バイデン米大統領、対面形式では初のクアッド首脳会議を開催

(米国、日本、オーストラリア、インド)

ニューヨーク発

2021年09月28日

ジョー・バイデン米国大統領は9月24日、ホワイトハウスで対面形式では初となる日本・米国・オーストラリア・インド4カ国〔クアッド(QUAD)〕による首脳会議を開催した。

会議後に出された共同首脳声明(英文PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)仮訳PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))では、今回の会議は「インド太平洋およびわれわれ(日米豪印)が実現を希望するもののためのビジョンにあらためて焦点を合わせるための機会」と位置付けられた。バイデン大統領は冒頭、「世界観を共有し、未来に向けた共通のビジョンを持った民主主義のパートナー国による本会合」を通じて、新型コロナウイルス対策や気候変動、新興技術などの現代の重要課題に共同で取り組むと述べた。

ファクトシート(英文PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)仮訳PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))によると、日米豪印は新型コロナウイルス対策として、12億回分超のワクチン提供に向けて、インドの製薬大手バイオロジカルEが2022年末までに10億回分以上のワクチンを生産するための計画などを順調に進めているという(注)。インドは2021年10月からワクチン輸出を再開すると発表しており、日豪も資金援助などによる供給支援を行う。

気候変動については、環境配慮型の海運網やクリーン水素パートナーシップなどを通じて、脱炭素化の取り組みを推進する。また、日本からは、バイデン大統領が主導し2030年までにメタンガス排出の30%削減を目指す取り組み「グローバル・メタン・プレッジ」(2021年9月21日記事参照)への参加が表明された。

重要・新興技術では、設計開発などに関する原則(英文PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)仮訳PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))が発表され、信頼性、健全性および強靭(きょうじん)性の上に構築された技術エコシステムや、公正で開かれた市場競争による技術革新を尊重するとともに、権威主義的な監視・抑圧を目的とした技術使用の禁止や技術の不正移転と搾取への対処といった方針が示された。次世代情報通信と人工知能の技術標準化や、半導体サプライチェーン強化、5G(第5世代移動通信システム)設置支援に向けた個別の取り組みも行うとしている。

また、4カ国間の人材交流として、STEM(科学、技術、工学、数学)分野の修士・博士課程の取得を目指す学生を支援する「日米豪印フェローシップ」を立ち上げる。年間100人(4カ国から各25人)が米国で研究するための奨学金を付与する枠組みで、バイデン大統領は「明日のリーダーやイノベーター、パイオニアへの投資」と述べた。そのほか、インド太平洋地域での質の高いインフラ構築協力や、サイバー・セキュリティおよび宇宙の分野に関する作業部会の立ち上げなどが合意されている。

首脳会議の前後では、2国間での首脳会談などが開催された。米印間では、2017年10月以来開催されていない通商政策フォーラムの再開が合意された。両国の貿易上の課題への対応や取り組むべき個別分野の特定を通じて、貿易関係の強化を目指すとしている。

(注)インド太平洋諸国に対する日米豪印のワクチン関連支援実績については、米国国際開発庁(USAID)ダッシュボード外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます参照。

(藪恭兵)

(米国、日本、オーストラリア、インド)

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