米グーグルがジョージア州原発の増強を支援、AI時代の新たな電源投資モデルに

(米国)

アトランタ発

2026年09月28日

米国ジョージア州の電力会社ジョージア・パワーとグーグルは9月21日、同州のボーグル原子力発電所とハッチ原子力発電所の出力増強に向けた新たな取り組みを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。州公益事業委員会(PSC)の承認を前提に、既存原子力発電所の設備改修により約96メガワット(MW)の追加発電容量を確保する計画だ。

ジョージア・パワーは今回、設備改修に向けて新たに「NU-1」料金プログラムを創設する(注)。単一拠点で100MW以上の新規電力需要を持つ大口需要家を対象とし、加入企業は契約時に拠出金(PEC)とゼロ・エミッション・クレジット(ZEC)取得に伴う月額料金を支払う。これらの資金は、原子力発電所の出力増強事業に充てられる。今回のグーグルとの合意により、同社がNU-1料金プログラムに参加し出力増強費用の一部を負担することで、一般利用者への料金転嫁が抑えられ、発電所の運転期間を通じて約9億ドルの顧客便益が見込まれるという。

また、今回の取り組みの特徴は、グーグルが追加電力を専有するのではなく、原子力発電所の出力増強によって追加的に生み出される「環境価値」を、ZECとして取得する点にある。追加電力は引き続き、ジョージア・パワーの送配電網を通じて全需要家に供給される。

PSCへの提出資料によれば、ハッチ原子力発電所の出力増強事業では、グーグルからの契約収入に加え、インフレ抑制法(IRA)に基づく発電税額控除(PTC)、米エネルギー省(DOE)の融資保証制度、州の税額控除などを活用する計画で、費用対効果の高い投資と位置付けられている。また、ジョージア・パワーは、大幅な電力需要の増加と電力供給能力の確保が課題になっていると説明し、原子力発電所の出力増強による追加容量には、将来必要となる発電設備の整備を回避または先送りできる価値があると評価している。

米国では近年、マイクロソフトによるペンシルベニア州スリーマイル島原子力発電所の再稼働支援や、アマゾンによる原子力由来電力の長期調達契約など、テクノロジー企業と原子力発電の連携が進んでいる(2024年9月24日記事、2025年6月17日記事参照)。ジョージア州では、データセンター需要の急拡大に伴い、大規模な電源確保が課題となっている(2026年1月19日付地域・分析レポート参照)。今回の事例は、データセンター事業者が発電所の新設ではなく、既存の原子力発電所の能力増強を支援し、その対価として環境価値を取得するモデルとして注目される。人工知能(AI)やデータセンターによる大口需要を活用して電源投資を促進し、その便益を一般需要家にも還元する新たな公益事業モデルとして位置付けられそうだ。

(注)ジョージア・パワーがPSCに提出した資料によると、NU-1プログラムは既に募集枠全量の契約先が確保されている。契約内容は非公表だが、グーグルとの契約を前提に制度設計されたとみられる。

(檀野浩規)

(米国)

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