ハンガリー新政権、各担当閣僚が主要分野における基本方針を示す

(ハンガリー、EU)

ブダペスト発

2026年05月26日

マジャール・ペーテル新首相率いる新与党「尊重と自由」(ティサ)政権の発足(2026年5月18日記事参照)と並行して、財務、外務、経済・エネルギー、科学・技術の各担当閣僚は就任直前の5月11日から12日に、国会の各専門委員会(公聴会)において基本方針を示した。主なポイントは次のとおり。

カルマーン・アンドラーシュ財務相は12日、新政権の経済政策の根幹は、生産性向上に基づく新たな成長モデル、予測可能な経済環境の整備、そして信頼性と持続性のある中期財政運営であると述べた。特に予測可能なビジネス環境の構築のため、規制変更前の事前協議の義務化と遡及(そきゅう)的立法の禁止を挙げ、前政権下で常態化していた突然の制度変更と決別する姿勢を示した。また、外資や単純労働力の量的拡大ではなく、生産性や付加価値の向上、高度なスキルを持つ労働力、知識集約型で革新的な経済、そして中小企業を基盤とする新たな成長モデルが必要だと付言した。カピターニ・イシュトバーン経済・エネルギー相も11日、同様の考えを示し、「技術をもたらし、適正な賃金を払い、環境基準を順守するならば、世界中からの投資を歓迎する」と述べた。

税制面では、カルマーン財務相によると、個人所得税について、中間賃金(月額62万5,000フォリント=約31万8,750円、1フォリント=約0.51円)未満の所得者への実効税率を15%から9%へ引き下げるほか、低所得層に身近な品目(処方薬、野菜、果物、まきなど)の付加価値税も引き下げられる見込み。一方、一部の富裕層を対象に1%の富裕税を新設する方針。特定の業界に対する特別税(銀行税、広告税など、注)については、カピターニ経済・エネルギー相によると、当面現行のまま維持される見込み。

財政運営について同財務相は、新たなマクロ経済政策と財政収支目標を2026年7月末までに提示する予定と述べた。さらに経済政策転換の1つとして、2030年までのユーロ導入計画に言及した。

対EU関係についてオルバーン・アニタ外相は、「前政権がブリュッセル(EU理事会)で常套手段として行っていた拒否権行使をやめる」と、EU加盟国との協調路線への転換を明示し、最優先課題は凍結されているEU資金の解除であると述べた。カピターニ経済・エネルギー相は、「104億ユーロのEU基金引き出しに関する交渉を始めており、9月末までに受領することを目指す。同資金は輸送、住宅、エネルギー分野に充当し、2027年以降は再生可能エネルギーとデジタル化に重点を置く計画」と語った。

エネルギー政策についてカピターニ経済・エネルギー相は、ロシアからの調達を完全に断つのではなく、調達先の多様化を図る方針を示した。また、原子力はハンガリーでのエネルギー供給において引き続き重要な役割を担い、これまで軽視されてきた風力発電にも注目するとした。

科学・技術についてタナーチ・ゾルターン科学・技術相は、現在1.3%にとどまっている研究開発(R&D)支出額の対国内総生産(GDP)比(EU平均2%)を政権の任期が終わる予定の2030年までに2%、長期的に3%超へ引き上げる目標を掲げた。

(注)ジェトロの国別情報「ハンガリー:税制」ページを参照。

(バラジ・ラウラ)

(ハンガリー、EU)

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