新エネ車の輸出増値税還付率を2027年4月1日から9%に引き下げ、低価格競争の抑制を見込む

(中国)

北京発

2026年10月15日

中国財政部および税務総局は10月12日に公布した公告2026年第29号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにおいて、2027年4月1日から、新エネルギー車(NEV、注1)の輸出増値税〔付加価値税(VAT)に相当〕還付率を現行の13%から9%に引き下げるとした。公告に添付されたリストPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、還付率引き下げの対象となるのは67品目となっている。リスト掲載製品以外の車両については、引き続き13%の還付率が適用される。なお、電子たばこ関連の24品目について、同じく2027年4月1日以降、輸出増値税還付を取り消すことも同時に発表された。

業界団体の中国汽車工業協会(CAAM)によると、2026年1~9月の中国から全世界への自動車輸出台数は820万5,000台となっており、そのうち、NEVが48.8%と半数近くを占めている。また、2026年9月単月のデータでは、中国からのNEVの輸出台数は前年同月比2.6倍と急増している。急増の背景としては、中国国内の自動車市場での激しい競争によって業界の利益率が低下している中で、企業が海外市場に活路を見いだす動きが顕著となっている点が指摘されている(注2)。輸出の急増に伴い、輸出先国との間で摩擦も生じており、10月8~9日に開催された中国とEUの貿易投資協議メカニズム第2回会合では、中国からの電気自動車(EV)やHEVの輸出の調整が議論の焦点の1つとなった(2026年10月14日記事参照)。

今回の措置について、中国自動車流通協会乗用車市場情報聯席分会(乗聯分会)の崔東樹事務局長は、「引き下げの開始は2027年4月となっており、十分な移行期間が設けられている。産業が成熟するに従って政策を中立的なかたちに戻すのは、太陽光発電製品やリチウムイオン電池など他の『新三様』の製品と同様の流れだ(注3)。今回の措置により、海外での『内巻』(過度な競争)を抑制し、貿易摩擦のリスクをコントロールし、業界を単純な価格競争から製品力の競争に導くことができる」との見方を示している(「第一財経」10月13日)。

中国自動車流通協会の李顔偉氏は、海外では輸出時の税還付は産業補助金とみなされやすいため、還付政策の段階的調整は貿易摩擦の緩和に寄与するとしたほか、今回の政策調整の趣旨は新エネ車産業の質の高い「出海」(海外展開)を進めることにあると指摘した。一方で、李氏は、企業は値上げによってコスト上昇分をカバーするとみられるが、値上げの成否は各企業の総合的競争力によって決まるため、業界内での二極化が今後さらに進行するとの見通しを示した(同上)。

(注1)中国において新エネルギー車とは、一般的に純電動車(BEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池車(FCV)を指し、ハイブリッド車(HEV)は対象には含まれない。今回のリストからもHEVは除外されている。

(注2)国家統計局公表のデータによると、自動車製造業の2026年1~8月の利益率は3.6%と他業界と比較して低水準にある。

(注3)「新三様」とは、中国の輸出の新たな牽引役となっている太陽光発電製品、リチウムイオン電池、EVの3つを指す。すでに太陽光発電製品は2026年4月1日から輸出増値税還付が取り消され、電池についても同日から還付率が9%から6%に引き下げられ、2027年1月1日からは還付が取り消されることになっている(2026年1月16日記事参照)。

(小宮昇平)

(中国)

ビジネス短信 0f956ecd3698a53a