メキシコ、日本産熱延鋼板シート材のAD調査を開始、コイル材は対象外

(メキシコ)

調査部米州課

2026年09月03日

メキシコ経済省は9月2日、日本産の熱延鋼板シート材に対するアンチダンピング(AD)調査の開始決議を官報公示した。調査を申請したのは、サンルイスポトシ州の鉄鋼メーカーのグルーポ・アセレロ(Grupo Acerero)。電気炉から鉄筋や線材など建設鋼材を生産するメーカーだが、2019年にシート材を製造するラインを増設し、鋼板の市場にも参入している。

AD調査の対象品は、鉄または非合金鋼の平板製品のうち、熱間圧延され、めっき・被覆されていない非コイル材で、厚さ4.75ミリ以上、幅600ミリ以上のもの。長さは問わない。メキシコの関税分類(HS)コードで主に7208.51.04および7208.52.01に分類され、建築、橋梁(きょうりょう)、圧力容器、鉄道車両、機械設備などに使用される。経済省は、申請者が提出した情報を分析し、日本産品によるダンピングと国内産業への実質的損害を推定するに足る十分な要素があるとして、調査開始を決定した。調査対象期間は2025年1月1日~12月31日まで、国内産業への損害分析期間は2023年1月1日~2025年12月31日までとなる。

今回の調査対象は、輸入時点でシート状または厚板状となっている製品に限られ、コイル状の熱延鋼板は対象に含まれない。このため、日本からコイルの状態で輸入し、メキシコ国内のコイルセンターで巻き戻し、レベリング、切断を行ってシート材に加工する場合も、今回の調査対象には該当しない。日本からは自動車用冷延鋼板の母材となる熱延コイルの輸出が相対的に多いため、影響は限定的とみられる。

一方、日本国内でコイルを切断し、輸入時点ですでにシート状となっている製品については、厚さ(4.75ミリ以上)、幅(60センチ以上)、材質(非合金鋼)などの要件を満たす場合、調査対象となり得る。対象となるかどうかは用途ではなく、輸入時点での形状、寸法、材質などに基づいて判断される。

利害関係者は意見書の提出を

メキシコの貿易統計によると、メキシコ側HSコードで7208.51.04および7208.52.01の日本からの輸入量は、2023年の570トンから2024年に前年比約41倍の2万3,411トン、2025年には同74.4%増の4万825トンへ増加している。一方、2025年の日本産の熱延鋼板全体(HS72.08項)の輸入量は約37万トンで、両品目が占める割合は11%にとどまる。

現時点では調査開始段階であり、今後、経済省がダンピングおよび国内産業への損害の有無を審査する。国内生産者、輸入者、輸出者、外国法人など、調査結果に法的利害関係を有する者は、所定の期限内に利害関係を証明した上で、質問状への回答、意見および証拠を経済省に提出できる。提出期限は原則として23営業日。決議で個別に示された関係者および日本政府については調査開始の通知日から5日後、その他の利害関係者については官報掲載日の5日後から、それぞれ23営業日を数える。提出は経済省国際通商措置ユニット(UPCI)の電子メールまたは窓口で受け付ける。情報提出フォーマットについては、UPCIのウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますからダウンロードできる。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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