外資系企業動向サイバーセキュリティ企業Quantum Bridge Technologies、総代理店の東京都設置を機に量子安全通信のPoC実施
2026年05月19日
Quantum Bridge Technologies
は、量子技術を活用した量子安全暗号ソリューションを開発するカナダ・トロント大学発のスタートアップ。
- 拠点設立
- 2024/11
- 進出先
- 東京都
- デジタル・AI
-
カナダ
Quantum Bridge Technologies(QBT)は、2019年に設立された量子安全(quantum-safe)サイバーセキュリティ分野を専門とする企業であり、カナダ・トロント大学の研究成果を基に設立されたスピンアウト企業である。量子コンピュータの発展に伴い、将来的に既存暗号方式の安全性が低下するリスクが指摘される中、同社は耐量子暗号(Post Quantum Cryptography:PQC)の実装や量子鍵配送(Quantum Key Distribution:QKD)と連携可能な暗号基盤技術の開発を進めてきた。
同社の中核技術は、独自に開発した分散対称鍵確立(Distributed Symmetric Key Establishment:DSKE)プロトコルであり、既存の通信インフラに統合可能な形で、量子耐性を備えた鍵配布・管理を実現する点に特徴がある。本技術は、政府機関、重要インフラ、通信事業者などにおける安全なデータ通信を想定した用途として提供されている。
QBTは、日本市場における事業展開体制の構築を目的として、2024年11月に設立したQNS Services株式会社(東京都、QBTの取締役が資本参加)と事業提携し、日本総代理店とした。2026年4月には、QBTのDSKE技術を東芝製の量子鍵配送(QKD)システムと組み合わせ、日本国内において量子安全通信に関する概念実証(PoC)を実施し、所定の検証を完了した。本PoCでは、東芝製QKDを主系統、QBT製DSKEを副系統として用いる冗長構成を構築し、回線障害時においても暗号通信を継続できることを確認している。本実証は、異なる量子安全鍵配送方式を組み合わせた実運用を想定した取り組みとして発表された。
日本進出にあたっては、ジェトロ対日投資・ビジネスサポートセンター(IBSC)が、法人設立に向けた登記・法務面でのコンサルテーションや産業アドバイザーによる助言を行うとともに、日本国内のコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)との商談機会の創出、Innovation Leaders Summit(ILS)2025への参加支援などを通じて、同社の事業展開を支援した。
現在、QBT社はQNS社を通じて暗号技術の標準化と商業化を目的に、アカデミアおよび企業の双方に向けた展開を進めている。大学との産学連携による技術有効性検証の準備や、日本企業とのPoC実施を予定しており、今後は日本国内での協働開発および技術形式の標準化を進める計画である。
政府戦略全体を推進・強化する上でサイバーセキュリティ対策は不可欠な基盤技術であることから、QBTが有する量子安全暗号技術は日本の産業競争力および重要インフラの安全性を支える技術シーズとなり得る点で、戦略誘致の観点からも注目される。
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