処方箋薬ユーザーフィー法改正を議論、創薬・バイオ分野の国際展示会「BIO 2026」
(米国)
ニューヨーク発
2026年07月09日
世界最大級の創薬・バイオ分野の国際展示会「BIO 2026」が6月22~25日に、米国カリフォルニア州サンディゴで開催された(2026年7月9日記事参照)。会期中の6月24日には「処方箋薬ユーザーフィー法(PDUFA)」改正(第8次処方箋薬ユーザーフィー法)に何が期待できるか」と題するパネルセッションが開催され、展示会主催者のバイオテクノロジーイノベーション協会(BIO)のPDUFA交渉担当者らが登壇し、バイオ医薬品開発企業にとっての留意点などを議論した。
PDUFAは、1992年に成立した法律で、米国食品医薬品局(FDA)が医薬品審査の申請者から手数料を徴収することを認めるもの。この法律によりFDAの財源は拡大し、2025年には本手数料が同局予算の約50%を占めている(注1)。PDUFAは5年ごとに再承認が必要で、現行の第7次PDUFAは2027年9月まで、第8次PDUFAは2028~2032年までと定められている。
企業が医薬品審査の迅速化のためにFDAに手数料を支払っていることから、産業界はPDUFAの更新にあたって、規制の予見可能性の向上や各種政策に関する取り組みについてFDAと協議できる。FDAとの協議は通常、業界団体大手のBIOと米国研究製薬工業協会(PhRMA)が行う。その後、FDAが書簡を連邦議会へ提出する。今回の書簡提出期限は2027年1月15日までとなっており、議会は現行制度が失効する2027年9月までに法案を可決する必要がある。現状、予備的な交渉は2026年5月15日に終了したが、提出前の内部修正や議会向け文言の起草が残っている。
パネルセッションの様子(ジェトロ撮影)
パネルセッションでは、第8次PDUFAに盛り込まれる内容について議論した。BIOのバイスプレジデントのスティーブ・バーマン氏は、BIOがFDAとの交渉に際し、規制の透明性、予見可能性、およびFDAと申請企業のコミュニケーションという枠組みに焦点を置いていると指摘した。一方で、PDUFA交渉においてBIOを代表したアネッタ・ボーレガード氏は、FDAは交渉において、米国で第I相臨床試験を開始する場合の申請料の50%の割引、米国の中小企業向け免除措置、希少疾病用医薬品(オーファン・ドラッグ、注2)の申請に対するインセンティブなど、「米国第一に基づく提案が示された」と述べた。
パネルではまた、「トライアル・ブレイザー(Trial Blazer、注3)」パイロットプログラムについても議論した。登壇者らは、これらがPDUFAに盛り込まれる可能性が高いとみており、実現した場合、米国での臨床試験実施の魅力が高まると指摘した。
バーマン氏はまた、新薬を研究段階から患者に届けられる量産段階へと橋渡しする「化学・製造・品質管理」(CMC、注4)のプロセス上の問題により、初回審査で申請が却下される事例を特に注目すべき問題として挙げた。その上で、審査前および審査中に意見交換の機会を増やすことで、申請者が却下される前に問題を解決できるようになると述べた。
産業界とFDAの交渉を経て書簡が議会に提出された後、議会は第8次PDUFAの内容を最終決定する。議会が内容を追加することも可能だ。登壇者らは、初期段階の臨床開発に関する中国との競争力(2026年3月26日記事参照)、医薬品価格(2026年4月28日記事参照)、希少疾患分野などに関する政策課題を、議会が法案に追加する可能性があると指摘した。
(注1)FDAの予算概要については、2026年4月17日記事参照。
(注2)希少疾患を治療するための医薬品。商業的な採算が取りにくいことが多いため、開発を促進するための各種インセンティブや法制度が整備されている。
(注3)米国保健福祉省が6月22日に発表した。第I相臨床試験の迅速化と、米国内での臨床試験実施の促進を目的としている。
(注4)CMCの不備は、医薬品申請が却下される主な理由。一般的な却下理由としては、施設検査に関する問題、製品中の不純物、および安定性データが挙げられる。
(大垣ジャスミン)
(米国)
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