ウクライナ国会、「財産評価に関する法律」を可決、不動産評価制度を刷新、欧州・国際基準を導入
(ウクライナ、EU)
調査部欧州課
2026年10月16日
ウクライナ最高会議(国会)は10月14日、「財産評価に関する法律」(法案第13435号)を最終審議で可決した。賛成は272票だった。同法は、2001年から続く不動産評価制度を全面的に見直し、欧州不動産評価基準(EVS)と国際評価基準(IVS)を導入する。
同法は、これまで別々に行われていた土地と建物の評価を一本化するほか、評価手続きのデジタル化、評価人の統一登録簿や自主規制機関の創設、裁判外での紛争解決制度などを盛り込んだ。外国人専門家がウクライナで評価業務に参入するための手続きも簡素化する。また、ロシアによる侵攻で生じた資産被害額の算定についても、独立した評価類型として規定する。
ウクライナでは、ロシアによる侵攻で住宅やインフラなどに甚大な被害が生じており、2月時点の評価では、今後10年間の復旧・復興費用は5,877億ドルに上ると見込まれている。特に、住宅分野の復興需要は898億ドルと、交通、エネルギーに次いで大きい(2026年3月5日記事参照)。最高会議は、今回の法改正により評価業務の質と透明性を向上させ、より透明な資産管理やウクライナ経済の復興に向けた環境整備につなげるとしている。
ウクライナはEU加盟に向け、国内法をEU法に整合させるための法改正や制度改革を進めている(2026年9月9日付地域・分析レポート参照)。EU加盟に向けた制度改革が進められる中、同法もウクライナの不動産評価制度を欧州基準に調和させる内容となっている。
最高会議は、同法については透明性のある資産管理やウクライナ経済の復興、欧州型の経済環境の整備に向けた重要な措置であるとしている。新制度は、ウクライナで不動産の取得や事業拠点の設置、融資、保険、復興事業への参画などを検討する外国企業にとっても、資産価値や戦争被害額を把握する際の制度的な基盤となる可能性がある。
(後藤大輝)
(ウクライナ、EU)
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