日本からの輸出に関する制度

清涼飲料水の輸入規制、輸入手続き

品目の定義

本ページで定義する清涼飲料水のHSコード

2202.10 :水(鉱水および炭酸水を含むものとし、砂糖その他の甘味料または香料を加えたものに限る)
2202.90 :その他のもの

香港の輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2022年7月

清涼飲料水について日本から輸入が禁止されている品目はありません。また、清涼飲料水に関する特別な放射性物質規制もありません。

ただし、水素添加油脂の使用については、部分的禁止や原材料表示などの新たな規則が設けられ、改正後の規則は2023年12月1日から施行されます。詳細は「3.重金属および汚染物質」を参照してください。

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2022年7月

日本から清涼飲料水を輸出するにあたって、特別な許可などは必要ありません。

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2022年7月

なし

香港の食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2022年7月

清涼飲料水に関する特別な食品規格はありません。

なお、酒類(Liquor)とは、「課税商品条例第109条」(Cap.109 Dutiable Commodities Ordinance)Section 53 に次のように定義されています。

  • エチルアルコール含有量(体積)が 1.2%を上回る全ての液体を指す。
  • ただし、変性アルコールおよび商品の成分として含まれている液体のうち純粋なエチルアルコールまたはアルコール飲料に変換できない(変換が経済的でない)ものは含まない。
    これに該当しないものは、清涼飲料水と解釈できます。

2. 残留農薬および動物用薬品

調査時点:2022年7月

香港では使用される農薬について、ポジティブリスト制を採用しています。「食品中の残留農薬の規則」(Cap.132CM Pesticide Residues in Food Regulation)Schedule 1で農薬と食品との組み合わせごとに定められている最大残留基準値あるいは外因性最大残留許容量に照らし、含有量が規定値を超えている場合、該当する食品の輸入・販売などは禁止されています。また、Schedule 2には規制対象外の農薬が挙げられています。

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2025年10月

重金属規則

2019年11月より施行された「2018年食品混入不純物(金属汚染物質含有量)(改正)規則」(Cap.132V Food Adulteration (Metallic Contamination) (Amendment) Regulation 2018)では、規制対象となる「特定金属」の含有上限量とそれに対応する「特定食品」を列挙しており、当該食品が「特定食品」を原料として含む場合には、同法の基準に従う必要があります。
規制対象である「特定金属」と「特定食品」の組み合わせ、および含有上限量については、「食品混入不純物(金属汚染物質含有量)(改正)規則」の付表第2部(Part 2 Maximum Level of Metal in Food)にリスト化され、規則本文と共に電子版で公開されています(詳しくは、関連リンク電子版香港法例「食品混入不純物(金属汚染物質含有量)規則」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照)。
四つの列(Column)からなる第2部では、一列目は特定金属(Metal)、二列目は特定食品(Food)、三列目は含有上限量(Maximum Level)を確認することができます。四列目の注釈(Note)については説明が付表の最下部に記載されています。なお、特定金属によって特定食品の種類が違いますので、まずは特定食品の列から確認することを推奨します。
また、複数の原料から構成される「複合食品」についても、「特定食品」が配合されている場合には規制対象となります。また、改正規則3(4)に規定されたとおり、「複合食品のすべての原料が特定食品に該当する場合」には、「(当該)複合食品に含まれる特定金属の上限量は、各原料の特定金属の上限量を、この複合食品に含まれる各原料の割合、重量により乗じた値の合算」となります。
加えて、「特定金属」ではない金属であっても、危険値であるまたは有害性が疑われるような量の金属を含有する食品は、いかなるものでもヒトの消費用に輸入・委託・配送・製造・販売することが禁止されています。

有害物質について

飲料水に含まれる微生物については、瓶などの容器入りのナチュラルミネラルウオーターの場合、大腸菌、総大腸菌群、腸球菌(糞便連鎖菌)、緑膿菌、亜硫酸還元嫌気性菌について5サンプルの検査を行い、それぞれに基準を設定しています。瓶など容器入りの飲料水(蒸留水やミネラル添加水)の場合、検査項目は3つになり、大腸菌および総大腸菌群が0/100ml、緑膿菌は0/250mlと基準を定めています。

また、有害物質に関しては「食品有害物質規則」(Cap.132AF Harmful Substances in Food Regulations)のSchedule 1に挙げられている物質が規定量を超えている場合、また同Schedule 2に挙げられている物質が含まれている場合、該当する食品の輸入・販売などは禁止されています。

2021年7月14日には、「2021年食品有害物質(改正)規則(Harmful Substances in Food (Amendment) Regulation (2021))が可決されました。前述の規則により、一部成分の許容基準値が改正または新設となり、2023年6月1日から施行されます。清涼飲料水に関連する有害物質のうち、改正または新設となったものについては、次の表を参照のうえ、関連リンクの内容を確認してください。

改正または新設となった食品有害物質の許容量リスト(2023年6月1日より有効)
特定有害物質 特定食品 含有上限量
アフラトキシンB1 乳タンパク質から製造された調整乳を除く、乳児用調製粉乳及びフォローアップミルク 0.1mcg/kg
生後36ヶ月以下の乳幼児による摂取を前提とした、上記以外の全ての食品 0.1mcg/kg
アフラトキシン総量
(アフラトキシンB1、B2、G1、G2の合計)
調理前のアーモンド、ブラジルナッツ、ヘーゼルナッツ、ピーナッツ及びピスタチオ 15mcg/kg
調理前のピーナッツ、アーモンド、ブラジルナッツ、ヘーゼルナッツ及びピスタチオから製造された食品 15mcg/kg
香辛料 15mcg/kg
その他の食品 10mcg/kg
メラミン 生後12ヶ月以下の乳幼児による摂取を前提とした乳児用調整液体乳及び液体フォローアップミルク 0.15mg/kg
上記以外の乳 1mg/kg
生後36ヶ月以下の乳幼児による摂取を前提としたその他の食品 1mg/kg
妊婦及び授乳中の女性による摂取を前提とした全ての食品 1mg/kg
その他の全ての食品 2.5mg/kg

さらに、トランス脂肪酸の主原因である水素添加油脂の使用については、部分的禁止や原材料表示などの新たな規則が設けられ、改正後の規則は2023年12月1日から施行されます。具体的には次のとおりです。詳しくは、関連リンクの「2021年食品有害物質(改正)規則ガイドライン」を参照してください。

部分水素添加油脂(PHO)について
PHOを含む油脂の輸入禁止
PHOを含む食品の販売および流通の禁止
水素添加油脂に関する原材料表示について
水素添加油脂(例:完全水素添加油脂)を含む油脂や包装食品について、原材料表示に「水素添加油脂」と記載するか、原材料表示の油脂名に「水素添加」と記載が必要

4. 食品添加物

調査時点:2022年7月

香港では着色料・甘味料・食品保存料に関する規則があります。

着色料に関しては「食品着色料規則」(Cap.132H Colouring Matter in Food Regulations)Schedule 1に挙げられている着色料を使用することができます。ベニバナ色素、ベニコウジ色素については使用が認められていないため、輸出食品について使用の有無を確認する必要があります。INS162ビートレッドやクチナシ色素(赤、青、緑、黄)など、天然植物由来色素は認可されています。ほかに使用が認められている着色料については、その他参考情報の「許可された着色料:天然色素」を参照してください。

甘味料に関しては「食品甘味料規則」(Cap.132U Sweeteners in Food Regulations)Scheduleに挙げられている甘味料を使用することができます。
食品に使用できる甘味料は次のとおりです。 なお、ソルビトールは甘味料の定義には含まれませんが、食品安全センターの「よくある質問:食品添加物・汚染物質」によると、適正製造規範(GMP)基準での使用が認められています。

  • アセスルファムカリウム
  • アリテーム
  • アスパルテーム
  • アスパルテーム-アセスルファム塩
  • サイクラミン酸
  • サッカリン
  • スクラロース
  • ソーマチン
  • ネオテーム
  • ステビオールグリコシド

食品保存料に関しては「食物中の保存料規則」(Cap.132BD Preservatives in Food Regulation)のSchedule 1, No.6に挙げられている食品保存料を、規定量の範囲内で使用することができます。

それ以外の食品添加物については、その使用に特定の規則は定められていません。しかし、「公衆衛生および市政条例」第V部に従い、食品販売者は各自使用するものが安全で食用に適していることを確保しなければなりません。
また、キャリーオーバーについて明確な定めはありません。

5. 食品包装規制(食品容器の品質または基準)

調査時点:2022年7月

なし

6. ラベル表示

調査時点:2022年7月

「食品および薬品(成分組成および表示)規則」〔Cap.132W Food And Drugs(Composition And Labelling)Regulations〕(以下、表示規則と表記)に基づき、香港内で販売する商品に対して食品製造者および包装業者は、次の項目を英語または中国語、あるいは英語と中国語の併用で表示することが求められます。

  1. 食品名
  2. 原材料リスト(原材料、アレルギー性物質、添加物を含む)
    • 原材料:重量または容量の多い順に表示する。ただし、二酸化炭素以外の成分が添加されていない炭酸水に、炭酸化されたことが表示された場合、または単一の原料で構成されている場合、原材料リストの表示は不要。
    • アレルギー性物質:グルテンを含む穀物、甲殻類および甲殻類製品、卵および卵製品、魚および魚製品、ピーナッツ・大豆およびそれらの製品、乳および乳製品(乳糖を含む)、木の実とナッツ製品、10ppm以上の亜硫酸塩
    • 添加物:コーデックス委員会(CODEX)による国際番号システム(INS)に基づく(a)機能分類および(b)名称または識別番号または「E」もしくは「e」から始まる識別番号
  3. 賞味期限または消費期限
    • 賞味期限(“best before”)および消費期限(“use by”)は、アラビア数字、または英語または中国語で表示する必要がある
      例: Best before: 1 Oct 2016(英語)、此日期前最佳: 2016年10月1日(中国語)
  4. 保管に対する特別な条件、または使用上の注意に関する説明
  5. 製造者または包装業者の名前と住所
    ただし、次の条件が満たされる場合には、表示義務が免除されます
    1. 次の(i)~(iii)の情報が印字またはラベル表記されている場合
      1. 原産国
      2. 香港における販売業者や商標所有者の名称
      3. 香港における販売業者や商標所有者の登記済み事務所または本社の所在地
    2. 香港における販売業者や商標所有者により、原産国における食品製造者や包装業者の正式所在地が書面で当局に通知されている場合
    3. 次の(i)および(ii)を満たす場合
      1. 原産国のラベル表記に加え、当該国での製造者または包装業者を特定するコードが表示されている
      2. コードおよびコードに紐づけられた製造業者や包装業者の詳細が、当該製造業者または包装業者、あるいは香港における販売業者または商標所有者により、書面で当局に通知されている
    4. 食品の製造工場または包装工場その他の場所が、原産国の政府により所有、操業、または経営されており、当該食品が当該政府の製品であることを示す方式で印字またはラベル化されている場合
  6. 数、重量または容量
    1. 包装済み食品は、内容物の数量、または食品の正味重量や正味体積を明確に表記またはラベル付けする必要がある
    2. 正味重量および正味体積は、実行可能な限り、「度量衡条例」 (Cap. 68) または「メートル法条例」(Cap. 214)の第1附則に規定される国際単位基準に従って表示するものとする(ただし、許容誤差については規定なし)
  7. 栄養成分(必須項目:エネルギー、タンパク質、炭水化物、総脂質、飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、ナトリウム、糖。免除項目は表示規則のschedule6を参照)
    ※ただし、天然水、ミネラルウオーター、および二酸化炭素以外の成分が添加されていない、かつ炭酸化されたことが表示された炭酸水については、栄養表示は不要。

表示またはラベル貼付規制の免除は、表示規則のschedule4「schedule3の規定を免除される項目」で確認してください。また、バイオテクノロジー原料を含む食品(GM食品など)の表示は現在任意で行われています。

また、ビジネス上支障が生じるなどの事情がある場合には、ラベル表示に製造業者もしくは包装業者の代わりに、現地の卸業者(ディストリビューター)の情報記載をすることも可能です。詳しい手続きについては、関連リンク「加工食品表示ラベルに卸業者の記載が可能に」などを参照のうえ、確認してください。

さらに2023年12月1日からは、水素添加油脂(例:完全水素添加油脂)を含む油脂や包装食品について、原材料表示に「水素添加油脂」と記載するか、原材料表示の油脂名に「水素添加」と記載が必要です。詳しくは、関連リンクの「2021年食品有害物質(改正)規則ガイドライン」を参照してください。

7. その他

調査時点:2022年7月

食品や農水産物で問題や事故が起きた際に、その流通経路をさかのぼって追跡・確認を可能にするため、食物安全条例では食品輸入業や食品卸売業を行うすべての者に対し、香港食物環境衛生署(FEHD)への登録を義務付けています。ただし、FEHDで香港ホーカー(屋台)のライセンスを取得済み、FEHDに食品輸入業者として登録されているなどの場合、卸売業業者の登録は免除されます。

香港での輸入手続き

1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)

調査時点:2022年7月

香港では、清涼飲料水を輸入・販売するためには、食品輸入業者および卸売業者に対して香港食物環境衛生署(FEHD)への登録が義務付けられています。登録する際に、事業登録証明書(Business Registration)、身分証明書とその他の書類〔会社設立証明書(Certificate of Incorporation)など〕のコピー、および食品輸入業者・卸売業者登録申請書(Application for Registration as Food Importer / Food Distributor)を提出する必要があります。

2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:2022年7月

輸入(船積、航空貨物)商品にはすべて輸入陳述書(Import Statement)を添付します。輸入商品に課税商品を含まない場合は、その旨を明記した陳述書を添付しなければなりません。輸入陳述書の添付は、「課税商品条例第109条」(Cap.109 Dutiable Commodities Ordinance)により義務付けられています。通関に伴う提出書類は次のとおりです。

  • 積荷目録(マニフェスト)
  • エアウェイビル(航空貨物運送状)、オーシャンB/L(船荷証券)、またはほかの同様の書類
  • インボイスおよびパッキングリスト
  • 引渡し指図書(リリースレター)または貨物保管通知

香港への日本産食品の輸出に当たっての注意喚起

  • 香港において、2023年9月14日以降、日本から輸入された食品の通関手続が大幅に遅延する事例が一部で発生しています。香港政府によると、これは放射性物質規制とは無関係で、輸入貨物の集中に加え、通関手続において追加情報を求められるケースがあったことが原因であり、通関スタッフの増加によりスピードアップを図る方針が示されています。
  • 本件に際して香港政府は、通関手続に時間を要するのは複数の要因があるものの、貨物の集中のほか、添付書類の記載内容の明確さや完全さ等による場合があることから、特に個別のロットの中に異なる種類や異なる産地の食品が混載されている貨物の場合において、明確、完全かつ正確な書類を添付するよう、注意を呼び掛けています。
  • このことを踏まえ、各輸出業者におかれては、香港側の輸入業者と十分に連絡をとり、適切に対応するようにしてください。

3. 輸入時の検査・検疫

調査時点:2022年7月

香港では、「公衆衛生および市政条例第132章第59条」(Cap.132 Section59 The Public Health And Municipal Services Ordinance)に基づき、香港食物環境衛生署(FEHD)が輸入食品を検査する権限を有しています。

輸入時における通関では、積荷目録(マニフェスト)などの書類の検査、および必要に応じて輸入される商品のサンプル検査が行われます。サンプル検査に関しては、関連リンクの食品監視プログラム(Food Surveillance Programme)を参照してください。

4. 販売許可手続き

調査時点:2022年7月

非ボトル入り清涼飲料水(作りたての飲み物など)と涼茶(ハーブティー)は販売制限類食品となっており、それらの販売に対して、それぞれ非ボトル入り清涼飲料水の販売許可証(Non-bottled Drinks Permit)と涼茶の販売許可証(Chinese Herb Tea Permit)、または総合食品売店のライセンスの取得が必要です。

5. その他

調査時点:2022年7月

なし