ハンガリー、科学・イノベーション新戦略を発表、企業の研究開発拠点投資を誘致

(ハンガリー)

ブダペスト発

2026年10月13日

ハンガリー科学・技術省のホルバート・ペーテル科学政策・イノベーション担当次官は10月2日、ブダペストで開催されたハンガリー製薬工業協会(MAGYOSZ)主催の会議で、新たな「科学・イノベーション戦略」の概要について発表した。政府は基礎研究やイノベーション研究向けの国家予算を、今後3年間で1,000億フォリント(約483億円、1フォリント=約0.483円)から2,250億フォリントへ増額する方針だ。研究開発(R&D)費のGDP比も、現在の1.33%から2030年までに2%へ、さらに2035年までにEUの目標に沿って3%へ引き上げることを目指す。

政府は2026年5月、外資や単純労働力の量的拡大ではなく、生産性や付加価値の向上、知識集約型経済への転換を重視する姿勢を示しており(2026年5月26日記事参照)、今回のR&D戦略はその具体化の一環とみられる。

政府は本戦略の策定にあたって、1,000件を超える専門家との協議を行った。欧米の例に倣い「グランドチャレンジ(大きな課題)」の考え方を採用し、健康、環境、技術を重点3分野とし、社会福祉と安全保障の2本の柱が補完する。

また本戦略では、基礎研究からスタートアップ・中小企業、中堅・大企業へと至るイノベーション・エコシステムの構築を目指す。公的資金に加え、欧州の投資家の参画も得つつ、ベンチャーキャピタルや民間投資家の役割を強化する。

計画には、新たなスタートアップ会社形態の創設や、投資家・イノベーターへの優遇措置の提供などが含まれる。大企業向けのR&D補助(注)は維持しつつ、大学との連携によるイノベーション創出を促進する新たな支援形態を設ける。また、大企業のR&D部門やナレッジセンターのハンガリー誘致も目標とする。

上記方針の背景には、ハンガリーの研究・イノベーション分野における国際競争力の向上という課題がある。ホルバート次官は、現在、ハンガリーがイノベーション・技術・研究の指標に基づくEU内ランキングで21~22位前後にあり、順位向上には大幅な資金拡充が必要と指摘した。2026年8月下旬に開催された国会教育委員会では、現実的な目標として15位前後を挙げている。

なお、政府は本戦略の方向性を示したものの、戦略文書の詳細や具体的な支援措置は、現時点で公表されていない。

(注)ジェトロの国・地域別情報「ハンガリー:外資に関する奨励」ページを参照。

(バラジ・ラウラ)

(ハンガリー)

ビジネス短信 31d43ec91a5be608