ジェトロ対日投資報告2018(要約)4. 外資系企業による日本のビジネス環境の見方

魅力の1位は「日本市場」、収益性の高さも評価

日本進出に際してジェトロが支援した外資系企業を中心とした約1,700社を対象にアンケート調査を実施。266社から有効回答を得た。(調査期間:2018年5~6月)

日本でビジネスをする上での魅力

日本でビジネスをする上での魅力
順位 回答項目 票数 1位 票数 2位 票数 3位 得点
1 日本市場 158 20 20 534
2 優れた日本企業や大学等パートナーの存在 25 50 29 204
3 国家・社会の安定性 16 43 60 194
4 研究開発の質の高さ 19 38 15 148
4 世界を代表するグローバル企業が集積している 24 26 24 148
6 インフラの充実(交通、物流、情報通信、エネルギー等) 4 39 30 120
7 有能な人材確保が可能 4 14 19 59
8 生活環境が整備されている 4 7 23 49
9 アジアへのゲートウェイ、地域統括拠点として最適 3 12 14 47
9 2020年東京オリンピック・パラリンピックに向け需要増・販売増が見込める 3 9 20 47
11 知的財産法整備の充実 2 6 5 23
なし その他 4 2 7 23

日本市場の規模が今後縮小すると予想される中、「中長期的な成長性」や「イノベーション創出によるビジネス機会がある」を日本市場の魅力としてあげた企業も一定数存在。

日本市場の中で特に魅力だと思うもの(上位2つまで)

回答企業数は198。「市場規模(所得水準が高く、製品・サービスの顧客ボリュームが大きい)」との回答が80.3%、「自社のビジネス分野の中長期的な成長性」との回答が40.9%、「洗練された消費者の存在」との回答が25.8%、「課題先進国であり、イノベーション創出によるビジネス機会がある」との回答が19.2%、「他市場(アジア等)への展開に有利」との回答が13.6%、「その他」との回答が1.5%であった。

〔出所〕ジェトロ「日本の投資環境に関する在日外資系企業アンケート調査2018」

7割超の外資系企業が日本を「収益性が高い市場」または「どちらかというと収益性が高い市場」と評価。

収益性の観点からの日本市場に対する評価

回答企業数は260。「収益性が高い市場である」との回答が19.2%、「どちらかというと収益性が高い市場である」との回答が51.5%、「どちらかというと収益性が低い市場である」との回答が25.4%、「収益性が低い市場である」との回答が3.8%であった。

〔出所〕ジェトロ「日本の投資環境に関する在日外資系企業アンケート調査2018」

外資系企業の業況感は高く、先行きへの見方も前向き

外資系企業の日本での業況に対する見方はポジティブ。

日本での業況の先行き(今後1~2年)に対する見通し

回答企業数は264。「良い(上向き)」との回答が65.5%、「横ばい」との回答が29.9%、「悪い(悪化する)」との回答が4.5%であった。

〔出所〕ジェトロ「日本の投資環境に関する在日外資系企業アンケート調査2018」

7割の外資系企業が事業・雇用拡大を計画

今後5年以内の投資計画

回答企業数は266。「拡大する」との回答が69.9%、「現状を維持する」との回答が27.8%、「縮小する」との回答が0.8%、「国内の他地域に移転する」との回答が0.8%、「撤退する」の回答が0.8%であった。

〔出所〕ジェトロ「日本の投資環境に関する在日外資系企業アンケート調査2018」

今後5年以内の日本拠点での雇用見込み

回答企業数は264。「増員する」との回答が70.5%、「現状維持する」との回答が28.4%、「減員する」との回答が1.1%であった。

〔出所〕ジェトロ「日本の投資環境に関する在日外資系企業アンケート調査2018」

  • 日本における事業拡大にあたり、過半の外資系企業がM&Aに関心。

    日本企業に対するM&Aによる二次投資への関心

    回答企業数は184。「関心がある」との回答が53.8%、「関心がない」との回答が46.2%であった。

    〔出所〕ジェトロ「日本の投資環境に関する在日外資系企業アンケート調査2018」

オープンイノベーションの相手として日本の中堅・中小企業に関心

  • 約7割の外資系企業が日本企業・大学等とのオープンイノベーションに関心。

    日本企業・大学等とのオープンイノベーションに対する取組状況

    回答企業数は261。「既に実施したことがあり、今後も継続・拡大する」との回答が21.1%、「実施したことはないが関心がある」との回答が46.4%、「関心がない」との回答が30.7%、「その他」との回答が1.9%であった。

    〔出所〕ジェトロ「日本の投資環境に関する在日外資系企業アンケート調査2018」

  • オープンイノベーションの相手先として日本の中堅・中小企業への関心が高い。

    オープンイノベーションの相手先として関心のある企業等(複数可)

    回答企業数は172。「日本の中堅・中小企業」との回答が51.2%、「大学・研究機関」との回答が51.2%、「日本の大企業」との回答が44.2%、「日本のスタートアップ企業」との回答が26.2%、「在日外資系スタートアップ企業」との回答が12.2%、「その他の在日外資系企業」との回答が11.6%、「その他」の回答が1.7%であった。

    〔出所〕ジェトロ「日本の投資環境に関する在日外資系企業アンケート調査2018」

  • 規制のサンドボックス制度について、6割強の外資系企業が活用してみたいと回答。

    「規制のサンドボックス」制度に対する関心

    回答企業数は260。「現在、特定の規制があって困っているのでぜひ制度を活用してみたい」との回答が11.2%、「将来、必要があれば活用してみたい」との回答が50.8%、「特に関心はない」との回答が38.1%であった。

    〔出所〕ジェトロ「日本の投資環境に関する在日外資系企業アンケート調査2018」

日本でビジネス展開する上での阻害要因 ―最大の課題は「人材確保の難しさ」

日本でビジネス展開する上での阻害要因(上位1~3位までそれぞれ選択)

日本でビジネス展開する上での阻害要因(上位1~3位までそれぞれ選択)
順位 回答項目 票数 1位 票数 2位 票数 3位 得点
1 人材確保の難しさ 87 35 37 368
2 外国語によるコミュニケーションの難しさ 54 69 31 331
3 ビジネスコストの高さ 41 45 63 276
4 行政手続の複雑さ 36 40 39 227
5 許認可制度の厳しさ 24 32 31 167
6 ビジネスパートナー発掘の難しさ 11 25 15 98
7 入国管理制度 7 6 9 42
8 資金調達の難しさ 0 7 12 26
9 外国人にとっての生活環境 0 2 11 15
なし その他 6 5 18 46
  • 人材確保に関して特に困難と感じているのは「外国語能力のある人材の不足」、「専門人材の不足」。

    人材確保に関して、特に困難と感じていること(上位2つまで)

    回答企業数は263。「外国語能力のある人材の不足」との回答が54.4%、「専門人材の不足」との回答が41.8%、「人材の募集・採用・雇用手続にかかるコストの高さ」との回答が34.2%、「労働者の意識(強すぎる大企業志向、外資で働くことへの消極的な姿勢)」との回答が29.7%、「雇用流動性の不足」との回答が19.8%、「その他」との回答が3.8%であった。

    〔出所〕ジェトロ「日本の投資環境に関する在日外資系企業アンケート調査2018」

  • 職種別では、技術者の確保が特に困難。

    人材確保が特に困難な職種(複数可)

    回答企業数は259。「技術者」との回答が58.7%、「営業・販売・顧客サービス」との回答が47.1%、「経営・企画」との回答が21.2%、「総務・管理」との回答が5.4%、「その他」との回答が9.7%であった。

    〔出所〕ジェトロ「日本の投資環境に関する在日外資系企業アンケート調査2018」

  • 行政手続については、税務、労務、社会保険を中心に、提出書類の多さ、英語化対応の不足、手続き完了までに時間がかかるとの回答が目立つ。

    最も改善が必要と感じる行政手続と現状における具体的な課題

    最も改善が必要と感じる行政手続と現状における具体的な課題
    最も改善が必要と感じる手続 具体的に課題と感じること
    窓口の多さ 提出書類の多さ オンライン化の遅れ 英語化対応の不足 手続完了までに時間がかかる 申請や手続にかかる費用の高さ その他 未選択 合計
    会社登記 3 5 0 8 5 1 1 2 25
    税務 6 15 6 19 6 5 0 0 57
    社会保険 1 5 6 6 5 2 1 0 26
    労務 6 14 3 7 14 1 7 0 52
    在留資格 0 6 8 6 23 1 2 0 46
    知的財産 0 1 2 3 0 0 0 0 6
    貿易 1 4 0 2 4 2 0 1 14
    その他 1 2 2 5 4 0 14 1 29
    未選択 0 0 0 2 1 0 0 8 11
    合計 18 52 27 58 62 12 25 12 266

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