米国、人権を主眼とした輸出管理イニシアチブを4カ国で立ち上げ

(米国、オーストラリア、デンマーク、ノルウェー、カナダ、フランス、オランダ、英国)

ニューヨーク発

2021年12月14日

米国バイデン政権は12月10日、「輸出管理と人権イニシアチブ」の立ち上げに関する共同声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますをオーストラリア、デンマーク、ノルウェーとともに発表した。このイニシアチブは、ジョー・バイデン大統領が主催した民主主義サミットで発表された「民主主義の刷新のための大統領イニシアチブ」に含まれていた提案となる(2021年12月10日記事参照)。

4カ国は共同声明で、専制国家が監視技術やその他の関連技術を政治的な反対運動や政府に対する異議の検閲・追跡に使うなど、国内や国境を超えた深刻な人権侵害に悪用する機会が増えていると指摘した。そのため、今後1年間の取り組みを経て、自主的で非拘束の行動規範を文書化するとしている。有志国が政治的に誓約を行い、輸出管理ツールを活用して、深刻な人権侵害に利用されるソフトウエアやその他の技術の拡散を防ぐことを目指す。

政権が併せて発表したファクトシート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、行動規範の策定のほか、次の取り組みを行うとしている。

  • 有志国との共通の行動および具体的で実践的な成果をもたらすべく、政策的な調整を行う。
  • 政策立案者や技術的専門家、輸出管理や人権の専門家を結集し、重要・新興技術が民主的社会のために活用されることを確かにする。
  • 参加国の間で、いかにして国内の法的な枠組みを強化するか、脅威とリスクに関する情報を共有するか、ベストプラクティスを共有・構築・実践するか、その他の国の能力を向上させるかに関して検討を行う。また、他国政府や産学界とも協議を行う。

また、ファクトシートでは、米国が既に同盟国などと進めている取り組みとして、日本・米国・オーストラリア・インド4カ国〔QUAD(クアッド)〕の下での重要・新興技術の設計開発に関する原則(2021年9月28日記事参照)や、米EU貿易技術評議会(TTC)での輸出管理に関する協力(2021年9月30日記事参照)に加えて、2国間では日本(2021年4月19日記事参照)と韓国(2021年5月24日記事参照)とも首脳会談を経て重要・新興技術に関するパートナーシップを立ち上げたことに言及している。

なお、本イニシアチブには、カナダ、フランス、オランダ、英国も支援を表明している。

(磯部真一)

(米国、オーストラリア、デンマーク、ノルウェー、カナダ、フランス、オランダ、英国)

ビジネス短信 8b9a309e1d587ea0