頼総統が双十節演説、経済発展の成果を住民と共有
(台湾、中国)
調査部中国北アジア課
2026年10月14日
台湾の頼清徳総統は10月10日に開催された双十節の祝賀式典で、演説を行った。式典には、エスワティニ王国のムスワティ3世国王夫妻をはじめ、海外から約140人の来賓が参加した。日本からは日本台湾友好議員連盟の古屋圭司会長らが参加した。
演説する頼清徳総統(日本台湾交流協会提供)
演説の主なポイントは次のとおり。
- 両岸関係および台湾海峡の平和と安定:両岸関係も念頭に、台湾は平和を大切にするが自由は放棄せず、交流は望むが台湾を矮小(わいしょう)化することは受け入れないとした。米中が対話を通じて競争を管理し、衝突や戦争のリスクを下げることを歓迎する一方、インド太平洋地域の民主主義国家と力を合わせ、地域の平和と安定の現状が変更されないようにするとした。また、防衛改革を進めるとともに、全社会防衛強靱(きょうじん)化に向けた準備を通じて、中央、地方、民間の力を統合し、エネルギー、通信、交通、金融、食料、医療分野における継続的な運用能力を高めるとした。
- 台湾経済:2026年上半期の経済成長率は14.15%に達した。通年では11%を超え、39年ぶりの高水準となる見込みで、1人当たりのGDPは4万5,332ドルに達すると予測した。また、2026年のスイス国際経営開発研究所(IMD)の世界競争力ランキングでは過去最高の4位を記録した(2026年6月24日記事参照)。半導体、人工知能(AI)、防衛、セキュリティー、次世代通信の「5大信頼産業」(2024年9月25日記事参照)や、シリコンフォトニクス、量子コンピューティングなどの次世代技術を含む13の核心的戦略産業の推進を加速させる。テクノロジー産業と伝統産業をともに発展させる方針も示した。エネルギー政策では、電力の安定供給やエネルギー安全保障、ネットゼロ転換を目標とし、イデオロギーによって選択肢を排除せず、科学的根拠や安全基準などに基づき、多様な選択肢を現実的に評価するとした。
- 社会・内政:少子化対策として、2027年から0~18歳の子供に月額5,000台湾元(約2万5,000円、1台湾元=約5円)の成長手当を支給する方針を示した。超高齢化社会への対応では、「長期介護10カ年計画3.0」(注1)を推進する。経済発展の成果を住民と共有するため、最低賃金の引き上げを継続し(2026年10月6日記事参照)、2027年は財政の健全性を前提に、1人当たり1万台湾元の「AIボーナス」を支給する方針も示した(注2)。間近に迫る統一地方選挙(注3)において、政党は意見が異なってもよいが、台湾がそれによって分断されてはならないと訴えた。
(注1)超高齢社会への対応として、2025年12月31日に行政院が承認し、2026年から正式に実施している新たな長期介護政策。医療と介護の連携、スマートテクノロジーの導入、在宅医療などを柱とし、「健康的な高齢化、地域での老後、安らかな最期」を目指す。
(注2)台湾当局が2026年8月20日に閣議決定した2027年度総予算案には、1人当たり1万台湾元の現金給付が盛り込まれた。予算案の法的手続きが完了次第、給付が開始される予定だ。
(注3)台湾では2026年11月28日に、直轄市長や県・市長、地方議員などを一斉に選出する地方選挙が実施される予定。
(藤本海香子)
(台湾、中国)
ビジネス短信 2dd1410f0324bb8c





閉じる