欧州委、標準化規則改正案を発表、規格策定の迅速化と柔軟化へ

(EU)

ブリュッセル発

2026年10月09日

欧州委員会は10月6日、迅速な技術仕様の策定に向けた標準化規則の改正案を発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。EUの標準化制度においては、官民パートナーシップを基にした欧州標準化機関(注)が欧州規格を策定している。EU官報に掲載された欧州規格に準拠した製品は、EU法への適合が推定されることから、単一市場での流通が容易になる。一方で、欧州規格の策定には平均6年を要し、EU法の適用開始時期に規格の策定が間に合わない事例も生じている。このため企業には法適合性に関する不確実性や追加的な対応費用が発生し、新技術の市場投入や競争力強化の妨げにもなっている。特に人工知能(AI)やバッテリーなどの戦略分野では、規格策定の遅れが問題視されている(2025年6月6日記事参照)。

そこで今回の改正案では、欧州標準化機関を中心とする現行制度を維持しつつ、規格策定の迅速化を図るとともに、欧州規格の策定が遅れた場合でも企業がEU法への適合性を示せる仕組みを導入する。欧州委は、改正により策定期間は平均4年に短縮され、企業の対応費用も年間2億9,500万ユーロ削減できると試算している。

改正案の柱は、(1)既存の技術仕様の活用、(2)欧州規格策定までの中間的な標準化成果物の導入、(3)他機関や共通仕様の活用からなる。具体的には、欧州委が、欧州標準化機関に規格策定を要請する際に、他の機関が策定した技術仕様や規格を考慮することや、中間的な標準化成果物の策定を求めることができる。これにより、既存の技術仕様や規格を欧州標準化プロセスに迅速に取り込むことが可能になるほか、中間的な標準化成果物に準拠することで、企業は欧州規格の策定前でも適合性の推定を受けられるようになる。

さらに、欧州標準化機関による迅速な策定が難しい場合、欧州委が指定した他の標準化機関に規格策定を要請したり、自ら共通仕様を策定したりできる。これにより、欧州規格の策定が遅れても、企業がEU法への適合性を示す手段を確保できる。分野別のEU法においては、欧州委による共通仕様の策定を可能にする改正(2025年5月27日記事参照)が合意されているが、今回の改正案は共通仕様の一般的枠組みを規定する。このほか、改正案はEU法に基づく規格や仕様の無償提供を規定する。

改正案は今後、EU理事会(閣僚理事会)と欧州議会で審議される。

(注)欧州標準化委員会(CEN)、欧州電気標準化委員会(CENELEC)、欧州電気通信標準化機構(ETSI)。

(吉沼啓介)

(EU)

ビジネス短信 4b1dec3f4b6c8597