米アマゾンとタレン、小型炉の建設計画とデータセンター向け電力購入契約を発表
(米国)
サンフランシスコ発
2025年06月17日
米国のアマゾンとタレン・エナジー(本社:テキサス州ヒューストン)は6月11日、タレンが保有するペンシルベニア州のサスケハナ原子力発電所から、アマゾンが最大1.92ギガワット(GW)のカーボンフリー電力を2042年まで購入する契約を締結した。さらに、両社は小型モジュール型原子炉(SMR)の建設を検討しており、既存の原子力発電所の発電容量を拡大する計画も明らかにした。
アマゾンウェブサービス(AWS)は2024年に、タレンが保有する原発に隣接するデータセンターを取得した。当初はアマゾンが発電所から電力の直接供給を受ける「ビハインド・ザ・メーター」方式を申請していたが、送電網の運営コストを消費者が不当に負うことへの懸念から、連邦エネルギー規制委員会(FERC)に却下されていた。これを受けて今回契約を変更し、送電網を経由してアマゾンがそのコストを負担する「フロント・オブ・ザ・メーター」方式に変更する見通しだ。なお、アマゾンは6月9日に、サスケハナ原発の近隣地区を含む2カ所でのデータセンター建設などに、総額200億ドル規模の投資を発表している。
さらに、アマゾンとタレンは州内でのSMR建設構想も発表した。アマゾンは、次世代SMRを開発するスタートアップのエックス・エナジー(X-energy、本社:メリーランド州ロックビル)に投資し、ワシントン州とバージニア州でのSMR開発をサポートするなど、スタートアップとの協業も行っており、今後の取り組みが注目されている(「テッククランチ」6月13日)。
アマゾンやマイクロソフトなどの米国のハイパースケーラー(注)は、データセンターの電力需要に対応するため、直接的な電力確保を急いでおり、いずれも10~20年程度の長期の原子力発電購入契約を締結している(2025年6月9日、2024年10月17日、2024年9月24日記事参照)。米国エネルギー情報局(EIA)は6月10日、2025~2026年に米国の電力消費量が過去最高を更新するとの予測を発表した。データセンターの電力需要急拡大が主因とみられている。
(注)大規模なデータセンターを運営し、人工知能(AI)などを含むクラウドサービスを提供する事業者。
(芦崎暢)
(米国)
ビジネス短信 6e58eb1a492f8049