ジェトロが米テキサス州で2回目のバイオ・創薬系スタートアップ育成プログラムを実施
(米国、日本)
ヒューストン発
2026年10月08日
ジェトロは9月21日~10月1日、米国テキサス州ヒューストンの医療・研究機関が集積するテキサス・メディカル・センター(TMC)で、スタートアップ育成プログラム「J-StarX Biotech Accelerator Program」を実施した。同プログラムでは、米国での臨床開発や事業展開を目指す企業に、市場参入に必要な知識やネットワークを獲得する機会を提供する。TMCのスタートアップ支援・技術事業化部門TMC Innovation(TMCi)が主体となって実施し、日本のバイオ・創薬系スタートアップ4社が参加した(注1)。
TMCチームと参加者(ジェトロ撮影)
テキサス州での開催は今回が2回目となる(注2)。参加者は、TMCiに隣接する医療機器開発支援施設「メディカル・デバイス・ラブス(Medical Device Labs)」や「セラピューティック・ラボ(Therapeutic Lab)」のウェットラボ施設をはじめ、ライフサイエンス企業や研究機関が集積する複合施設「ヘリックス・パーク(Helix Park)」、全米トップクラスの評価を受ける学術医療機関「ヒューストン・メソジスト(Houston Methodist)」の研究施設などを訪問した。また、米国の規制対応、臨床開発、CMC(製造・品質管理)、資金調達、事業提携などに関する専門家セッションや個別メンタリングを受講し、投資家や製薬企業、研究機関の関係者との面談を通じて事業化戦略の高度化を図った。
専門家や投資家の視点で助言を受ける参加者(ジェトロ撮影)
9月30日には、TMCiが主催する創薬分野の年次イベント「TMCセラピューティック・サミット(Therapeutics Summit)」が開催された。TMCの国際連携プログラム「バイオブリッジ(BioBridge、注3)」の一環としてショーケースが行われ、J-StarX参加企業4社とJACT(注4)参加企業4社が登壇した。投資家や助成金団体との面談セッションには、前回のプログラム参加企業「リンクメッド(LinqMed、注5)」も参加し、研究者、投資家、医療機関、製薬企業の関係者との交流が行われた。
サミットで登壇する様子(ジェトロ撮影)
参加者からは、現地の関係者はオープンかつ協力的だったとの声が聞かれた。また、「業界の中核コミュニティは一般的に閉鎖的だが、TMCのエコシステムはアクセスしやすい」との声もあった。TMC関係者は現地の魅力について、医療・研究の集積地として大規模な臨床研究・治験の実施体制があり、研究成果を事業化につなげやすい点を挙げた。さらに、TMCは単に病院や施設が集まる場所ではなく、研究者、医療機関、スタートアップ、投資家を結び付ける調整役(コンビーナー)として機能していると強調した。
ジェトロとTMCは、2026年12月から2027年2月にかけて、医療機器分野においてJ-StarXプログラムの実施を予定している(注6)。
(注1)人工知能(AI)と抗体データを活用した創薬標的探索技術を持つ「コグナノ(COGNANO)」、固形がんを対象とした多標的型細胞免疫療法を開発する「イーグルイミューン(EagleImmune)」、独自のRNA修飾技術を活用したがん早期診断技術を開発する「ミルンダ(MiRNDa)」、毒液由来ペプチドを活用した創薬基盤技術を開発する「ベネイノ(Veneno Technologies)」。
(注2)第1回は2026年2月に実施した(2026年3月6日記事参照)。
(注3)2016年から展開し、2024年には三井不動産、国立がん研究センターと提携した。日本との連携はオランダ、オーストラリア、英国などに続き、6番目となる。
(注4)日本のがん関連技術の米国展開支援を目的に、TMCと三井不動産、国立がん研究センターが2024年に立ち上げたプログラム。
(注5)銅を用いてPET診断と標的治療を単一の薬剤で行う「セラノスティクス(診断・治療一体型医療)」がん治療薬の開発を進めている。第1回を通じて提供されたTMCの研究施設やメンタリング支援を活用し、米国での事業展開の足掛かりとしている。
(注6)ただし、同プログラム募集は終了。他のJ-StarXプログラムはジェトロHP参照。
(キリアン知佳)
(米国、日本)
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