為替管理制度
最終更新日:2022年09月02日
管轄官庁/中央銀行
国立アル・マグリブ銀行、為替局。
国立アル・マグリブ銀行(Bank Al-Maghrib
)
所在地:277, Avenue Mohammed V Boîte postale 445 – Rabat
Tel:212 (0)8 02 00 01 11
為替局(Office des Changes
)
所在地:31, Av. PATRICE LUMUMBA, B.P. 71 – Rabat
Tel:212 (0)5 37 26 63 63
為替相場管理
為替バンド制。
2018年1月15日より為替バンド制が導入され、通貨変動幅は従来の上下0.3%から上下2.5%に拡大、さらに2020年にこれが5%に拡大された。為替レートは、通貨バスケット制(ユーロ60%、米ドル40%)に基づいた中央値から変動する。変動為替制度への段階的な移行に向けた一歩となる。
貿易取引
決済通貨に関する規制はない。
決済通貨に関しては、特段の規制はない。
貿易取引における決済手段としては、前払い、プレファイナンス、後払い、D/P(Documents against Payment)、D/A(Documents against Acceptance)、信用状等の方法がある。
貿易外取引
入国時における10万ディルハム相当額以上の外貨、および無記名債の持ち込みについては、申告義務がある。
出国時には、10万ディルハム以下プラス所得税額の30%相当の金額まで持ち出せる(合計で30万ディルハムが上限)。
入国の際、10万ディルハム相当額以上の外貨や無記名債を持ち込むためには、申告しなければならない。また、出国時、10万ディルハム以上の外貨を持ち出すためには、入国時に申告書を提出する必要がある。
出国に際し、10万ディルハム以下プラス所得税額の30%相当の金額まで持ち出せる(合計で30万ディルハムが上限)。
資本取引
外国人による株式保有比率に制限はない。
外国企業は、モロッコでの投資によって得た利益(税引後)を、金額と期間の制限なく外国に自由に送金できる。投資案件の全部あるいは一部を譲渡・清算して得た資金も、キャピタル・ゲインを含めて外国に送金できる。
モロッコへの投資は、外国通貨およびディルハムで行うことが可能で、事前に為替当局の同意を得る必要はない。
為替局:モロッコへの外国投資 "Réalisation de l’investissement étranger au Maroc"
関連法
2022年1月3日付「為替取引に関わる総則(Instruction Générale des Opérations de Change:IGOC)2022」。
2022年1月3日より「為替取引に関わる総則(Instruction Générale des Opérations de Change 2022(1.9MB))」に、為替関連の法規がまとめられている。
その他
「IGOC 2022」では、法人による外国投資を目的とした国外送金の年間上限額が2億ディルハムに増額、国内のスタートアップ企業に対してECによる取引の上限額を100万ディルハムに増額。
モロッコ政府は為替管理制度の緩和を進めており、現行の法規と変更内容を「為替取引に関わる総則(Instruction Générale des Opérations de Change:IGOC)」にまとめている。最新の「IGOC 2022」による主な措置は、次のとおり。
- 法人による外国投資を目的とした国外送金の年間上限額が2億ディルハムに増額。
- 国内のスタートアップ企業に対して電子取引の上限額を100万ディルハムに増額。
- 財・サービスの輸入における前払いの際の上限額を撤廃。
- 輸出に必要なサービスの輸入に関して国際的な決済カードによる支払いを許可。
- 外国為替建てあるいはディルハム建ての口座を持たない法人に対して、20万ディルハムを上限として、国際的な決済カードを利用したサービスの輸入を許可。
なお、「IGOC 2022」の改訂前の「IGOC 2020」の際に規定された主な措置は、次のとおり。
- 財の輸入の決済に際して、輸入業者に手形金額の10%を超える金額を、超過分が税関により徴収されるものであることを条件として、支払うことを許可。
- 事前要件を満たしていることを証明できるヘッジ取引を許可。
- サービスの輸入に関して、国外のデータベース利用およびライセンス権の12カ月分までの前払いを許可。
- 国外市場への入札を行うサービス輸出業者に対して、入札に関連した費用の清算を目的としたモロッコ国内外での外国為替建ての口座開設を許可。
- 減税措置の対象となる企業に対して、前会計年度に支払った税額を上限として、持ち出し可能な出張費を支給することを許可。
- 所得税の対象となる協同組合に対して、国外に持ち出せる出張費用の上限が、これまでの定額6万ディルハムから課税額(ただし、50万ディルハムを上限とする)に変更。
- 金融機関に、事業の段階に関係なく、産業加速ゾーン(Zone d'Accélération Industrielle、以前のZone Franche Industrielle=外国企業による投資呼び込みを目的に、フリーゾーンとなる産業地区が改称)に所在する企業のあらゆる局面で融資を許可。