株式会社Kamipita Japan

当社は、2008年に私(本田雅樹社長)が、アイデア商品を売り出したいという思いをもって大阪で起業し、その年に髪を簡単にまとめることが出来る便利なアイデア商品「Kamipita」を開発しました。開発後まもなく東京の展示会に出展したところ、瞬く間に人気を博し、日本全国でテレビや雑誌で爆発的に取り上げられるようになりました。その人気は海を越え、早くも中国で模倣品が出回るようになりましたが、模倣品が生まれるということは、言い方を変えれば売れるポテンシャルのあるカテゴリーということでもあります。これを契機に捉え、いち早く販売市場の重心を中国へと移行し、現在は、中国アモイに現地法人を持ちながら、中国市場を売上の90%以上を占めるメインターゲットとして、顧客のニーズに合わせた金型・絵柄のOEM商品を製造、販売しています。小売店や百貨店での販売のみならず、中国主流のECプラットフォームTAOBAO、RED、Douyinなどを通じてオンライン販売も強化しているところです。

もともと日本市場に固執するつもりはなく、海外への展開を視野に入れていました。日本で爆発的に取り上げられるようになってから、日本国内のドラッグストアやバラエティ・コスメショップで販売しましたが、商品棚のスペースが限られており一部の売れ筋商品しか展示することができず、当社の強みであるKamipitaの豊富なラインナップを十分に伝えられないという課題がありました。
その点、中国の店舗では商品を壁一面に迫力のあるディスプレイをしてもらうことができ、当社の求めている販売方法と方向性が一致していました。

中国でのオンライン販売をさらに伸ばしていくべく、2024年にジェトロの「KOL・KOCアフィリエイト」「共同購入アプリ（快団団）」活用事業に参加し、KOC（Key Opinion Consumer）からフォロワーに対してKamipitaの紹介をしてもらいました。日本の場合、Kamipitaの消費者は40代以上の方が多いのですが、文化・国民性によってターゲットが変わります。中国市場でのメインターゲットは、小さいお子さんがいる親世代です。中国では、子供への支出を惜しまない傾向があり、KOCからの商品紹介に対して、消費者からは「やや高価」との声も確かにありましたが、それでも多くの方が子供のために品質のいい「Kamipita」を選んで購入してくれました。当社のミリ単位での接着技術や、素材・付け心地などは模倣品では真似することができず、模倣品では得られないこの品質が日本製造ならではの強みとして消費者に選ばれる理由となっています。

今回のジェトロの事業でKOCを活用する機会を得ることができ、当社の普段の売り上げと比較してこの取り組みは伸びしろがあると感じました。KOL、KOCはコストが高いのが正直な感想ですが、短期的なリターンをすぐには得られないことは理解しつつ、長期的なブランディングの観点から、可能性がある施策と思っており、今回起用したKOCと継続して契約して今後もプロモーションに取り組んでいこうと考えています。

中国市場にチャレンジし始めて相当の年月が経ちますが、海外展開について大切にしていることは、「スピード」です。特に中国市場はトレンドの変化が非常に早く、それに対応する柔軟性とスピードが求められます。長く、顧客に刺さるアプローチをする方法を常に試行錯誤しています。 また、中国市場を開拓した今、他の新しい地域へ挑戦したい意欲も大きいです。ジェトロがジャパンパビリオンを設置した展示会などを効果的に使用し、オンラインだけでなく対面で直接商品の魅力をアピールすることができるオフラインの利点も存分に使用し、両者を組み合わせることで、グローバル展開をさらに加速していきたいと考えています。