サクセスストーリー

アシュリオンジャパン・ホールディングス合同会社

携帯電話の補償サービスを展開する米国のアシュリオン社の日本法人アシュリオンジャパン・ホールディングス合同会社は、2017年8月、東京都千代田区にコールセンターを開設した。携帯電話機の修理・交換への素早い対応や携帯電話の操作方法に対するサポートなど、きめ細かい総合的なサービスを日本国内の大手携帯電話会社のユーザー向けに提供し、同社サービスの日本社会への浸透を目指す。アシュリオン米国本社で戦略アドバイザーを務める前田正明氏に日本進出の経緯と事業展開について話を聞いた。

設立年月
2012/07
進出先
東京都

  • サービス
  • その他
  • 米国米国

掲載年月 : 2018/01

アシュリオンジャパン・ホールディングス合同会社は携帯電話の補償サービスを米国で展開するアシュリオン社の日本法人である。2012年7月に東京都港区に設立された。親会社のアシュリオン社はテネシー州ナッシュビルに本社を置き、1994年に事業を開始している。

アシュリオン社の携帯電話の補償サービスは、水漏れや落下などによる携帯電話の破損、紛失、盗難、故障などのトラブルに応じ、携帯電話の修理や交換を行うもの。携帯電話会社と業務提携し、携帯電話の補償サービスを提供する。専用のコールセンターに連絡をすれば、スマートフォンの操作方法やアプリの設定方法などの相談にも乗ってくれる。交換、または、修理が必要な携帯電話に対して、コールセンターあるいはウェブサイトから申し込みをすれば最短24時間以内で代替機器が配送される。同社によると、96%の代替機器が翌営業日配達で出荷されている。

同社日本法人子会社は日本の大手携帯電話事業者であるNTT ドコモやKDDIなどと事業提携し、日本市場でのビジネスを拡大してきた。現在、日本でのユーザー数は約6,000万人に上る。

同社は米国のほか、ブラジルやコロンビアなどの南米、英国やフランスなどの欧州、中国やシンガポールなどのアジアの14ヵ国・地域に営業所やコールセンターを設けている。約1万7,000人の従業員がオンラインでのサポートを24時間体制で行い、毎年3,000万人をサポートしている。エンドユーザーは全世界で約2億8,000万人に上る。

素早い携帯電話機の交換対応や携帯電話の操作方法に対するサポートなど、きめ細かい総合的なサービスを提供し続けたことでユーザーからの評価も高い。200万人超のユーザーを対象に行った満足度調査によると、5段階中4.7を獲得した(アシュリオン社データ2016年1月)。

携帯の先進国である日本に法人を設立

日本に最初に拠点を設けたのは2004年2月だ。東京都港区にアシュリオン・ジャパン株式会社を設立し、日本の大手携帯電話事業者NTTドコモと事業提携を進めた。前田氏は「日本は携帯の最先進国。成熟している市場に入っていこうと日本への進出を決めた」と明かす。2012年には、アシュリオンジャパン・ホールディングス合同会社を設立し、NTTドコモとKDDIとそれぞれ事業提携する日本法人各社を子会社化した。

アシュリオン米国本社の最高職務執行者(CCO)で、アシュリオンジャパン・ホールディングス合同会社とアシュリオン・ジャパン株式会社の元最高職務執行者(CEO)のトニー・デター氏は、ジェトロが2017年4月に実施したインタビューにおいて、アシュリオンの企業精神について次のように語っている。「我々は物理的な会社の存在がない限り、その市場には参入しない。我々のビジネスはパートナー企業と密接な信頼関係を築くことと、地場のマーケットを理解することで成り立っており、物理的な存在なしにそれらを達成することはできないと考えている。日本でビジネスを行う上で、日本に立地している、ということ自体が我々にとって重要である」。

アシュリオンジャパン・ホールディングス合同会社が揃える様々なIoT機器

日本でのビジネス展開について、前田氏は「携帯電話機の修理や交換、またコールセンターによる操作方法などのサポートについては、米国のビジネスモデルを日本でも使用している」とした上で、「日米の考え方の違いは吸収しながらサービス体系を作っている」と説明する。同社のサービスが日本市場で拡大している点について、「スマホ時代になり、携帯電話自体の価格が上がったことで、落として本体を壊したり、液晶画面を破砕してしまうことに対して、ユーザーが非常に神経質になってきたということが追い風にもなった」と指摘する。

従業員の教育に力を入れ、問合せに対応

日本の顧客にきめ細かいサービスを提供すべく、2017年8月には東京都千代田区に新たにコールセンターを開設した。ここでは、さまざまなIoT(モノのインターネット)機器の使い方や接続方法の相談に乗るサービスを提供する。東京にコールセンターを設置した理由を「質の高い人材を確保するため」と前田氏は説明する。設立したコールセンターの広さは1,200平方メートルにおよび、ITエンジニアやオペレーターなど90名近い人材を追加で採用した。

同社の強みはコールセンターでのきめ細かい応対にある。同社が日本に進出するまで、携帯を「修理」するサービスはあったが、48時間以内に発送して代わりのものを提供するサービスはおそらくなかったと前田氏は振り返る。顧客からの様々な問い合わせに対応するため、従業員の教育にも力を入れる。千代田区に開設したコールセンターでは、アドバイザーと呼ばれるオペレーター業務を行う社員への研修を充実させるため、トレーニングルームやスマートホーム製品200点を揃えている。アドバイザーが実際に問い合わせ対応をするまで、6週間かけてIoT機器の使い方や接続の仕方、お客様への応対などを教育している。

千代田区に設置したコールセンターへの問い合わせは「スマートフォンを中心として、IT機器に関する操作方法や購入したIoT機器をどのように応用できるかなどといった問い合わせが多い」と前田氏は言う。問い合わせに対する解決率は98%を誇る。

同社サービスの日本社会への浸透を目指す

前田氏は「モノを売る会社はよくあるが、サービスを売って成功している米国企業はなかなかないのではないだろうか」と述べる。

どのような問い合わせにもワンストップで解決方法を提供するようにしている。「例えば車に何か機器を接続しようとしてできない場合、車のメーカーに問い合わせたとしても、機器の販売元に問い合わせるよう言われるだろう。我々はそういった問い合わせにも応える。今までこのようなサービスがあるようでなかった。こういった理由から、お客様は月々数百円程度で我々のサービスに加入することに価値を見出していただいている」と前田氏は言う。

今後は携帯電話のみならず、IoT機器などのスマートホーム製品の補償サービスにも対応する予定だ。前田氏は「コールセンターや情報・ソフトウェア分野は環境汚染がなく、女性でも男性でも活躍できる仕事である」点を強調した上で、環境保護や雇用促進の面からも同社のようなサービス産業は日本に合っていると指摘する。前田氏は「今後IoT機器も増えていくと思われ、コールセンターを通じて日本の顧客にサービスを提供することで、日本の産業、ひいては日本社会にどんどん入って行きたい」と今後の抱負について述べた。

アシュリオン米国本社
戦略アドバイザー 前田正明氏

ジェトロのサポート

ジェトロはアシュリオンジャパン・ホールディングス合同会社のコールセンター設立の際に、市場情報、規制・制度情報、各自治体のコールセンター誘致助成制度情報などを提供したほか、アシュリオン米国本社のトニー・デター最高職務執行者(CCO)にインタビューを行い、その様子をジェトロ米国のウェブサイトにて放映するなどPR支援を実施した。ジェトロのサービスに対し、前田氏は「コールセンターの設置場所選定に必要な自治体の情報などを大変丁寧に教えて頂いて助かった」と述べた。アシュリオン米国本社のトニー・デターCCOもインタビューの中で「我々だけで動いていたら収集しにくかったであろう情報をジェトロに提供してもらったことで、早急に決断を下すことができた」と語っている。

(2017年10月取材)

同社沿革

1994年

米国テネシー州ナッシュビルにアシュリオンの前身となる組織を設立

2001年

社名を現在のアシュリオンに変更

2002年

技術・ロジスティクスセンターを新設

2003年

アジアに進出(シンガポールにAsurion Asia-Pacific Pte. Ltd.を設立)

2010年

iPhone向け補償プログラムを構築

2012年7月

アシュリオンジャパン・ホールディングス合同会社を東京都港区に設立

2017年8月

東京都千代田区にコールセンターを設立

アシュリオンジャパン・ホールディングス合同会社

設立

2012年7月

事業概要

携帯電話補償サービスの提供

親会社

Asurion(米国)

住所

〒106-0032東京都港区六本木1-4-5アークヒルズサウスタワー11階

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