滋賀で経済安全保障セミナーを開催、米中輸出管理の動向を解説

(日本、米国、中国)

調査部中国北アジア課

2026年08月14日

ジェトロは730日、滋賀県草津市で「国境を越える米中の輸出管理、貴社の取引に潜むリスクとは」と題した、中堅・中小企業向けの経済安全保障関連セミナーを開催した。ジェトロ調査部の箱崎大主任調査研究員、中国北アジア課の藤原智生課長代理、米州課の葛西泰介リサーチマネージャーが講師を務め、地域の製造業企業関係者ら27人が参加した。

写真 セミナーの様子(ジェトロ撮影)

セミナーの様子(ジェトロ撮影)

箱崎主任調査研究員は、米中対立の行方と日本企業のサプライチェーンへの影響について解説した。米中関係の構造変化により、従来は企業間の合意で成立していた取引が、規制や制度といったコントロール外のリスクの増大によって、当事者だけでは完結しなくなっていると指摘した。また、製品の規制該当性や最終用途など、事前に確認すべき事項が増え、企業の意思決定の前提も変化していると説明。その上で、こうした影響は規模にかかわらずサプライチェーンに関わるあらゆる企業に及ぶため、依存先や重要な調達先を把握し、代替策を検討するなど、取引停止リスクに備えて影響を最小化する準備が重要であると強調した。

藤原課長代理は、中国の輸出管理の概要とともに、特に2025年4月に中・重希土類レアアース7種の輸出管理が強化(2025年4月7日記事参照)されて以降、レアアースを含む永久磁石を中心に両用品目の中国からの輸出が滞るケースが継続的に発生している状況を説明した。直接、中国企業と取引をしていなくても、実際にレアアースの供給が止まって初めて自社のサプライチェーン上にあることを知るケースもあると指摘。その上で、輸出許可の取得可否や取得までの期間がサプライチェーン上の大きなリスクとなっており、中国側の輸出管理対象品目や関連HSコードの確認、自社サプライチェーンの点検、情報管理に加え、再輸出規制の拡大も見据えた対応が必要であると説明した。

葛西リサーチマネージャーは、米国の輸出管理について「米国から輸出をしていないから関係ない」とはならず、米国原産品が組み込まれている場合などでは一定の条件下で、規制の対象となりうることなどを、実際の事例の紹介とともに説明した(詳細は、「『安全保障貿易管理』早わかりガイド」参照PDFファイル(3.3MB))。その上で、今後気を付けるべき動向として現在、暫定停止中の輸出管理規則(EAR)上の「関連事業体ルール」(2025年9月30日記事10月3日記事10月31日記事参照)や、今後、米国議会で可決される可能性がある「MATCH法案」(2026年4月20日記事参照)について紹介した。また関税について、7月24日から適用が開始された301条関税(2026年7月24日記事7月31日記事参照)について解説した。

(和田拓己)

(日本、米国、中国)

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