開発途上国ビジネス支援 ペルー「高抗酸化食品」対日輸出支援事業(2013~2015年)

目的と背景

ペルー政府が推進する日本発祥の「一村一品」運動に対して、ジェトロは、これまでペルー「一村一品」産品の対日輸出実現に向けて協力を行ってきた。ペルー産の果実加工品を中心に日本の専門家による対日輸出有望調査を実施(2010年度、2012年度)してきたが、輸出実績のない産品に対して、日本市場参入への突破口となるような特徴や品質を打ち出す必要があった。そこで2013年度からは、日本市場において高まる健康志向と自然素材へのニーズに応える切り口として、ペルーには「抗酸化機能」が高い産品が多いことに着目し調査を再開。2014年度には抗酸化成分を含む10産品(以下、品評会冊子情報参照)を対日輸出支援対象産品として選定した。

事業概要

選定した「高抗酸化食品」を日本企業へ紹介する場として、在京ペルー大使館と協力し、日本において品評会を開催(2015年2月)、続くFOODEX 2015(2015年3月)への出展を通じて、対日輸出に向けた日本企業のニーズ調査を行った。特に今回は、品評会実施の事前準備として、機能性を説明するため、抗酸化力を数値で示す成分分析(ORAC値:活性酸素吸収能力)を実施し、その他詳細の産品情報と企業情報とともに品評会参加者へ情報提供を行った。
「スーパーフード」ブームの時勢にそって、品評会・FOODEX来場者から高い関心が寄せられ、2015年度も引き続き商談のフォローを実施。ペルー政府の食品見本市(EXPOALIIMENTARIA(リマ))招へいプログラムと協力し、日本企業が同国へ訪問する機会にジェトロは、商談先の産地訪問アレンジなどの商談支援を行った。


品評会会場(在京ペルー大使館)


品評・試食する参加者


FOODEX 2015ペルーパビリオン内 商談風景

品評会冊子(産品・企業情報)

産品の産地または加工所マップ(イメージ)

対象産品のペルー国内の主な産地・加工所を表した地図 ピウラ州:アルガロボ、アルガロビーナ、カカオ・ブランコ、パネラの産地・加工所 カハマルカ州:アントシアニンの産地・加工所 サンマルティン州:サチャ・インチの産地・加工所 リマ州:チア・シード、チリモヤ(果実冷凍パルプ)、紫トウモロコシ(濃縮ジュース)、ルクマ(果実冷凍パルプ)の加工所 フニン州:アグアイマント、ルクマ・パウダーの加工所 プノ州:キヌアの産地・加工所

事業経緯

  • 2013年12月~2014年3月
    対日輸出有望「高抗酸化食品」発掘調査(ペルー)
  • 2014年6月~8月
    選定企業・産品情報整備、サンプル発送準備(ペルー)
  • 2014年11月~12月
    対象産品の機能性成分分析(日本)
  • 2015年2月
    日本企業向けサンプル品評会(日本)
  • 2015年3月
    FOODEX 2015サンプル出展(日本)
  • 2015年8月
    EXPOALIIMENTARIA訪問日本企業への現地企業との商談サポート(ペルー)

成果と課題

品評会およびFOODEX出展以降、すぐに数社の商談が成約。2015年8月の現地企業訪問サポートにおいても取引成立または商談継続の後押しとなった。一村一品事業からの両国の取り組みが、今回の商談成果に繋がったことについてペルー政府からも謝意が寄せられている。
日本企業のニーズに応え商機をつかむために、現地の天候不順などの影響を避けるための対策を講じ、早期の生産体制の安定供給化が望まれる。