストボーダー輸入承認書(SKI)を取得する必要があります。輸入の都度、取得が必要です。輸入承認書の取得のためには次の書類が求められます。

  1. 誓約書
  2. インボイス
  3. 税外収入(手数料)納付証明
  4. 分析証明(Certificate of Analysis
  5. 製品登録/流通許可承認書
  6. インボイスに記載された製品包装

輸入承認書は、OSSのサイトを通じて輸入承認書の取得のためのコマーシャル/オペレーショナル許可を取得した後、BPOMのポータルサイトを通じて必要なデータや書類を提出して審査を受け、OSSのサイトを通じて輸入承認書の交付を受けます。

2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:2019年8月

清涼飲料水の輸入の手順は次のとおりです。

  1. 輸入予定の清涼飲料水について「加工食品流通許可書」を取得。
  2. 輸出国において商業大臣が指名した検査会社による船積み前検査を受けて、レポートを取得。
  3. ポストボーダー輸入承認書を取得。
  4. 輸入関税および租税を納付。
    輸入品のHSコードを特定し、関税率表でその関税率を確認し、必要な租税と一緒に金額を計算した後、関税総局の通関サービス利用者オンラインでeビリングを取得して、銀行などで納付し、関税・租税納付書(SSPCP)を取得します。
  5. 輸入申告
    輸入申告書(PIB)を次のような添付書類とともに、船卸港の税関に提出し、申告書登録番号を受けます。
    • 輸入申告書(PIB)
    • 輸入関税・租税納付書(SSPCP)
    • インボイス
    • パッキングリスト
    • 船荷証券
    • 輸入承認書
    • 検査会社によるレポート
    • 原産地証明書(日本インドネシア経済連携協定(JIEPA)における輸入の場合)
    • インドネシア国家規格証使用製品証明書(SPPT SNI)
  6. 書類審査
    船卸港の税関が申告内容や添付書類、輸入関税の計算などを審査。
  7. 搬出許可(SPP)の取得
    税関からの搬出許可が出た後、貨物を引き取ることができます。

なお、BPOM令2017年第30号により、インドネシアに輸入される清涼飲料水は、輸入時の賞味期限までの期間が、製造日から賞味期限までの期間全体の最低3分の2以上の日数が残っている必要があります。

また、インドネシアでは搬入地が次に限られています。

陸上港:
チカラン・ドライポート
海洋港:
ブラワン港(北スマトラ州メダン)、タンジュンプリオク港(ジャカルタ)、タ ンジュンマス港(中部ジャワ州スマラン)、タンジュンペラック港(東ジャワ 州スラバヤ)、スカルノハッタ港(南スラウェシ州マカッサル)、ドゥマイ港(リ アウ州)、ジャヤプラ港(パプア州)、タラカン港、Krueng Geukuh港(北アチ ェ)、ビトゥン港(北スラウェシ)、メラックマス港(バンテン州チレゴン)
空港:
クアラナム空港(北スマトラ州メダン)、スカルノハッタ空港(ジャカルタ)、ア フマッドヤニ空港(中部ジャワ州スマラン)、ジュアンダ空港(東ジャワ州スラ バヤ)、ハサヌディン空港(南スラウェシ州マカッサル)

3. 輸入時の検査・検疫

調査時点:2019年8月

清涼飲料水は輸入時の検査・検疫はありませんが、税関エリアを通過後に輸入要件を満たしているかどうかの検査を行うポストボーダー検査の対象になります。この場合の輸入要件とは、船積み前検査の結果をまとめたサーベイヤーレポート(LS)を指します。船積み前検査については、輸入規制の『2.施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等』を参照してください。ポストボーダー検査のため、輸入業者は、サーベイヤーレポート(LS)および輸入申告書を少なくとも5年間保管しなければなりません。 輸入業者は当該輸入品を使用、販売、譲渡する前に、輸入要件を満たしていることを表明した宣言書(Self Declaration)を作成し、輸入申告書の番号を記載のうえ、商業省の許認可ポータルサイトINATRADE外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを通して提出します。

4. 販売許可手続き

調査時点:2019年8月

小売用に包装された清涼飲料水は国家医薬品食品監督庁(BPOM)に登録し、「加工食品流通許可書」を取得することが義務付けられています。登録された輸入食品には加工食品流通許可番号(ML番号)が付与され、その番号を商品ラベルに記載する必要があります。

登録申請は輸入業者またはディストリビューターが行います。必要な条件は次のとおりです。

  1. 輸入業あるいは販売業の事業認可を取得している。
  2. 原産国の企業からの契約書の形での指名書を保有している(流通許可登録を行う権利の付与や指名期間など明記、公証人・商工会議所・在外公館の認証が必要)。
  3. 法規に基づく食品の適性流通方法の要件を満たしている。

また、清涼飲料水の登録は、次が異なる場合、別々に登録を行わなければなりません。

  1. 食品の種類
  2. 包装の種類
  3. 構成成分
  4. 原産国の製造元の名称と住所
  5. 輸入者やディストリビューターの名称と住所
  6. ラベルのデザイン

流通許可書の登録申請の手順については、輸入手続きの「1.輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等」を参照してください。

5. その他

調査時点:2019年8月

なし

インドネシアの輸入関税等

1. 関税

調査時点:2019年8月

CIFから計算して、輸入申告前に納付します。税率はHSコード別に次のとおりです。

2009(フルーツ/野菜ジュース):5%または10%
220110(ミネラルウオーターと炭酸水):5%
2202(フルーツ/野菜ジュース以外の砂糖またはその他の甘味料、フレーバー添加飲料、その他アルコールを含有しない飲料):10%または20%

ただし、日本・インドネシア経済連携協定により、清涼飲料水の関税率は0%に引き下げられています。適用のためには、特定原産地証明書および運送要件証明書(通し船荷証券の写しなど)の提出が必要です。

2. その他の税

調査時点:2019年8月

清涼飲料水の輸入にCIFの10%の付加価値税(VAT)がかかるほか、国内取引時も取引価額に10%のVATが加算されます。いずれも、商品購入時に事業者が負担した仕入れのVAT額は、販売時に取引先から徴収する売り上げのVAT額と、月次単位で相殺されます。
また、輸入時には、輸入前払い所得税(PPh-22)が輸入申告前に徴収されます。税率は、輸入業者認定番号(API)を有している企業はCIFの2.5%ですが、HSコード2202.10.10(フレーバーのついた炭酸水)と2202.10.90(その他)の場合は7.5%に定められています。PPh-22は、法人税の年次申告時に法人税と相殺します。

3. その他

調査時点:2019年8月

なし