ブラジル政府、ガソリン関連の連邦税を1カ月間無税に
(ブラジル)
サンパウロ発
2026年10月15日
ブラジル連邦政府は10月9日、中東情勢の悪化に伴う国際原油価格の高騰への対応策として、国内燃料価格の抑制を目的とする政令第13134号を公布し、即日施行した。これにより、ガソリン(航空用を除く)の輸入および販売に課される連邦税の社会統合基金・公務員厚生年金(PIS/PASEP)、社会保険融資負担金(COFINS)、特別財源負担金(CIDE)の税率は10月10日から11月9日まで無税となる(注1)。
また、ブラジルではエタノールなどのバイオ燃料に対して優遇税制が適用されていることから(注2)、ガソリン向けの減税措置に伴い、含水エタノールに課されるPIS/PASEPおよびCOFINSも同期間、税率が0%となる(注3)。さらに、含水エタノールの生産者または生産者協同組合に対する補助金についても、同期間、1リットル当たり0.4280レアルへ引き上げられる(注4)。
財務省のプレスリリースによると、今回のガソリンおよびエタノール向けの減税と補助金措置による2026年の財政負担は合計36億レアル(約1,138億円、1レアル=約31.6円)となる見込み。減税による税収減については、補完法第235号の規定に基づき、原油価格の上昇に伴い増加した石油・天然ガス関連の連邦政府収入(ロイヤルティー、同分野企業からの税収、同分野企業からの配当など)を活用して補填(ほてん)するとしている。なお、政府は同日、輸入ディーゼル向けに1リットル当たり1.40レアルの補助金を30日間追加することも発表しており(財政負担は16億レアル)、燃料対策パッケージ全体の財政負担は、30日間で52億レアル規模となる。
10月9日付の現地紙「CNNブラジル」によると、10月25日に実施される大統領選挙の決選投票を前に(2026年10月6日記事参照)、燃料向け減税措置や補助金の拡充が発表されたことについて、複数のエコノミストが財政面での持続可能性を疑問視するなど批判的な見方を示している。一方、ダリオ・ドゥリガン財務相は同日の記者会見で、今回の措置は大統領選挙とは無関係との見解を示した。また、法務省は同日付のプレスリリースで、指標となるブレント原油価格が1バレル当たり100ドルを超え、戦争前の約70ドルと比べて40%以上上昇したことや、ディーゼルおよびガソリンの国際的な精製マージンが戦争前の2倍超に達したことが、今回の措置を決定した理由だと説明した。
(注1)1998年の法律第9718号によれば、ガソリンにかかるPISは総売上高の5.08%、COFINSは23.44%と定められている。一方、2004年の法律第10865号および政令第5059号では、ガソリンの生産者および輸入業者が、総売上高ではなく販売数量を基準とする従量税制度を選択できるとされている。この制度を選択した場合、PIS/PASEPおよびCOFINSは合計で1リットル当たり0.7925レアルとなる。また、2004年の政令第5060号によれば、ガソリンにかかるCIDEは1リットル当たり0.10レアルとなる。連邦政府は2026年9月9日付の政令第13116号によりガソリンの輸入・販売に係るPIS/PASEPおよびCOFINSを合計1リットル当たり0.6325レアル引き下げていた。今回の措置により、従量税方式を選択した場合のPIS/PASEP、COFINSおよびCIDEの税率は全て0%となった。
(注2)補完法第235号によると、化石燃料の減税を行う場合は対応するバイオ燃料の競争上の優位性を維持しなければならず、ガソリンに対する連邦税の減税幅が中東情勢悪化前の水準と比べて30%以上となる場合には、エタノールに対する連邦税率を0%としなければならない(2026年9月4日記事参照)。
(注3)エタノールについても、生産者および輸入業者は従量税方式を選択できる。この場合、PIS/PASEPおよびCOFINSは合計で1リットル当たり0.1922レアルとなる。9月9日付の政令第13116号により含水エタノールにかかるPIS/PASEPおよびCOFINSの税率はすでに0%となった。今回の政令により、同免税措置が11月9日まで延長された。
(注4)9月16日付の政令第13119号により、含水エタノールの生産者または生産者協同組合に対し1リットル当たり0.2519レアルの補助金が導入された。今回の政令により、補助金額は11月9日まで1リットル当たり0.4280レアルに引き上げられた。同補助金は財務相の決定により延長できる。
(エルナニ・オダ)
(ブラジル)
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