「ELSA」で日本の英語教育にさらなる飛躍を
AIによる英語の発音改善をサポートする英語スピーチアシスタントアプリ「ELSA」。すでに101カ国・5,000万人以上のユーザーに利用されており、最先端の音声認識技術と人工知能を駆使したアプリとして世界中のユーザーから高く評価されているバーチャル発音矯正サービスである。
このテクノロジーを開発したELSA Corp.は、2016年にシリコンバレーで設立された米国のEdTech企業だ。その日本法人であるELSA Japan合同会社の代表、⽟置俊也⽒にELSA開発の背景と日本進出の経緯を聞いた。

- 設立年月
- 2022/11
- 進出先
- 東京都・関東
- デジタル・AI
-
米国
掲載年月 : 2024/04
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人工知能を駆使した英語発音改善アプリ「ELSA」
そもそもELSAとは、どんなアプリなのだろうか。ELSAはまず、学習者が発話した音を瞬時に分析する。そして、入力された音声をネイティブスピーカーの発音と比較し、正しい発音に近いかを算出。これにより学習者は、発音、強弱、抑揚、流暢さ、語彙、文法などの観点から自分の英語レベルを把握することができ、人間による1対1の対面形式でのレッスンを受けることなく英語の発音を改善することが可能だ。このディープラーニングに基づいたELSA独自の音声認識技術を使って自主練習を繰り返すことで、自分のペースに応じた英語力の向上につながるというわけだ。

ELSA Corp. 日本法人代表 玉置俊也氏
「弊社では、独自の音声認識AIの開発をしています。この最先端のテクノロジーを用いて非ネイティブの話者の発音を計測し、どれだけ流暢に発話できるかをスコア化。まるで隣に英語ネイティブのコーチが座っているかのような感覚で英会話のレッスンを受けることができるサービスです。またAIにより即時のフィードバックをもらえるので、英語の発音の改善だけでなく、聴解力も飛躍的にレベルアップすることが可能です」。
2022年11月、ELSA Corp.は日本法人として東京にELSA Japan合同会社を設立した。実はアプリ市場において世界各国と日本の市場との比較をした際に、とりわけ日本での売上が圧倒的に伸びていた。ELSA Corp.としても、世界で展開しているマーケットのなかで重点的に日本での市場拡大を目指し、2025年までに日本をナンバーワンにしたいという意図もあったという。

ELSAのAI搭載音声認識機能
小学校から大学までの教育機関や、自治体、企業にも導入
2020年、日本の文部科学省は学習指導要領を約10年ぶりに改訂。小学校3〜4年で「外国語活動」が、小学校5〜6年で教科としての「外国語」が導入されることになった。この改訂の主な指針は、グローバル化や情報化などによる社会の変化に対応し、「聞く」「読む」「話す」「書く」の力を総合的に育み、高等学校卒業までに外国語でコミュニケーションできるようになることを目指すというもの。
こうした外国語教育への機運の高まりや、EdTechそのものに注⽬が集まるなかで、教育現場では生徒1人ひとりに対して英語学習の絶対量の確保が喫緊の課題となっており、よりスケーラブルなソリューションが求められていた。
日本の教育界全体において、より効果的な外国語教育を行いたいというニーズが高まるなか、生徒の英語習熟度に合わせてAIが最適なコーチングを行ってくれるテクノロジーであるELSAは、まさに渡りに船だったようだ。
「自分の発音のいいところと悪いところをチェックすることができる」「どんどん発音が良くなって、英語を話すのが楽しくなった」など、実際にELSAを使用している生徒たちからの評判は上々だ。
また小学校から大学まで、多くの教育関係者からELSAは高く評価され、京都⼤学とのパートナーシップ契約締結をはじめ、京都府京丹後市教育委員会との提携も決定。その後、まずは全国の中学校40校ほどへの⼀⻫導⼊がスタートし、今後の導入を検討する学校もさらに増加する見込みだ。

学校現場での導入が進むELSAのアプリ
「もともと日本の英語学習市場は数千億円規模と、他国と比較しても非常に大きいマーケットでした。さらに2019年に、文部科学省がGIGAスクール構想を打ち出したことも大きな要因だったと考えています。GIGAスクール構想とは、5年で約3,000億円規模の予算をかけて義務教育を受ける日本中の児童生徒1人ひとりにタッチパネル式のパソコンやタブレットなどの情報端末を配備し、さらに校内に高速大容量の通信ネットワークを整備するというもの。この計画により、生徒1人に1台のタブレット端末があるという、基本的なインフラがしっかり整ったのです。こうした環境が整備されているのは、世界でもあまり類を見ないのではないでしょうか」
日本のEdTech市場の魅力
日本政府が打ち出したGIGAスクール構想は、ELSA JAPANにとって大きな追い風となった。またそれ以外のトレンドとして、産業のDX(デジタル・フォーメーション)化や技術革新、ビジネスモデルの変化などに対応するため、日本の人材育成分野においてリスキリング(学び直し)の重要性が叫ばれていることも日本市場の魅力として挙げられるだろう。
つまり、日本のBtoBのマーケットにおいてもEdTech企業がさらに成長する環境が整いつつあり、特にELSAのようなテクノロジーには高いニーズが見込まれるということだ。
その後、ELSA JAPANは日本の教育現場や自治体への導入を順調に進めながら、さらにはEdTech関連の企業との協業やパートナーシップ契約なども締結。今やさまざまな領域でその価値が認められつつある。
「実際、いちど事業として認知されると、日本の市場は安定的に売り上げが見込めるマーケットだと言えます。また、地政学的なリスクもあまりないということも大きなアドバンテージです。とはいえ、日本の文化的な側面として、過去の実績がないまま事業をスタートさせても、最初の顧客を見つけるまでに多少の時間がかかるという側面はあるかもしれません。その意味で、まずは最初のお客様を見つけることがとても大事になってきます。やはり実際に現場に足を運んでみて、自分たちの商品をしっかりレクチャーをしにいくということが大事。他にも、商品の価値を評価してくれて、インフルエンサーとなってくれるような先生を見つけることも重要です。まずはそういう方としっかりタッグを組んで、少しずつ全体に広げていくことがポイントになってくるのではないでしょうか」
同社の日本市場参入に際し、ジェトロ対日投資ビジネスサポートセンター(IBSC)では、日本のEdTech市場に関する情報提供、コンサルテーション(登記、税務、労務)、サービスプロバイダー(人材会社、コワーキングスペース、税理士事務所)の紹介、ビジネスパートナー探しやビジネスマッチングなどの支援を行った。
「日本のマーケットに参入する際に、やはり最初は労務や税務、財務の面などでいろいろと戸惑う面があり、大変ではありました。そういったときにジェトロからさまざまなフォローをもらいました。米国本社としても、今まで日本で人材を雇ったことがなかったということもあり、最初に労務関係の法律の整理から実際の書類の作成まで、さまざまな面でサポートをいただいたことも非常に大きかったと思っています」
ELSA
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