税制

最終更新日:2023年09月01日

法人税

税率10〜31%の累進課税。

営利事業を営む株式会社(sociétés de capitaux)、公共機関、その他の法人は、収入・利益に応じ、法人税の支払いが義務付けられる。持分会社は事業所得税の支払いが義務付けられるが、法人税制度を選択することもできる(選択後の変更は不可)。なお、地方所得税はない。
モロッコ経済・財政省「租税一般規定(CODE GENERAL DES IMPOTS外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(5.6MBMB))」を参照。

2016年から法人税に単純累進課税が導入され、その後2018年1月1日より超過累進税率方式が導入されたが、税制改革の一環として2026年1月1日より一律20%の税率が課せられることが決まった。ただし、年間純利益が1億ディルハム以上の企業には35%、金融機関・保険会社には40%の税率が適用される。
2022年までの適用税率に応じて、2023年から段階的に税率の変更が行われる。

法人税の税率変更
年間純利益 2022年までの税率 2023年 2024年 2025年 2026年以降
30万ディルハム以下 10% 12.5% 15% 17.5% 20%
30万超~100万ディルハム以下 20% 20% 20% 20% 20%
100万ディルハム超 31% 28.25% 25.5% 22.75% 20%

これと合わせて、産業加速ゾーンの企業やカサブランカ・ファイナンス・シティのステータスを取得したサービス企業に適用されていた15%の特別税率も段階的に20%に引き上げられる。
公共事業を受注した外国企業の契約価格(VAT別)には特別税率の8%が適用される。

法人税に関わる主な免税措置
対象 免税期間
炭化水素鉱区の権益保有企業 生産開始から10年
会計事務所 認可取得から4年
  • 規定の工業会社
  • 専用ゾーン内外のオフショアリング企業
  • ホテル業・規定観光業の外貨建て売上利益
  • スポーツ関連企業の売上利益
  • 産業加速ゾーンの企業
事業等の開始から5年
カサブランカ・ファイナンス・シティ(CFC)のステータスを取得したサービス企業(金融機関・保険会社を除く) ステータス取得から5年(ただし企業設立から60ヶ月まで)

2017年に、新規上場企業に対する免税措置が導入された。既存株の公開による上場企業には25%、増資による上場企業には50%の減税が適用される。期間は上場後3年間。
このほか、ICT関連のスタートアップに出資する企業を対象とする減税措置もある。
法人税の申告・納税はオンラインで行う。

なお、投資促進策関連の税制優遇ゾーン(産業加速ゾーン、CFCなど)における優遇措置については、「外資に関する奨励」の項を参照。

二国間租税条約

75カ国以上と二国間租税条約を締結している。日本とは2020年1月に署名、2022年4月に発効した。

日本とは2019年10月に実質合意に至り、2020年1月に署名した。発行に必要な相互の通告が2022年3月に完了し、4月に発効となった。

欧米・中東・アフリカを中心に、スウェーデン(1961年)、フランス(1970年)、チュニジア(1974年)、米国(1977年)、エジプト(1989年) 、アルジェリア(1990年)、ロシア(1997年)、ガボン(1999年)、セネガル(2002年)、コートジボワール(2006年)、ギニア(2014年)、マリ(2014年)、ルワンダ(2020年)などと締結している。

アジアでは、韓国(1999年)、マレーシア(2001年)、中国(2002年)、シンガポール(2014年)などと締結している。

その他税制

個人所得税、付加価値税、配当金・ロイヤルティー・利子の源泉税率。

個人所得税

年間所得に応じた累進課税(最高税率38%)。

年間所得 税率
3万ディルハム以下 0%
3万超~5万ディルハム以下 10%
5万超~6万ディルハム以下 20%
6万超~8万ディルハム以下 30%
8万超~18万ディルハム以下 34%
18万ディルハム超 38%

付加価値税(VAT)

工業・手工業・商業活動、自由業、不動産業、輸入業における売上げに対して課税される。内国付加価値税と輸入付加価値税の2種類がある。小売業は年間売上高が200万ディルハム以上の場合、本税の課税対象となる。
標準税率は20%。免除・軽減税率は次のとおり。

  • 小麦粉、砂糖、乳、漁業製品、新聞、書籍などは免除。
  • 上下水道、医薬品、一部消費財、自動車・自動車部品などは7%。
  • ホテル、外食、観光、銀行・為替業務、太陽光パネルなどは10%。
  • 交通、電力などは14%。

非居住者がモロッコ国内で課税対象となる活動を行う場合、税務当局に届け出た国内居住の税務代表を通じて付加価値税を納付しなければならない。税務代表が指名されない場合は、当該非居住者に代わり、本来は納税義務を負わないモロッコ側の顧客が付加価値税の納税義務を負うことになる。非居住者がモロッコでの活動を停止した場合、税務代表は、証明書を添えて、所轄の税務署にその旨を届け出なければならない。
なお、2017年1月1日より、付加価値税(VAT)のオンライン申告・納税が義務化された。

このほかに、関税、輸入特別徴収税、地方法人所得税、事業税、都市税、都市管理税、国内消費税(タバコ税・石油税)などがある。

配当金源泉税率:10%

ロイヤルティー源泉税率:10%

利子源泉税率:10%