米ファンド、ブラジルでSAF・再生可能ディーゼル併産へ計画見直し

(ブラジル、米国)

サンパウロ発

2026年10月23日

米国プライベート・エクイティ・ファンド、サミット・アグリカルチュラル・グループ傘下のジェットバイオは10月9日、同日付現地紙「エスタード」のインタビューで、サンパウロ州パウリニア市で計画するバイオ燃料工場について、持続可能な航空燃料(SAF)に加え、エタノール由来の再生可能ディーゼル(注1)も生産可能な設備へと計画を見直したと明らかにした。需要動向に応じてSAFと再生可能ディーゼルを切り替えて生産する体制を整え、ブラジルのエタノール産業向けに新たな需要創出を目指す。

同社は2026年5月、同工場をSAF製造拠点として建設する計画を公表していた。投資額は20億ドルで、2030年第2四半期の稼働を予定する。当初は第2期作トウモロコシやサトウキビ由来のエタノール(注2)を原料とするSAFの生産を計画していた(2026年6月3日記事参照)。

今回の計画変更では、米石油・ガス関連技術大手ハネウェルUOPの技術をライセンス導入し、同一設備でSAFと再生可能ディーゼルを切り替えて生産できるようにする。ジェットバイオのウィリアム・ムーア最高経営責任者(CEO)は、SAF需要の先行きが不透明であることを見直しの理由として挙げた。一方で、「世界のディーゼル燃料市場の規模は航空燃料市場の約5倍に達する」と指摘し、再生可能ディーゼルについては海運、鉱業、重工業、農業、大型車両による道路輸送など、電化が難しい分野で需要が見込まれると述べた。バイオディーゼルと異なり、ディーゼルエンジンにそのまま使用でき、他の燃料と混合する必要もないという。

同工場は、年間18億リットルのエタノールを使用する計画。原料調達は同グループが筆頭株主(出資比率43%)で、ブラジル有数のトウモロコシ由来エタノール生産企業であるFSが担う。FSは自社生産分に加え、他社からの調達分も含めて全量を供給する予定で、既に22社の供給候補と協議しているという。

また、ムーアCEOによると、総額20億ドルの投資は調達資金で賄い、半分を借入金、残り半分を出資金とする計画。ブラジル政府系の開発金融機関であるブラジル開発銀行(BNDES)とは5月から協議を進めており、2026年内の合意を目指す。ブラジルの国内民間銀行との協議も進めており、約5億ドルは米国での債券発行による調達を見込む。資金調達は2027年3月までに完了する見通しで、建設には30~36カ月を要するとしている。

(注1)米エネルギー省によると、再生可能ディーゼルは石油由来ディーゼルと化学的に同等になるよう加工された燃料で、一般には大豆油などの油脂を原料とする。既存のディーゼルエンジンやインフラで単独で使用できるほか、石油由来ディーゼルと任意の割合で混合して使用することも可能だ。カリフォルニア州の低炭素燃料基準(LCFS)の認証データでは、石油由来ディーゼルと比べ炭素強度を平均65%削減する。

(注2)第2期作はサフリーニャと呼ばれ、第1期作に大豆を作付けして収穫した後に、同じ土地でトウモロコシを作付けして収穫する方法。ブラジル農牧畜研究公社(Embrapa)によれば、近年はトウモロコシ生産量の7割以上がサフリーニャによるもので、第1期作の生産量を大きく上回る(2026年1月20日付地域・分析レポート「モビリティーへの活用 ブラジルの次世代燃料政策と動向(1)」参照)。

(エルナニ・オダ)

(ブラジル、米国)

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