欧州自動車工業会、バッテリーのTCA原産地規則緩和措置の再延長をEUに提言
(EU、英国)
ブリュッセル発
2026年09月28日
欧州自動車工業会(ACEA)は9月16日、EU・英国通商・協力協定(TCA)に基づく電気自動車(EV)とEV用バッテリーの原産地規則(注)に関し、EUに対する提言をまとめた書簡
を発表した(プレスリリース
)。
EUと英国は2023年、TCAで導入された同年末までの第1段階の緩和措置を3年間延長し、第2段階の緩和措置を経ずに2027年から原産地規則を適用することで合意した(2023年12月22日記事参照)。これに対しACEAは、EV本体は2027年からの適用の準備はできているが、バッテリーは欧州域内の生産拡大が遅れていることから(2026年7月8日付地域・分析レポート参照)、緩和措置の再延長などが必要と主張した。
具体的には、TCAでは車種を区別せず一律のスケジュールを採用している点を見直し、乗用車・小型商用車(バン)と大型車で電動化の進捗に差があることを考慮し、それぞれ異なる時間軸で、段階的に原産地規則を適用することを提案した。その上で、乗用車・バン用のバッテリーについて、現行の緩和措置を2029年末まで延長し、バッテリーセルは2030年、正極材は2032年から厳格な原産地規則を適用するよう提案した(添付資料表参照)。
ACEAによると、2027年にEUから英国へ輸出されるEV乗用車・バン約52万台のうち、約42万6,000台(82%)は原産地規則の要件を満たせず、TCAの特恵関税率(0%)の適用対象とならない見込みである。このため、メーカーの完成車への輸入関税(10%)賦課に伴う負担は、同年単年で14億7,000万ユーロに達すると試算している。EU最大の輸出市場である英国では、中国メーカーの台頭により競争が激化しており、EUメーカーのEV市場シェア低下は、バッテリーなどEV関連産業にとって重大な損失となると警鐘を鳴らした。
英国産業界でも関税負担への懸念が高まっているが(2026年7月7日記事参照)、2023年の緩和措置延長の際、欧州委員会の提案に基づき、2032年まではさらなる制度変更を認めないと明文化しており、欧州委の対応が注目される。
(注)ジェトロの報告書「英EU通商・協力協定などの原産地規則
(462KB)」(2021年2月)を参照。
(滝澤祥子)
(EU、英国)
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