米FDAが2027会計年度予算案を公表、先進的医薬品の製造加速に向け増額要求
(米国)
ニューヨーク発
2026年04月17日
米国トランプ政権が4月3日に発表した2027会計年度(2026年10月~2027年9月)の予算教書によれば、ライフサイエンス分野では、保健福祉省(HHS)の予算に、2026年度比12.5%減となる1,111億ドルを要求した(2026年4月15日記事参照)
。その中で、食品医薬品局(FDA)に対しては72億ドル(2026年度予算比3.3%増)を要求した。FDAは4月上旬、予算の使途の詳細や複数の立法案を盛り込んだ予算説明書
を議会に提出した。
FDAの予算説明書によれば、先進的な医薬品製造加速のため前年比900万ドル増を追加で要求した。これらのプログラムは、米国内に新規または先進的な医薬品製造施設を設立し、国内の医薬品サプライチェーンを強化することを目的としており、主な内容は次のとおり。
- 規制基準を満たす既存の非臨床データおよび検証済みの新しいアプローチ手法が存在する場合、第I相臨床試験向けに、任意のリスクベースの迅速な治験薬(IND)承認プロセスを確立する(注1)。これにより、規制上の負担と動物実験への依存を軽減でき、中小のバイオテクノロジー企業が参入しやすくなる。
- FDAが虚偽または誤解を招くと判断した、消費者向けに直接広告を行っている医薬品について、食品・医薬品・化粧品法(FD&C法、注2)第502条に基づき、不正表示医薬品として認定する。さらに、調剤医薬品の広告においては、FDAによる承認または評価を受けていないことを消費者に対して目立つように開示する。
- 特定の状況下において、国内のジェネリック医薬品メーカーが海外のメーカーよりも早く簡易新薬申請(ANDA)を提出できるようにし、180日間の独占権を取得できるようにする。これは、2025年10月に実施された、米国で製品の試験および製造を行うジェネリック医薬品メーカーを優先するパイロットプログラムに続くもの。
- 米国内の健康リスクをもたらす輸入製品の廃棄を義務付けるため、FD&C法第801条を改正する。現在、輸入業者はFDAによって輸入が拒否された製品を90日以内に再輸出することが可能になっているが、これを認めないことで、当該医薬品の再輸入を防げる。
- 公衆衛生サービス法第351条の改正により、バイオシミラー(バイオ後続品)の承認および審査を効率化する。申請者は、既に承認された生物学的製剤に関するFDAの過去の知見や公表された文献を根拠として、より迅速な承認経路を利用できるようになる。
- 偽装、誤表示、またはその他の違反行為のある輸入医療機器に対処するための監督権限を強化し、国内の品質基準への準拠を高める。
なお、これらの提案はすべて議会の承認を得る必要がある。FDAは今回の提案について、医薬品承認に関する規制緩和、医薬品製造の米国内回帰の促進、FDAの執行権限の強化、というFDAの方針に合致するものだと説明している。
(注1)第I相臨床試験は、新規候補薬の安全性と投与量を見極める初期段階の調査研究。INDの第I相臨床試験申請には、製造に関する情報、動物実験のデータ、および臨床試験の概要の提出が必要。新たに提案されている迅速化IND申請は、規制要件の緩和、動物実験への依存度を低減、医薬品開発コストを削減、ならびに国際的な競争力強化を目的としている。
(注2)FDAが食品、医薬品、化粧品、医療機器の安全性を監督・規制するために1938年に制定された包括的な法律。
(大垣ジャスミン)
(米国)
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