メキシコのエブラル経済相、G20貿易相会合でグリアUSTR代表と実務会談
(メキシコ、米国、カナダ、EU、インド、アルゼンチン)
メキシコ発
メキシコのマルセロ・エブラル経済相は10月1日、ジェミソン・グリア米国通商代表部(USTR)代表と実務会談を行った。この会談は、米国ミルウォーキーで開催されたG20貿易相会合の合間に実施された。エブラル経済相は記者の取材に対し、「世界最大の経済大国である米国をはじめとする各国が、自由貿易体制に取って代わるかたちで、世界貿易システムの大きな変革を推進している」と述べた。こうした変化する状況の中で、「G20を構成する国々の中で、メキシコは米国市場へのアクセスにおいて最も有利な条件を備えている。メキシコの目標は、その優位な立場を維持することだ」と強調した。有利な立場を築いている理由の1つに、ドナルド・トランプ米大統領と21回ほど話し合ってきたクラウディア・シェインバウム大統領のリーダーシップを挙げた。
もう1つの理由は、両国の経済的統合によるものだとし、メキシコからの対米輸出品には米国産部品・材料が多く含まれていることを挙げた。中国、ベトナム、日本、韓国からの輸出製品には、米国産の部品・材料が100ドル当たり3ドル程度しか含まれていないが、メキシコは30ドルから40ドルが米国から輸入した製品、あるいは米国と何らかの関係がある製品だとし、他国より多くの米国製品が含まれていることを強調した。その上で、鉄鋼や自動車に対する米国の1962年通商拡大法232条追加関税を引き下げる必要があるとした。この一方、強制労働や過剰生産に関する1974年通商法301条関税については協議しなかったと述べた。
米国以外とも交渉を継続
エブラル経済相は同期間中、カナダ、欧州、インド、アルゼンチン、日本の閣僚らとも会談した。カナダのマニンダー・シドゥ国際貿易相とは、カナダへメキシコ企業のミッションを派遣することで合意した。EU・欧州委員会のマレシュ・シェフチョビチ委員(貿易・経済安全保障担当兼機関間関係・透明性担当)とも、EUの複数国へミッションを派遣することで合意し、メキシコ・EU自由貿易協定(FTA)の現代化暫定貿易協定(iTA、注)がメキシコ企業にもたらすEU市場への輸出機会について協議した。インドのピユーシュ・ゴヤル商業鉱業相に対しては、メキシコ産テキーラの同国市場へのアクセス拡大を提言したほか、インドが世界的な強みを持つ製薬業界において、短期的な協力の可能性について協議した。アルゼンチンのフェルナンド・ブルン国際経済関係担当長官に対しては、同国への乗用車輸出枠の拡大を要請した。日本とは、宮本周司経済産業副大臣、堀井巌外務副大臣と会談した。経済産業省のニュースリリースによれば、メキシコによる日本産厚板へのアンチダンピング調査(2026年9月3日記事参照)やメキシコにおける日本企業の事業環境整備について意見交換を行った。
(注)メキシコ・EU協定は幅広い内容を含む現代化総合協定(MGA)と、総合協定から財・サービスの貿易や投資に関する部分を切り離した暫定貿易協定(iTA)から成る。総合協定の発効には、メキシコと全てのEU加盟国における批准手続きが必要だが、iTAの場合、EU側はEU理事会の同意をもって暫定適用が可能。メキシコ上院がiTAの批准承認を完了し、EU理事会が暫定発効に同意すれば、iTAは発効する。詳細は2026年7月2日付地域・分析レポート「EUメキシコFTAの現代化で何が変わるか 進出日系企業の輸出先多角化にも期待」を参照。
(阿部眞弘)
(メキシコ、米国、カナダ、EU、インド、アルゼンチン)





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