米議会中国特別委、中国のAI半導体は米国に依存し一層の規制強化が必要と提言
(米国、中国)
ニューヨーク発
2026年04月20日
米国連邦議会下院の「米国と中国共産党間の戦略的競争に関する特別委員会」は4月16日、中国による半導体生産体制と人工知能(AI)開発に関する報告書を発表
した。報告書
では、中国のAI開発は米国の技術に依存しているものの、米国の輸出規制は政策と執行の両面で不十分なためこの優位性を活用できていないとし、法制度の一層の強化が必要だと提言した。
報告書では、米中両政府ともAIを国家安全保障上の最優先課題に位置付けているとした上で、中国は「単なる競争力のあるアプリケーションだけでなく、AIスタック(注1)全体を掌握したいと考えている」「将来の経済・軍事力を支える技術を党・国家の管理下に置くため、AI開発の自律性を追求している」と指摘した。そのAIスタックについては、先端半導体の生産に必要な製造装置(SME)が重要だと示した上で、過去の調査結果を引用しながら(注2)、中国のSME技術は、米国のアプライド・マテリアルズ、KLA、ラム・リサーチ、オランダのASML、日本の東京エレクトロンといった主要SME企業に後れを取っているとした。
その結果、現時点では、高度なAIプロセッサの中核をなす先端ロジック半導体と、データを高速で保存・転送するための積層・パッケージングが必要となる高帯域幅メモリ(HBM)の両分野で、米中間には依然として顕著な差があると指摘した。具体的には、中国の中芯国際集成電路製造(SMIC)は先端ロジック半導体を、長鑫存儲技術(CXMT)はHBMをそれぞれ量産できていないことから、華為技術(ファーウェイ)などが開発するAIプロセッサは、米国のエヌビディア製品には及ばないと紹介している。これらを踏まえ、「中国のAIの進歩は、依然として西側からの供給に依存している」と結論付けた。
一方で報告書は、「SME、AI半導体、そしてAIそのものに対する米国の輸出規制は、対象が広範であると誤解されている」とし、実際には「一部の中国の半導体企業に対してのみ制限されており、それ以外の中国国内のどこへでも出荷可能」「規制は最先端のデータセンター用半導体のみを対象としており、中国のロボット工学の進歩を支えている最先端AI半導体は除外されている」「クラウドを経由した半導体へのアクセス制限は存在しない」(注3)と指摘し、「米国とその同盟国は、これらの抜け穴を早急に塞ぐ必要がある」と提言した。
報告書が提案した、可決すべき具体的な法案は次のとおり。
- 同盟国に対し、米国と足並みをそろえた制限措置を講じるよう求め、外国直接製品(FDP)ルール(注4)、米国製部品の最低含有率に基づく規制、最終用途規制を通じて輸出規制を強化する「MATCH法案」
- 懸念国向け先端AI半導体輸出に許可を義務付ける「AI OVERWATCH法案」
- 中国の生産能力に基づいて半導体輸出を規制する「SCALE法案」
- 商務省産業安全保障局(BIS)に、クラウドへのアクセスを制限する権限を与える「リモートアクセスセキュリティー法案」
中国特別委のジョン・ムーレナ―委員長(共和党、ミシガン州)は、報告書の発表と同時に行われた公聴会
で、「米国がAI競争において決定的な優位性を維持することは不可欠だ」とし、「議会の任務は、中国が合法・違法を問わず米国の技術基盤を入手し、それをわれわれに対して利用しようとする多角的な試みを阻止する法案を可決することだ」と述べた。
(注1)AIシステムの開発や管理を支えるインフラや基盤。
(注2)中国特別委は2025年10月に、中国の半導体生産能力と米国などのSME企業との関係に関する報告書を発表している(2025年10月9日記事参照)。
(注3)報告書では、中国企業がマレーシアやシンガポールなど中国外にあるデータセンターを通じて最先端の半導体チップにアクセスしており、実質的に米国の対中先端AI半導体輸出規制を回避していると指摘している。
(注4)米国外で生産された製品であっても、特定の米国製の技術・ソフトウエアを用いて生産された場合に、輸出許可が必要となる規則。
(赤平大寿)
(米国、中国)
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