開発途上国ビジネス支援

西アフリカ諸国「食品(果実加工品等)」産業育成支援事業(2013年)

目的と背景

ジェトロでは、2008年に東京で開催された、第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)のフォローアップ事業の一環として、アフリカ産品の対日市場アクセスの拡大を支援してきた。内戦による政情不安が改善に向かったコートジボワールのほか、セネガル、ブルキナファソを含めた西アフリカ地域を対象に、対日輸出有望産品として食品を取り上げ、さらに、より日本市場ニーズがあると思われる、果実加工品(ドライフルーツ、ジャム、ピューレ、ジュース等)を中心に事業を実施。産品評価、現地企業・商品情報の収集、現地での製品改良指導及び日本市場参入に関する情報提供を通じて、西アフリカ産品の対日輸出促進、日本企業の調達先の多角化を図っていくこととなった。

事業内容

ヒアリング調査・サンプル品評会

西アフリカ産果実加工品のほか、当初はコートジボワール産カカオ豆・カカオ加工品についても対象品目の一つとして選定し、日本市場ニーズを把握すべく、企業関係者へのヒアリング、およびサンプルの品評会を2013年7、8月に日本で実施した。

専門家によるサンプル品評

果実加工品

西アフリカ産食品のサンプル及び他機関プロジェクトより共有のあったブルキナファソ産ドライマンゴーについて、日本の輸入商社による品評会を実施した。その結果、セネガルのジャム(バオバブ、マンゴー、ジンジャー等)及びブルキナファソのドライマンゴーに関しては、高い評価と対日輸出にかかる具体的な課題について指摘を得ることができ、その後の専門家派遣による指導・助言を実施。対日輸出の可能性が判明した。

コートジボワール産カカオ豆・カカオ加工品

大手輸入商社、メーカーなど日本側へのヒアリングの結果、ガーナ1カ国への依存への懸念からは関心を抱いている一方で、品質・供給面や政情不安等の懸念から、ガーナを上回る比較競争性がみえないとの理由から、積極的な産地開拓ニーズはない事が判明。また、ヨーロッパ諸国への輸出で充足しているコートジボワール企業の日本市場参入意欲への懸念も聞かれた。

ジャムの商品棚

果実加工品専門家派遣

前述の事情を踏まえて、果実加工品の輸入実績豊富な専門家を2014年1、2月にブルキナファソ、セネガル、コートジボワールに派遣し、企業や各国輸出促進機関を訪問し、産品情報・企業情報の収集、商品品質改善に向けた助言、日本市場情報の共有等を行った。また、コートジボワールでは、日本の食品見本市「国際食品・飲料展(FOODEX JAPAN)」(2014年3月)出展予定企業との意見交換会も実施し、来場者対応や展示会に向けて用意すべき資料について解説した。

企業訪問:ブルキナファソ

FOODEX参加予定企業との意見交換会

成果と課題

専門家派遣でコンタクトした企業からは、専門家の助言の有効性を評価するコメントがあったほか、包装方法など実践的なコメントへの評価もあった。FOODEX出展予定企業からは、商品のプレゼンテーションや来場者対応の専門家による指南などに評価が得られた。その後のフォローアップで、FOODEX出展時には、製造工程表や原材料表等の資料や、サンプルを豊富に持参して来場者対応を行っている企業も見受けられた。 なお、コンタクトした企業によって、専門家の指摘を活かす姿勢や、日本市場参入意欲にもばらつきがみられた。これらの差が、商機をつかむ能力や将来的なビジネスの結果として跳ね返ってくるとみられる。

本事業の概要は英語でもご紹介しています。

  • Promotion of Export of West African Food Products (2013)