ジェトロ対日投資報告2018(要約)1. 対日直接投資の現状

対日直接投資残高は、4年連続で過去最高を更新

  • 2017年末の対日直接投資残高は28.6兆円(前年末+3,230億円)で4年連続で過去最高額を更新。
  • 2017年末残高の名目GDP比は5.2%。
  • 2018年6月末の残高(一次推計値)は29.9兆円(2018年9月財務省発表)。

対日直接投資残高の推移と対GDP(名目)比
(IMF国際収支マニュアル第6版(以下BPM6)基準)

2000年から2018年6月末一次推計までの推移を示したグラフ。2017年末の対日直接投資残高は、28.6兆円となり、4年連続で過去最高を更新した。2017年末時点における対日直接投資残高の対GDP比は5.2%。2018年6月末時点での対日直接投資残高の一次推計値は29.9兆円。

〔出所〕「本邦対外資産負債残高」(財務省、日本銀行)、「国民経済計算」(内閣府)から作成

地域別では、アジアの残高が2000年比で10倍に

  • 地域別の対日直接投資残高は、欧州からの投資が全体の49.4%(約14.9兆円)で最大。次いで、北米24.0%(約6.9兆円)、アジア18.6%(約5.3兆円)。
  • アジアからの対日直接投資残高は2000年比で10倍超となり、欧州、北米に次ぐ対日直接投資の担い手に急成長。

地域別対日直接投資残高の割合(2017年末時点)

欧州の割合が全体の49.4%を占め、北米は24.0%、アジアは18.6%、その他が8.1%をそれぞれ占めている。

〔出所〕「本邦対外資産負債残高」(財務省、日本銀行)から作成

国・地域別対日直接投資残高(2017末時点)上位10カ国・地域

国・地域別対日直接投資残高(2017末時点)上位10カ国・地域
順位 残高(億円) 構成比(%)
1 米国 66,702 23.4
2 オランダ 45,950 16.1
3 フランス 34,995 12.3
4 シンガポール 25,421 8.9
5 英国 17,210 6.0
6 ケイマン諸島 14,138 5.0
7 スイス 12,586 4.4
8 香港 9,602 3.4
9 ドイツ 8,937 3.1
10 ルクセンブルク 8,566 3.0

地域別対日直接投資残高の伸び(2000年末時点の残高を100とした場合)

2000年から2017年までの各年の推移を指数で示したグラフ。2017年には北米が345、欧州が459、アジアが1,025となっており、アジアの存在感が増している。

〔注〕BPM6基準。2013年以前の残高はジェトロがBPM5からBPM6基準に換算して算出。
〔出所〕「本邦対外資産負債残高」(財務省、日本銀行)から作成

対日直接投資フローは、6年連続の流入超過、過去4番目の規模に

  • 2017年の対日直接投資フロー(国際収支ベース、ネット)は2兆1,179億円で、6年連続の流入超過。
  • 地域別では、アジアから6,320億円、北米から6,465億円、欧州から5,053億円の流入超過。
  • 2018年1~6月は1兆4,027億円の流入超過であり、前年同期比で約3割高い水準となっている。

地域別対日直接投資フロー(ネット)の推移(単位:億円)(―はデータなし)

地域別対日直接投資フロー(ネット)の推移
国・地域 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年1~6月
速報値 前年同期比の
伸び率(%)
アジア 6,782 6,772 9,328 6,320 3,281 △ 26.7
階層レベル2の項目 中国 802 772 △ 112 1,080 231 327.8
階層レベル2の項目 香港 2,279 1,191 1,589 △ 265 494 361.7
階層レベル2の項目 台湾 1,264 851 2,564 836 243 △ 37.4
階層レベル2の項目 韓国 699 1,133 645 1,094 658 29.3
階層レベル2の項目 ASEAN 1,736 2,810 4,653 3,568 1,673 △ 51.2
階層レベル3の項目 シンガポール 1,440 2,290 3,940 3,847 581 △ 84.7
北米 7,586 5,237 6,887 6,465 244 △ 92.6
階層レベル2の項目 米国 7,576 5,268 6,881 6,568 204 △ 94.0
中南米 729 △ 2,399 1,808 2,983 5,534 240.8
大洋州 618 △ 771 875 280 2,358
欧州 4,409 △ 2,836 24,055 5,053 1,201 △ 4.0
階層レベル2の項目 EU 3,758 △ 2,625 23,001 3,478 1,041 2.6
世界 20,745 6,272 43,165 21,179 14,027 31.6

四半期ごとの対日直接投資フロー(ネット)の推移

2014年から2018年第2四半期までの推移を示したグラフ。2014年のフロー(ネット)の合計は2兆745億円、2015年の合計は6,272億円、2016年の合計は4兆3,165億円、2017年の合計は2兆1,179億円、2018年の第2四半期までの累計は1兆4,027億円となっている。

〔注〕四半期の区分は、Q1(1~3月)、Q2(4~6月)、Q3(7~9 月)、Q4(10~12月)
〔出所〕「国際収支統計」(財務省、日本銀行)から作成

シェアリングなど新しい分野に広がる対日投資

  • アジアからは、シェアリングなど、より消費者に近い分野での投資が拡大。
  • 北米からは、米系投資ファンドの動きが活発に。また、プラットフォーマーと呼ばれるIT企業やスタートアップ支援に関連した企業の日本進出もあった。
  • 欧州からは、製造業分野でITを駆使する企業の投資やフィンテック分野での日本進出が続いた。

各地域の主な対日投資案件

各地域の主な対日投資案件
アジア
  • 買い物代行サービスを手がけるシンガポールのオネストビーが東京都に拠点を設立(2017年2月)
  • 中国のシェア自転車大手、モバイクが日本法人を設立(2017年6月)
北米
  • 米国最大級のスタートアップ・アクセラレーター、プラグ・アンド・プレイが日本法人を設立(2017年7月)
  • 米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)が国内2カ所目となるデータセンターを大阪府に開設(2018年2月)
欧州
  • 鉄道インフラの点検・診断システムの開発を行うイタリアのメルメックが日本法人を設立(2017年2月)
  • 保険金不正請求の自動検出サービスを手がけるフランスのシフトテクノロジーが日本法人を設立(2018年1月)

対日M&Aの主な案件(2017年~2018年上半期)(―はデータなし)

対日M&Aの主な案件(2017年~2018年上半期)
実施年月
(完了日ベース)
被買収企業 被買収企業
業種
買収企業 買収企業
国籍
買収企業
業種
金額
(億円)
2017年 5月 カルソニックカンセイ 自動車部品 コールバーグ・クラビス・ロバーツ・アンド・カンパニー(KKR) 米国 投資会社 4,982
2017年 4月 ユー・エス・ジェイ 娯楽サービス コムキャスト・NBCユニバーサル 米国 メディア 2,548
2017年 7月 日立工機 機械 コールバーグ・クラビス・ロバーツ・アンド・カンパニー(KKR) 米国 投資会社 1,471
2017年 3月 アコーディア・ゴルフ 娯楽サービス MBKパートナーズ 韓国 投資会社 853
2017年 9月 コカ・コーラボトラーズ・ジャパン 飲料 日本コカ・コーラ 米国 飲料 541
2017年 8月 TASAKI 小売(宝飾品) MBKパートナーズ 韓国 投資会社 315
2017年 4月 AIG富士生命保険 金融 FWDグループ 香港 金融 392
2018年 6月 東芝メモリ 電気・電子機器 ベインキャピタル(米)、SK ハイニックス(韓)ほか 投資家グループ 20,000
2018年 4月 タカタ 輸送機械 ジョイソン・エレクトロニクス 中国 輸送機械 1,750
2018年 3月 アサツーディ・ケイ 広告代理業 ベインキャピタル 米国 投資会社 1,523

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