日本からの輸出に関する制度

調味料の輸入規制、輸入手続き

香港の食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2023年12月

調味料に関する特別な食品規格の設定はありません。
包装済み食品についてはコーデックス委員会(CODEX)の食品規格にあるように食品の成分とその添加物について適切に表示しなければなりません。

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2023年12月

香港では使用される農薬について、ポジティブリスト制を採用しています。「食品中の残留農薬の規則」(Cap.132CM Pesticide Residues in Food Regulation)Schedule 1で農薬と食品との組み合わせごとに定められている最大残留基準値あるいは外因性最大残留許容量に照らし、含有量が規定値を超えている場合、該当する食品の輸入・販売などは禁止されています。また、Schedule 2には規制対象外の農薬が挙げられています。

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2025年10月

重金属規制

2019年11月より施行された「2018年食品混入不純物(金属汚染物質含有量)(改正)規則」(Cap.132V Food Adulteration (Metallic Contamination) (Amendment) Regulation 2018)では、規制対象となる「特定金属」の含有上限量とそれに対応する「特定食品」を列挙しており、当該食品が「特定食品」を原料として含む場合には、同法の基準に従う必要があります。
規制対象である「特定金属」と「特定食品」の組み合わせ、および含有上限量については、「食品混入不純物(金属汚染物質含有量)(改正)規則」の付表第2部(Part 2 Maximum Level of Metal in Food)にリスト化され、規則本文と共に電子版で公開されています(詳しくは、関連リンク電子版香港法例「食品混入不純物(金属汚染物質含有量)規則」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照)。
四つの列(Column)からなる第2部では、一列目は特定金属(Metal)、二列目は特定食品(Food)、三列目は含有上限量(Maximum Level)を確認することができます。四列目の注釈(Note)については説明が付表の最下部に記載されています。なお、特定金属によって特定食品の種類が違いますので、まずは特定食品の列から確認することを推奨します。
また、複数の原料から構成される「複合食品」についても、「特定食品」が配合されている場合には規制対象となります。また、改正規則3(4)に規定されたとおり、「複合食品のすべての原料が特定食品に該当する場合」には、「(当該)複合食品に含まれる特定金属の上限量は、各原料の特定金属の上限量を、この複合食品に含まれる各原料の割合、重量により乗じた値の合算」となります。
加えて、「特定金属」ではない金属であっても、危険値であるまたは有害性が疑われるような量の金属を含有する食品は、いかなるものでもヒトの消費用に輸入・委託・配送・製造・販売することが禁止されています。

有害物質

有害物質に関しては「食品有害物質規則」(Cap.132AF Harmful Substances in Food Regulations)のSchedule 1に挙げられている物質が規定量を超えている場合、また同Schedule 2に挙げられている物質が含まれている場合、該当する食品の輸入・販売などは禁止されています。

2023年6月から施行された「2021年食品有害物質(改正)規則」(Harmful Substances in Food (Amendment) Regulation 2021)により、一部成分の許容基準値が改正または新設となりました。調味料に関連する有害物質のうち、改正または新設となったものについては、次の表を参照のうえ、関連リンクの内容を確認してください。

改正または新設となった食品有害物質の許容量リスト
特定有害物質 特定食品 含有上限量
アフラトキシン総量
(アフラトキシンB1、B2、G1、G2の合計)
香辛料 15μg/kg 
その他の食品 10μg/kg
デオキシニバレノール 生後36カ月以下の乳幼児による摂取を前提とした穀物由来の食品 200μg/kg
メラミン その他のすべての食品 2.5mg/kg
3-MCPD脂肪酸エステル  加水分解植物性タンパク質を含む固体状の調味料 1mg/kg
その他の加水分解植物性タンパク質を含む調味料 0.4mg/kg

さらに、トランス脂肪酸の主原因である水素添加油脂の使用については、部分的禁止や原材料表示などの新たな規則が設けられ、改正後の規則は2023年12月1日から施行されました。具体的には次のとおりです。詳しくは、関連リンクの「2021年食品有害物質(改正)規則ガイドライン」を参照してください。

部分水素添加油脂(PHO)について
PHOを含む油脂の輸入禁止
PHOを含む食品の販売および流通の禁止
水素添加油脂に関する原材料表示について
水素添加油脂(例:完全水素添加油脂)を含む油脂や包装食品について、原材料表示に「水素添加油脂」と記載するか、原材料表示の油脂名に「水素添加」と記載する必要があります。

4. 食品添加物

調査時点:2023年12月

香港では着色料・甘味料・食品保存料に関する規則があります。

着色料に関しては「食品着色料規則」(Cap.132H Colouring Matter in Food Regulations)Schedule 1に挙げられている着色料を使用することができます。ベニバナ色素、ベニコウジ色素については使用が認められていないため、輸出食品について使用の有無を確認する必要があります。また、天然色素については、同規則には掲載されていませんが、INS162ビートレッドやINS164クチナシ色素など、天然植物由来色素は認可されています。関連リンクの「その他参考情報」の「許可された着色料:天然色素」を参照してください。

甘味料に関しては「食品甘味料規則」(Cap.132U Sweeteners in Food Regulations)Scheduleに挙げられている甘味料を使用することができます。
食品に使用できる甘味料は次のとおりです。なお、ソルビトールは甘味料の定義には含まれませんが、食品安全センターの「よくある質問:食品添加物・汚染物質」(Frequently Asked Questions : Food Additives / Contaminants)によると、適正製造規範(GMP)基準での使用が認められています。

  • アセスルファムカリウム
  • アリテーム
  • アスパルテーム
  • アスパルテーム-アセスルファム塩
  • サイクラミン酸
  • サッカリン
  • スクラロース
  • ソーマチン
  • ネオテーム
  • ステビオールグリコシド

食品保存料に関しては「食物中の保存料規則」(Cap.132BD Preservatives in Food Regulation)のSchedule 1のNo.6、No.12などに挙げられている食品保存料を、規定量の範囲内で使用することができます。
それ以外の食品添加物については、その使用に特定の規則は定められていません。しかし、「公衆衛生および市政条例」第V部に従い、食品販売者は各自使用するものが安全で食用に適していることを確保しなければなりません。

5. 食品包装(食品容器の品質または基準)

調査時点:023年12月

なし

6. ラベル表示

調査時点:2023年12月

「食品および薬品(成分組成および表示)規則」〔Cap.132W Food And Drugs(Composition And Labelling)Regulations〕(以下、表示規則と表記)に基づき、香港内で販売する商品に対して食品製造業者および包装業者は次の項目を英語または中国語、あるいは英語と中国語の併用で表示することが求められます。また、各項目の表示について、文字フォントの読みやすさが重要なため、重視されています。食品安全センターの発行する「読みやすい食品表示ラベルの準備に関する取引ガイドライン」(Trade Guidelines on Preparation of Legible Food Label)も参考にしてください。

  1. 食品名
    1. 食品の名称は、食品の性質に対して虚偽または誤解を招くようなものであってはならない
    2. ブランド名は、購入者に食品の性質に関しての誤解を招く可能性がある場合(例えば、派手な名称または商標など)、その名称または表示のすぐ横に「ブランド」(Brand/牌子)または「商標」(TM/商標)という用語を表示し、読みやすい文字または高さ3mm以上の文字で印字する必要がある
  2. 原材料リスト(原材料、アレルギー性物質、添加物を含む)
    • 原材料:原則的には重量または容量の多い順に表示する。ただし、「表示規則と表示」のSchedule 3, No.2の4A~4Dに記載される条件が満たされる場合には、重量の多い順に表示する義務が免除される。例えば、「多くの割合による(可変比例)」(”in variable proportion”)または成分一覧の順番の性質が示されている文言を明記するなど
    • アレルギー性物質:グルテンを含む穀物、甲殻類および甲殻類製品、卵および卵製品、魚および魚製品、ピーナッツ・大豆およびそれらの製品、乳および乳製品(乳糖を含む)、木の実とナッツ製品、10ppm以上の亜硫酸塩
    • 添加物:コーデックス委員会(CODEX)による国際番号システム(INS)に基づく(a)機能分類および(b)名称または識別番号または「E」もしくは「e」から始まる識別番号
  3. 賞味期限または消費期限
    賞味期限(“best before”)および消費期限(“use by”)は、アラビア数字、または英語または中国語で表示する必要がある
    例: Best before: 1 Oct 2016(英語)、此日期前最佳: 2016年10月1日(中国語)
    ただし、単一原料から発酵され、ほかの成分が添加されていない酢については、賞味期限・消費期限の表示は不要
  4. 保管に対する特別な条件、または使用上の注意に関する説明
  5. 製造業者または包装業者の名前と住所
    ただし、次の条件が満たされる場合には、表示義務が免除されます
    1. 次の(i)~(iii)の情報が印字またはラベル表記されている場合
      1. 原産国
      2. 香港における販売業者や商標所有者の名称
      3. 香港における販売業者や商標所有者の登記済み事務所または本社の所在地
    2. 香港における販売業者や商標所有者により、原産国における食品製造業者や包装業者の正式所在地が書面で当局に通知されている場合
    3. 次の(i)および(ii)を満たす場合
      1. 原産国のラベル表記に加え、当該国での製造者または包装業者を特定するコードが表示されている
      2. コードおよびコードに紐づけられた製造業者や包装業者の詳細が、当該製造業者または包装業者、あるいは香港における販売業者または商標所有者により、書面で当局に通知されている
    4. 食品の製造工場または包装工場その他の場所が、原産国の政府により所有、操業、または経営されており、当該食品が当該政府の製品であることを示す方式で印字またはラベル化されている場合
  6. 数量、重量または容量
    1. 包装済み食品は、内容物の数量、または食品の正味重量や正味体積を明確に表記またはラベル付けする必要がある
    2. 正味重量および正味体積は、実行可能な限り、「度量衡条例」(Cap. 68)または「メートル法条例」(Cap. 214)の第1付則に規定される国際単位基準に従って表示するものとする(ただし、許容誤差については規定なし)
  7. 栄養成分(必須項目:エネルギー、タンパク質、炭水化物、総脂質、飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、ナトリウム、糖。食品のラベルや広告に栄養強調表示がなされている場合、その栄養成分の含有量。免除項目は表示規則のSchedule 6を参照)

なお、アルコール度数10度以上の調理用酒(例:アロマティック・ビターズ(Aromatic bitters、HSコード:21039030))の場合、すべての表示義務が免除されます。

インスタントヌードルのような、パッケージ内に調味料が小分けの袋で別途添付されている製品の場合、栄養素成分表示を単一のラベルにまとめることが認められています。

表示またはラベル貼付の規定の免除は表示規則のSchedule 4「Items exempt from Schedule 3」(付表3の規定を免除される項目)を確認してください。また、バイオテクノロジー原料を含む食品(GM食品など)の表示は現在任意で行われています。

栄養強調表示について

栄養強調表示(栄養素含有量強調表示、栄養素比較強調表示、栄養素機能強調表示)については、食品安全センターの発行する「栄養表示および栄養強調表示に関する技術的ガイダンスノート」(Technical Guidance Notes on Nutrition Labeling and Nutrition Claims)に従って実施する必要があります。各表示の定義や許容される表現内容などについては、同ガイダンスノートを参照してください。

香港には、日本のように特定保健用食品や栄養機能食品、機能性表示食品などの分類制度はなく、特定の保健機能を表示するには、同ガイダンスノートの「栄養素機能強調表示」の条件を満たす必要があります。

  • 「食品および薬品物(成分組成および表示)規則」のSchedule 7に記載される栄養素、または同規則のSchedule8に記載される栄養素含有量強調表示の条件を満たす栄養素のみに栄養素機能強調表示が可能
  • 栄養素機能強調表示は科学的根拠または科学上における共通認識に基づく必要がある
  • 栄養素機能強調表示はその栄養素の生理学的役割に関する情報が含まれている必要がある
  • 該当する場合、その栄養素の含有量は「摂取源」の栄養素含有量強調表示の関連条件を満たさなくてはならない

また、「不適切な医療広告条例」(Cap.231 Undesirable Medical Advertisements Ordinance)のSchedule 1では、食品と医薬品の宣伝において許容事項と禁止事項が規定されているので参考にしてください。

有機食品の表示について

有機食品に「有機」や「オーガニック」などを表示して輸入販売する際には、生産、取扱い、加工、マーケティングの各過程で特定の有機規格に従い生産され、その原産国の認証機関または当局によって認められた場合にのみ、「有機」や「オーガニック」と表示することができます。

有機規格には次のような定義が含まれます。

  • 栽培の過程で、化学農薬や化学肥料の使用が控えられていること。農作業においては輪作、動植物の肥料、手による除草、および生物学的害虫駆除が重視されていること。
  • 動物飼育の過程で、抗生物質、成長ホルモン、およびその他の動物飼料添加物の使用が控えられていること。
  • 遺伝子組換えや電離放射線が施されていないこと。

なお、日本の「有機JASマーク」は香港食物環境衛生署(FEHD)が例示する有機認証マークの一例として掲げられており、日本国内で当該認証を受けた有機食品について「有機」や「オーガニック」と表示して輸入販売することができます。

関連リンク

関係省庁
香港食品安全センター(CFS)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
香港食物環境衛生署(FEHD)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
香港特別行政区基本法「食品および薬品(成分組成および表示)規則」〔Cap.132W Food And Drugs (Composition And Labelling) Regulations〕(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(ジェトロ仮訳)PDFファイル(841KB)
香港特別行政区基本法「度量衡条例」〔Cap. 68 Weights and Measures Ordinance〕(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
香港特別行政区基本法「メートル法条例」〔Cap.214 Metrication Ordinance〕(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
香港特別行政区基本法「不適切な医療広告条例」(Cap.231 Undesirable Medical Advertisements Ordinance)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
香港食品安全センター「遺伝子組換え(GM)食品の自主的表示に関するガイドライン」〔Guidelines on Voluntary Labelling of Genetically Modified(GM)Food〕(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(75KB)
香港食品安全センター「読みやすい食品ラベルの作成に関する取引ガイドライン」(Trade Guidelines on Preparation of Legible Food Label)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(1,173KB)
香港食品安全センター「栄養表示および栄養強調表示に関する技術的ガイダンスノート」(Technical Guidance Notes on Nutrition Labeling and Nutrition Claims)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(1.6MB)
香港食品安全センター「貿易のための栄養素情報表示」(Nutrition Labelling Information for Trade)(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
香港食品安全センター「香港栄養表示制度で許容されている栄養素機能表示」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(104KB)
香港政府「有機食品について」(Organic Eating)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
香港政府「有機認証とラベル」(Organic Certification and Labelling)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(1.2MB)
ジェトロ「加工食品表示ラベルに卸業者の記載が可能に」

7. その他

調査時点:2023年12月

食品や農水産物で問題や事故が起きた際に、その流通経路をさかのぼって追跡・確認できるようにするため、「食物安全条例」(Cap.612 Food Safety Ordinance)では食品輸入業や食品卸売業を行うすべての事業者に対し、食物環境衛生署(FEHD)への登録が義務付けられています。ただし、FEHDで香港ホーカー(屋台)のライセンスを取得済み、FEHDに食品輸入業者として登録されているなどの場合、卸売業者の登録は免除されます。