ジェトロ対日投資報告2019(要約)3. 外資系企業による日本のビジネス環境の見方

大学・研究機関、日本企業とのオープンイノベーションに前向き

  • ジェトロは、ジェトロの支援により日本に拠点を設立・拡大した外資系企業および諸外国の在日商工会議所の会員企業など約2,100社を対象にアンケート調査を実施し、213社から有効回答を得た(調査期間:2019年6月~7月)。
  • 7割以上の企業が、既に日本企業・大学などとオープンイノベーションに取り組み済み、あるいは関心を寄せている。
  • 約6割の企業が大学・研究機関や日本の中堅・中小企業に相手先として関心を持つ。

日本企業・大学などとのオープンイノベーションに対する取り組み状況

外資系企業による、日本企業・大学などとのオープンイノベーションに対する取り組み状況に関する回答を示した棒グラフ。「既に実施したことがあり、今後も継続・拡大する」と回答した企業が20.6%、「実施したことはないが、関心がある」が52.0%、「実施したことはなく、今後も実施予定はない」が27.5%だった。回答総数は204だった。

オープンイノベーションの相手先として関心のある機関・企業など(複数回答)

オープンイノベーションの相手先として、外資系企業が関心を持つ機関・企業などについての回答を示した棒グラフ。「大学・研究機関」が63.4%、「日本の中堅・中小企業」が59.9%、「日本の大企業」が44.4%、「日本のスタートアップ企業」が33.8%、「在日外資系企業(スタートアップ企業以外)」が14.1%、在日外資系スタートアップ企業が10.6%、その他が1.4%だった。回答総数は142で、複数回答が可能。

追加投資・拡張先候補地の7割が東京以外

  • 国内の追加投資などの場所としては、都道府県別では東京都(26.5%)が最多となったものの、大阪府(15.9%)、神奈川県(10.9%)などの回答も多くみられ、候補地としては7割以上が東京以外だった。
  • 投資拡大先として上位に入った地域の立地先としての選定理由としては、「顧客との距離」、「市場規模」、「関連する産業集積の存在」が上位に挙げられた。

追加投資・拡張の場所として具体的に検討している場所(複数可)

追加投資・拡張の場所として具体的に検討している場所についての外資系企業の回答を示した円グラフ。「東京都」と回答した企業が26.5%、「大阪府」が15.9%、「神奈川県」が10.9%、「愛知県」が8.3%、「京都府」が4.3%、「福岡県」が4.0%、「北海道」が3.6%、「埼玉県」が3.0%、「兵庫県」が3.0%、「広島県」が2.6%、「その他」が17.9%だった。回答総数は302で、複数回答が可能。

追加投資・拡張先における機能と立地先として選定した理由(複数可)(—は値なし)

追加投資・拡張先における機能と立地先として選定した理由(複数可)
順位 都道府県 件数 機能(上位3項目) 理由(上位3項目)
1 東京都 80 営業・販売・顧客サービス 顧客との距離
研究開発 市場規模
バックオフィス 関連する産業集積の存在
2 大阪府 48 営業・販売・顧客サービス 市場規模
研究開発 顧客との距離
バックオフィス 日本国内他拠点との位置関係
3 神奈川県 33 営業・販売・顧客サービス 顧客との距離
研究開発 市場規模
生産・製造 関連する産業集積の存在
4 愛知県 25 営業・販売・顧客サービス 顧客との距離
生産・製造 市場規模
研究開発、地域統括 関連する産業集積の存在
5 京都府 13 営業・販売・顧客サービス 顧客との距離
研究開発 市場規模
バックオフィス、連絡・PR・情報収集、その他 関連する産業集積の存在、自治体の優遇策・サービス
6 福岡県 12 営業・販売・顧客サービス 顧客との距離
バックオフィス 市場規模
連絡・PR・情報収集 関連する産業集積の存在
7 北海道 11 営業・販売・顧客サービス 市場規模
バックオフィス 顧客との距離
購買・調達 関連する産業集積の存在、自治体の優遇策・サービス、コスト(土地、人件費等)の低さ
その他 80

日本の魅力の1位は「日本市場」、安定した巨大市場に注目

  • 日本でビジネスをする上での魅力では、引き続き「日本市場」の回答が最多となった。
  • 日本市場のうち、特にその市場規模に注目が集まっていることが分かった。

日本でビジネスをする上での魅力(上位1~3位までそれぞれ選択)(n=213)

日本でビジネスをする上での魅力(上位1~3位までそれぞれ選択)
回答内容 票数 得点
1位 2位 3位
日本市場 133 12 8 431
優れた日本企業や大学などパートナーの存在 24 37 23 169
国家・社会の安定性 13 42 44 167
世界を代表するグローバル企業が集積している 17 33 15 132
研究開発の質の高さ 15 25 15 110
インフラの充実(交通、物流、情報通信、エネルギーなど) 4 25 36 98
有能な人材確保が可能 2 12 11 41
アジアへのゲートウェイ、地域統括拠点として最適 0 14 13 41
生活環境が整備されている 3 4 23 40
2020年東京オリンピック・パラリンピックに向け需要増・販売増が見込める 2 5 8 24
知的財産法整備の充実 0 4 7 15
その他 0 0 10 10

ビジネス展開上の課題は「人材確保の難しさ」

  • 日本でビジネス展開する上での阻害要因では、「人材確保の難しさ」が多く挙げられた。
  • 特に、「外国語能力のある人材の不足」や「専門人材の不足」が課題とされる。

日本でビジネス展開する上での阻害要因(上位1~3位までそれぞれ選択)(n=213)

日本でビジネス展開する上での阻害要因(上位1~3位までそれぞれ選択)
回答内容 票数 得点
1位 2位 3位
人材確保の難しさ 70 33 26 302
外国語によるコミュニケーションの難しさ 49 47 31 272
ビジネスコストの高さ 20 44 43 191
行政手続きの複雑さ 23 25 29 148
許認可制度の厳しさ 19 33 19 142
ビジネスパートナー発掘の難しさ 21 11 16 101
資金調達の難しさ 5 7 14 43
入国管理制度 5 5 16 41
外国人にとっての生活環境 0 6 3 15
その他 1 2 16 23

日本のビジネス環境は改善方向に

  • 過去1~2年の日本のビジネス環境について、7項目のうち5項目で、改善方向にあるとの見方が示された。
  • 中でも、「外資に対する日本企業・社会の受入れ姿勢」、「外国人にとっての生活のしやすさ」が改善していると回答した企業が多い。

日本のビジネス環境について過去1~2年と比較した変化

日本のビジネス環境について、過去1~2年と比較した変化について、回答率を示した棒グラフ。回答総数は213。各選択肢における回答は以下のとおり。 外資に対する日本企業・社会の受入れ姿勢:「どちらかというと改善している」46.5%、「どちらかというと悪化している」2.8% 外国人にとっての生活のしやすさ:「どちらかというと改善している」46.0%、「どちらかというと悪化している」1.4% ビジネスにおける外国語でのコミュニケーションのしやすさ:「どちらかというと改善している」33.8%、「どちらかというと悪化している」2.3% ビジネスパートナー発掘のしやすさ:「どちらかというと改善している」30.0%、「どちらかというと悪化している」5.2% 行政手続き・許認可制度の厳しさ・複雑さ:「どちらかというと改善している」26.3%、「どちらかというと悪化している」11.3% ビジネスコスト:「どちらかというと改善している」12.2%、「どちらかというと悪化している」28.6% 人材確保のしやすさ:「どちらかというと改善している」12.2%、「どちらかというと悪化している」44.6%

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