サクセスストーリー

Plug and Play Japan株式会社

米国最大級のスタートアップ・アクセラレータ/VCでシリコンバレーに本社を置くPlug and Play Tech Centerは、2017年7月に、日本法人Plug and Play Japan株式会社を東京に設立した。Plug and Play Japanは東急不動産の協力を得て渋谷に拠点を構え、三菱UFJ銀行ならびに国内の大手企業を事業パートナーとして、米国と同様のグローバルなアクセラレーション支援をスタートアップ企業向けに提供する。今後の展開を、同社Managing Partnerのヴィンセント氏に聞いた。

設立年月
2017/07
進出先
東京都

  • サービス
  • その他
  • 米国米国

掲載年月 : 2018/04

Plug and Play Tech Center(以下PnP)は、テクノロジースタートアップ・アクセラレータとして活動しており、米国以外にも、ドイツ、フランス、オランダ、スペイン、メキシコ、中国、シンガポール、インドネシアなど世界12か国26拠点と、数万におよぶスタートアップネットワークを有している。

2006年の設立以来、PnPコミュニティ内のスタートアップ企業は総計60億USドル(6,600億円超) の資金調達に成功している。直近の数年間では、2,000以上のスタートアップ企業の支援を行い、シリコンバレーの本社では常時約400社のスタートアップ企業を支援している。同社のこれまでの支援企業には、PayPal(eBayにより買収)、Vudu(Walmartにより買収)、DangerやPowerset(マイクロソフトにより買収)、Lending Club(90億ドルの時価総額でのIPO)のほか、Dropbox(100億ドル超の時価総額)などがあり、世界的なスタートアップ企業に初期段階から投資を行っている。

PnPの強み:世界に広がるスタートアップネットワーク

Plug and Play Japan株式会社(以下、プラグアンドプレイ社)Managing Partnerのフィリップ・誠慈・ヴィンセント氏は、PnPの強みについて以下のように語る。「世界中にスタートアップネットワークを有していることがPnPの強みだ。グローバル規模で数多くの大手企業やベンチャーキャピタルとのつながりがあり、そうした方々にパートナーとなるスタートアップ企業のビジネスアイデアをどんどんぶつけてフィードバックを得ることができる。フィードバックが多ければ多いほど事業内容はブラッシュアップされ成功に近づいていける。スタートアップ業界は単独で事業を進めるイメージもあるが、実はスタートアップこそパートナーシップが重要だと考えている。自社のみでやるよりも、仲間や他社とパートナーシップを組んで、たくさんのアドバイスをもらいながら進めた方がより魅力的なビジネスになり、成功する確率も飛躍的に高まる。スタートアップ企業が多くのパートナーとつながることができる環境を用意できるのがPnPの強みである」。

一方、PnPのスタートアップネットワークは同社自身の成長にもなっているという。「数多くのフィードバックは当社にも蓄積されていき、スタートアップ企業を見極める力も養われていくので、どういった企業が成功するか容易にわかってくる。また、スタートアップ企業に対して、成功するためにどういったマッチングやプログラムが必要か、アドバイスができるようになってきた。そのようにしてノウハウを積み上げていき、現在のPnPになっている」。

Plug and Play Japan株式会社
Managing Partner
フィリップ・誠慈・ヴィンセント氏

社長の熱意と大手企業のバックアップ体制により日本進出

「日本に進出したいという個人的な思いが一番最初にあった。それに対して、日本の大手企業から支援の話をいただくなど背中を押され、本社の説得にも成功し、日本進出が実現した。米国本社では、日本の大手企業がシリコンバレーの企業に投資をしてくれていることもあり日本への馴染みはあるが、日本のスタートアップ市場に対する関心は低かった。欧州各地、アジア各地に海外拠点を作っていったが、日本拠点という話は全くなかった。しかし、日本の大手企業が当社事業に興味を持っていることは知っていたし、GDP世界3位の日本には必ずポテンシャルがあると信じ、また、何もないからこそチャンスがあると思い、自ら決断をすることにした」とヴィンセント氏は振り返る。

そうした同氏の行動に、すぐに複数の日本企業からオファーが届いたという。「まず、三菱UFJ銀行が『日本進出をしたら、我々が第1パートナーとしてスポンサーになる』と提案してくれて大変心強かった。それをきっかけに、他の企業からも次々に協業の提案を頂けるようになった」。そして、東急不動産の協力を得て、日本のスタートアップの聖地と言われる渋谷にアクセラレーションプログラムを実施するインキュベーション施設「Plug and Play Shibuya Powered by 東急不動産」を構える形で日本法人の設立に至った。

世界最大級のスタートアップエコシステムで日本のスタートアップ市場を活性化

現在、日本政府は次世代の日本経済を牽引し、新たな市場を創出する可能性を持つスタートアップ企業の誕生と育成の支援に、国を挙げて力を入れている。日本のスタートアップ市場における国内ベンチャーキャピタルの国内投資額は1,000億円を超える(2016年度)など市場への資金流入が活発化する一方で、投資先となる日本のスタートアップ企業の数が少ない、事業規模も小さい、グローバルなビジネス内容が少ない、など世界からの評価は低いのが実情だ。それについてヴィンセント氏は、「スタートアップエコシステムが確立していない」ことが原因の一つだと話す。

プラグアンドプレイ社のスタートアップエコシステムについてヴィンセント氏は次のように説明する。「当社のエコシステムは世界を目指したスタートアップ企業育成を前提としている。どれほど優れたシーズを持つスタートアップ企業でも、この目標を持たないと成長は難しい。アクセラレーションやインキュベーションなどのプログラム提供をはじめとして、支援企業をグローバル展開までつなげられるのが当社システムの特徴だ。例えば、日本の企業でも、シリコンバレー本社でピッチを行うことが可能など、早い段階から世界へのつながりを意識することができる」。

日本に進出して間もない同社であるが、同社エコシステムの話を聞いて、入会を希望する企業は順調に増えているようだ。「当社の狙いは、グローバルなイノベーションプラットフォームを日本に創ること。そうすれば、日本のスタートアップ企業もどんどん海外に出てスピード感を持って事業展開ができるようになる。加えて、当社では、海外のスタートアップ企業の日本進出支援も行っており、現在、当社のプログラム(バッチ0)を受けている日本企業8社、海外企業13社は、お互いが切磋琢磨してビジネスを行えるようになっている。元々、優秀な企業・人材が揃っていてビジネスが発展している国なので、エコシステムが確立していけば、日本のスタートアップ市場は他の国にはない独自の強みを発揮するのではないかと期待している。そのためにも、入会してくれる日本企業をもっと増やしていきたい。これは当社1社の活動だけではなく、他のインキュベーター、アクセラレーターとの協力も必要であり、その仕組みづくりについても日々模索中だ」。

2020年までに日本のスタートアップ50社へ投資

今後について、「2020年までに50社への投資と、大手企業50社からの協力を獲得、また東京以外での拠点設立も視野に入れている。世界のスタートアップ市場から、日本市場は入りにくいというイメージが根強いのが現状だ。当社の活動を通して、日本でも当たり前のようにスタートアップ企業が活躍する社会を作り、そのイメージを変えていきたい」とヴィンセント氏は意気込む。

「Plug and Play Shibuya Powered by 東急不動産」のオープンイベント(2017年11月)
中央手前がヴィンセント氏

ジェトロのサポート

ジェトロ対日投資・ビジネスサポートセンター(IBSC)は、サンフランシスコ事務所にて日本の自治体との面談アレンジや補助金の情報等を提供したほか、本部では労務コンサルテーションの支援を提供した。ジェトロのサポートに対して、「スタートアップ企業や大手企業、自治体など、未来のパートナーや支援先になるつながりを紹介していただいた。また、シリコンバレーではイベントを共催することで新しい出会いもあり、ジェトロの持つネットワークはとても魅力がある。日本でも良きパートナーとして今後もよろしくお願いしたい」とヴィンセント氏は述べた。

(2018年1月取材)

同社沿革

2006年

Plug and Play Tech Center(米国本社)設立

2014年

Plug and Playのコミュニティから6社M&A、2社IPOを実施(単年)

2015年

スタートアップ企業200社のアクセラレーションを実施

2017年7月

日本法人Plug and Play Japan株式会社を設立

2017年10月

東急不動産と「SHIBUYAスタートアップ100」プロジェクトを開始

Plug and Play Japan株式会社

設立

2017年7月

事業概要

スタートアップ企業向けアクセラレーション支援

親会社

Plug and Play Tech Center (米国)

住所

〒150-0043 渋谷区道玄坂1-10-8 渋谷道玄坂東急ビル

URL

ジェトロの支援

  • 日本の自治体との面談アレンジ(サンフランシスコ事務所)
  • インセンティブ情報の提供(サンフランシスコ事務所)
  • 労務コンサルテーション(本部)

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