日本からの輸出に関する制度

菓子の輸入規制、輸入手続き

品目の定義

本ページで定義する菓子のHSコード

1704.10:砂糖菓子(ホワイトチョコレートを含むものとし、ココアを含有しないものに限る)- チューインガム(砂糖で覆ってあるかないかを問わない)
1704.90:砂糖菓子(ホワイトチョコレートを含むものとし、ココアを含有しないものに限る)- その他のもの
1806.20:砂糖菓子- その他の調製品(塊状、板状または棒状のもので、その重量が2キログラムを超えるものおよび液状、ペースト状、粉状、粒状その他これらに類する形状のもので、正味重量が2キログラムを超える容器入りまたは直接包装にしたものに限る)
1806.31:砂糖菓子- その他のもの(塊状、板状または棒状のものに限る)- 詰物をしたもの
1806.32:砂糖菓子- その他のもの(塊状、板状または棒状のものに限る)- 詰物をしていないもの
1806.90:砂糖菓子- その他のもの(塊状、板状または棒状のものに限る)- その他のもの
1905.31:ベーカリー製品- スイートビスケット
1905.90:ベーカリー製品- その他のもの
2105.0010:アイスクリーム
2105.0090:その他の冷凍菓子、ココアの有無を問わず

香港の食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2022年7月

香港特別行政区基本法「冷凍菓子に関する規則」(Cap.132AC Frozen Confections Regulation)Part2-6により、1グラムあたり5万個を超える細菌、または1グラムあたり100個を超える大腸菌を含む冷凍菓子(アイスクリーム含む)を輸入・販売することはできません。また、香港食物環境衛生署の署長が許可した場合を除き、小豆シャーベット(紅荳冰)、および小豆アイスキャンディー(紅荳雪條)以外のすべての冷凍菓子は、製造過程で加熱処理が施されている必要があります。

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2022年7月

香港では使用される農薬について、ポジティブリスト制を採用しています。「食品中の残留農薬の規則」(Cap.132CM Pesticide Residues in Food Regulation)Schedule 1で農薬と食品との組み合わせごとに定められている最大残留基準値あるいは外因性最大残留許容量に照らし、含有量が規定値を超えている場合、該当する食品の輸入・販売などは禁止されています。また、Schedule 2には規制対象外の農薬が挙げられています。

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2022年7月

重金属規則

2019年11月から施行された「2018年食品混入不純物(金属汚染物質含有量)(改正)規則」〔 (Cap.132V Food Adulteration (Metallic Contamination)(Amendment)Regulation 2018)〕では、規制対象となる「特定金属」の含有上限量とそれに対応する「特定食品」を列挙しており、当該食品が「特定食品」を原料として含む場合には、同法の基準に従う必要があります。

なお、規制対象である「特定金属」と「特定食品」の組み合わせおよび含有上限量ついては、「食品混入不純物(金属汚染物質含有量)(改正)規則」の付表第2部(Part 2 Maximum Level of Metal in Food)にリスト化されています。

複数の原料から構成される「複合食品」についても、「特定食品」が配合されている場合には規制対象となります。また、改正規則3(4)に規定されたとおり、「複合食品のすべての原料が特定食品に該当する場合」には、当該「複合食品に含まれる特定金属の上限量は、各原料の特定金属の上限量に、この複合食品に含まれる各原料の割合、重量比を乗じた値の合算」となります。

加えて、「特定金属」ではない金属であっても、危険値である、または有害性が疑われるような量の金属を含有する食品はいかなるものでも、ヒトの消費用に輸入・委託・配送・製造・販売することが禁止されています。

菓子に関連する「特定金属」の主な含有上限量は、次のとおりです。ただし、前述のとおり、食品を組み合わせた「複合食品」に該当する場合には、基準値が変化するため、関連リンクなどを参照のうえ、確認してください。

ヒ素および重金属などの許容量リスト
特定金属 特定食品 含有上限量(mg/kg)
アンチモン 穀物 1
ヒ素(総ヒ素として) 穀物(コメ以外) 0.5
食用油脂(魚油以外) 0.1
ファットスプレッド、ブレンディッドスプレッド 0.1
食用塩 0.5
カドミウム 穀物(ソバ・カニワ・キヌア・小麦・コメを除く) 0.1
小麦 0.2
食用塩 0.5
クロム 穀物 1
果実(クランベリー・フサスグリ・ニワトコの実を除く) 0.1
果実ジュース(ベリーなどの小さな果実から作られたジュースは除く) 0.03
ベリーなどの小さな果実から作られたジュース 0.05
ジャム・ゼリー・マーマレード 0.4
穀物(ソバ・カニワ・キヌアを除く) 0.2
栗の缶詰・栗のピューレの缶詰 0.05
コーヒー豆 0.5
コーヒー飲料 0.2
0.02
二次乳製品 0.02
食用油脂 0.1
ファットスプレッド、ブレンディッドスプレッド 0.1
食用塩 2
水銀(総水銀として) 玄米・精米・トウモロコシ・トウモロコシ粉・小麦・小麦粉 0.02
0.01
二次乳製品 0.01
食用塩 0.1

有害物質

冷凍菓子(アイスクリーム含む)については、1グラム当たり細菌数が5万個、または大腸菌が100個を超える製品を輸入・販売することはできません。

また、有害物質に関しては「食品有害物質規則」(Cap.132AF Harmful Substances in Food Regulations)Schedule 1に挙げられている物質が規定量を超えている場合、また同Schedule 2に挙げられている物質が含まれている場合、該当する食品の輸入・販売などは禁止されています。

2021年7月14日には、「2021年食品有害物質(改正)規則(Harmful Substances in Food (Amendment) Regulation (2021))が可決されました。前述の規則により、一部成分の許容基準値が改正または新設となり、2023年6月1日から施行されます。菓子に関連する有害物質のうち、改正または新設となったものについては、次の表を参照のうえ、関連リンクの内容を確認してください。

改正または新設となった食品有害物質の許容量リスト(2023年6月1日より有効)
特定有害物質 特定食品 含有上限量
アフラトキシンB1 乳タンパク質から製造された調整乳を除く、乳児用調製粉乳及びフォローアップミルク 0.1µg/kg
生後36ヶ月以下の乳幼児による摂取を前提とした、上記以外の全ての食品 0.1µg/kg
アフラトキシン総量
(アフラトキシンB1、B2、G1、G2の合計)
調理前のアーモンド、ブラジルナッツ、ヘーゼルナッツ、ピーナッツ及びピスタチオ 15µg/kg
調理前のピーナッツ、アーモンド、ブラジルナッツ、ヘーゼルナッツ及びピスタチオから製造された食品 15µg/kg
香辛料 15µg/kg
その他の食品 10µg/kg
エルカ酸 低エルカ酸菜種油 脂肪酸の重量の2%
その他の油、脂肪、又は油脂 脂肪酸の重量の5%
油、脂肪、又は油脂が加えられたその他の食品 食品中の全ての油及び脂肪に含まれる脂肪酸の重量の5%
メラミン 生後12ヶ月以下の乳幼児による摂取を前提とした乳児用調整液体乳及び液体フォローアップミルク 0.15mg/kg
上記以外の乳 1mg/kg
生後36ヶ月以下の乳幼児による摂取を前提としたその他の食品 1mg/kg
妊婦及び授乳中の女性による摂取を前提とした全ての食品 1mg/kg
その他の全ての食品 2.5mg/kg

さらに、トランス脂肪酸の主原因である水素添加油脂の使用については、部分的禁止や原材料表示などの新たな規則が設けられ、改正後の規則は2023年12月1日から施行されます。具体的には次のとおりです。詳しくは、関連リンクの「2021年食品有害物質(改正)規則ガイドライン」を参照してください。

部分水素添加油脂(PHO)について
PHOを含む油脂の輸入禁止
PHOを含む食品の販売および流通の禁止
水素添加油脂に関する原材料表示について
水素添加油脂(例:完全水素添加油脂)を含む油脂や包装食品について、原材料表示に「水素添加油脂」と記載するか、原材料表示の油脂名に「水素添加」と記載が必要

4. 食品添加物

調査時点:2022年7月

香港では着色料・甘味料・食品保存料に関する規則があります。

着色料に関しては「食品着色料規則」(Cap.132H Colouring Matter in Food Regulations)Schedule 1に挙げられている着色料を使用することができます。ベニバナ色素、ベニコウジ色素については使用が認められていないため、輸出食品について使用の有無を確認する必要があります。ビートレッドやクチナシ色素(赤、青、緑、黄)など、天然植物由来色素は認可されています。ほかに使用が認められている着色料については、その他参考情報の「許可された着色料:天然色素」を参照してください。

甘味料に関しては「食品甘味料規則」(Cap.132U Sweeteners in Food Regulations)Scheduleに挙げられている甘味料を使用することができます。食品に使用できる甘味料は次のとおりです。 なお、ソルビトールは甘味料の定義には含まれませんが、食品安全センターの「よくある質問:食品添加物・汚染物質」によると、適正製造規範(GMP)基準での使用が認められています。

  • アセスルファムカリウム
  • アリテーム
  • アスパルテーム
  • アスパルテーム-アセスルファム塩
  • サイクラミン酸
  • サッカリン
  • スクラロース
  • ソーマチン
  • ネオテーム
  • ステビオールグリコシド

食品保存料に関しては「食物中の保存料規則」(Cap.132BD Preservatives in Food Regulation)Schedule 1, No.6に挙げられている食品保存料を、規定量の範囲内で使用することができます。

それ以外の食品添加物については、その使用に特定の規則は定められていません。しかし、「公衆衛生および市政条例」第V部に従い、食品販売者は各自使用するものが安全で食用に適していることを確保しなければなりません。
また、キャリーオーバーについて明確な定めはありません。

5. 食品包装(食品容器の品質または基準)

調査時点:2022年7月

なし

6. ラベル表示

調査時点:2022年7月

「食品および薬品(成分および表示)規則」〔Cap.132W Food And Drugs(Composition And Labelling)Regulations〕(以下、表示規則と表記)に基づき、香港内で販売する商品に対して食品製造者および包装業者は、次の項目を英語または中国語、あるいは英語と中国語の併用で表示することが求められます。

  1. 食品名
  2. 原材料リスト(原材料、アレルギー性物質、添加物を含む)
    • 原材料:重量または容量の多い順に表示する
    • アレルギー性物質:グルテンを含む穀物、甲殻類および甲殻類製品、卵および卵製品、魚および魚製品、ピーナッツ・大豆およびそれらの製品、乳および乳製品(乳糖を含む)、木の実とナッツ製品、10ppm以上の亜硫酸塩
    • 添加物:コーデックス委員会(CODEX)による国際番号システム(INS)に基づく(a)機能分類および(b)名称または識別番号または「E」もしくは「e」から始まる識別番号
  3. 賞味期限または消費期限
    賞味期限(“best before”)および消費期限(“use by”)は、アラビア数字、または英語または中国語で表示する必要がある
    例: Best before: 1 Oct 2016(英語)、此日期前最佳: 2016年10月1日(中国語)
    ただし、チューインガムとその類似製品は表示不要。
  4. 保管に対する特別な条件、または使用上の注意に関する説明
  5. 製造者または包装業者の名前と住所
    ただし、次の条件が満たされる場合には、表示義務が免除されます
    1. 次の i ~ iii の情報が印字またはラベル表記されている場合
      1. 原産国
      2. 香港における販売業者や商標所有者の名称
      3. 香港における販売業者や商標所有者の登記済み事務所または本社の所在地
    2. 香港における販売業者や商標所有者により、原産国における食品製造者や包装業者の正式所在地が書面で当局に通知されている場合
    3. 次の i および ii を満たす場合
      1. 原産国のラベル表記に加え、当該国での製造者または包装業者を特定するコードが表示されている
      2. コードおよびコードに紐づけられた製造業者や包装業者の詳細が、当該製造業者または包装業者、あるいは香港における販売業者または商標所有者により、書面で当局に通知されている
    4. 食品の製造工場または包装工場その他の場所が、原産国の政府により所有、操業、または経営されており、当該食品が当該政府の製品であることを示す方式で印字またはラベル表記されている場合
  6. 数量、重量または容量
    1. 包装済み食品は、内容物の数量、または食品の正味重量や正味体積を明確に表記またはラベル付けする必要がある
    2. 正味重量および正味体積は、実行可能な限り、「度量衡条例」 (Cap. 68) または「メートル法条例」(Cap. 214)の第1附則に規定される国際単位基準に従って表示するものとする(ただし、許容誤差については規定なし)
  7. 栄養成分(必須項目:エネルギー、タンパク質、炭水化物、総脂質、飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、ナトリウム、糖。免除項目は表示規則のschedule6を参照)

冷凍菓子の容器には、冷凍菓子の製造者の名称と住所を英語で表示する必要があります。
加えて、ソフトアイスクリームには、容器ごとに製造日時を表示する義務があります。

なお、次の製品に対してはすべての表示義務が免除されます。

  1. 飲食店で即時の消費のために販売された包装済みの食品
  2. 個別にラッピングされ、単品で販売される菓子

表示またはラベル貼付の規定の免除は表示規則のschedule4「Items exempt from Schedule 3」(付表3の規定を免除される項目)を確認してください。また、バイオテクノロジー原料を含む食品(GM食品など)についての表示は現在任意で行われています。

また、ビジネス上支障が生じるなどの事情がある場合には、ラベル表示に製造業者もしくは包装業者の代わりに、現地の卸業者(ディストリビューター)の情報記載をすることも可能です。詳しい手続きについては、関連リンク「加工食品表示ラベルに卸業者の記載が可能に」などを参照のうえ、確認してください。

さらに2023年12月1日からは、水素添加油脂(例:完全水素添加油脂)を含む油脂や包装食品について、原材料表示に「水素添加油脂」と記載するか、原材料表示の油脂名に「水素添加」と記載が必要です。詳しくは、関連リンクの「2021年食品有害物質(改正)規則ガイドライン」を参照してください。

7. その他

調査時点:2022年7月

食品や農水産物で問題や事故が起きた際に、その流通経路をさかのぼって追跡・確認できるようにするため、「食物安全条例」(Cap.612 Food Safety Ordinance)では食品輸入業や食品卸売業を行うすべての事業者に対し、食物環境衛生署(FEHD)への登録が義務付けられています。ただし、FEHDで香港ホーカー(屋台)のライセンスを取得済み、FEHDに食品輸入業者として登録されているなどの場合、卸売業者の登録は免除されます。

また、「冷凍菓子に関する規則」(Cap.132AC Frozen Confections Regulation)により、次の内容が定められています。

  • ソフトアイスクリーム以外の冷凍菓子は-2℃以下の場所で保存しなければならない。
  • 冷凍菓子は他の物品と分けて保存しなければならない。
  • 冷凍菓子は製造者が提供した本来の容器内に保存された状態で販売しなければならない。