今後10年間のウクライナの復興費用は5,877億ドル、前回調査比で637億ドル増
(ウクライナ)
キーウ発
2026年03月05日
ウクライナ政府と世界銀行、欧州委員会、国連は2月23日、第5次被害・ニーズ調査(RDNA5)を公表した。それによると、今後10年間のウクライナの復興にかかる費用は5,877億ドルと見込まれている(2025年12月31日時点)。これは、ウクライナの2025年の名目GDP見込み額のほぼ3倍に当たり、2025年2月に発表された前回の調査(RDNA4)から637億ドル増加した(2025年3月3日記事参照)。
復興ニーズが高い部門は、交通(963億ドル)、エネルギー(906億ドル)、住宅(898億ドル)、商業・工業(633億ドル)、農業(553億ドル)となった。前回の調査と比較して復興ニーズが大幅に増加したのは、水供給・衛生(55.4%増)、エネルギー(33.7%増)、交通(24.2%増)、通信・デジタル・メディア(21.1%増)だった。
ロシアによる全面侵攻開始(2022年2月)から2025年12月までの期間におけるウクライナの直接被害額は1,951億ドルで、前回の調査からは10.8%増加した。最も被害を受けた分野は住宅、交通、エネルギーで、前線地域と大都市圏に被害が集中した。同期間における社会経済的損失は6,667億ドル(RDNA5比13.2%増)だった。
RDNA5では、復興において民間セクターが重要な役割を果たすと指摘。また、国内外の民間投資を最大化するには、ビジネス環境の改善、競争の促進、資金調達へのアクセス拡大、労働制限の撤廃、EUの環境・デジタル基準への適合が不可欠と強調した。また、マティアス・シュマーレ国連ウクライナ常駐・人道調整官は、難民の帰還、退役軍人の社会復帰、女性の労働市場への参加の重要性にも触れ、「復興は地域社会のニーズに基づいて行わなければならない」と指摘した。
ウクライナ政府は復興のための2026年の優先プロジェクトを設定し、その必要総資金を152億5,000万ドルとした。このうち、政府またはドナーからの資金調達が確保できているのは57億7,000万ドルで、全体の38%にとどまっている。
(坂口良平)
(ウクライナ)
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