ジェトロ、米・EU向け越境ECの物流に関するウェビナーを開催
(日本、米国、EU)
デジタルマーケティング部ECビジネス課
2026年07月08日
ジェトロは7月3日、「越境ECセミナーシリーズ(市場調査編)第2回」と題して、越境EC(電子商取引)商流の概要と米国・欧州物流の最新動向に関するウェビナーを開催した。講師として、ECMSジャパン代表取締役の小松英樹氏が登壇し、日本企業を中心におよそ280人が参加した。
物流や通関対応は、越境EC販売事業者にとって重要度の高い課題だ。ジェトロが実施するJAPAN STOREプログラムの参加者に対するアンケートで、米国・英国アマゾン(Amazon)販売に取り組む事業者に自社の課題を聞いたところ、52%が「物流や通関、関税支払い、返品にかかるリスク」と回答した。
小松氏は、越境ECの関税支払いについては関税込み持ち込み渡し(DDP、注1)と仕向け地持ち込し渡し(DAP、注2)の2つの形式があるものの、DAPは輸入税が代金引き換えとなり、顧客満足度に影響を及ぼすほか、荷物の受け取り拒否につながる可能性があることを指摘した。近年はイーベイ(eBay)やウォルマート・マーケットプレイス(Walmart Marketplace)といったECモールにおいて、DDPで配送することが指定されており、対応を迫られる企業も多い(2025年10月9日記事参照)。
米国の物流最新動向については、米国消費者製品安全委員会(CPSC)の最終規則(16 CFR Part 1110)として、7月8日から適用される輸入者による米国税関・国境警備局(CBP)への電子申告(eFiling)の義務化について言及した。また、米国の非課税基準額(デミニミス)ルール廃止の影響に関して、「関税額を商品価額に上乗せしても、価値の高い商品の需要減退は感じなかった」とする企業の声が複数あったことから、越境ECは価格競争ではなく、価値競争の時代に移行することを示唆した(2025年10月27日記事参照)。
EUの物流最新動向としては、EUに輸入される150ユーロ未満の小包(少額小包)に対し、7月1日から対象品目ごとに3ユーロの関税が課せられる変更について説明した(2025年12月17日記事参照)。製造者が主体となってストック・キーピング・ユニット(SKU、注3)・型番・標準バーコードなどの製品識別情報や原産国情報の提供を行う必要があり、申告の正確性が求められると述べた。
小松氏は、これらの制度変更は、中国系ECを中心とした越境ECおよび消費者直送型出荷の増加により、越境ECが個人消費から大規模な流通チャンネルに拡大し、低価格商品や安全基準を満たさない商品が増加したことが背景にあると説明した。少額・少数ゆえに特例が存在した越境EC輸入が、今後、規制・安全試験・税負担における一般貿易との不均衡是正のため、一般貿易と同様の輸出入制度が適用される傾向に注視が必要だ。
セミナー後に実施したアンケートで、今後1年で取り組みたいことを聞いたところ、42%の回答者が「輸出のための準備(輸入規制対応、配送業者選定、税務対応など)」と回答した。本セミナーに参加した事業者からは、「目先の対応だけでなく、変化の激しい状況で今後を見据えた準備の視点を得られた」といった声が寄せられた。
本ウェビナーのアーカイブは、ジェトロウェブサイト(ウェビナー/WEBセミナー)において公開されている。
(注1)関税・税金がセラー負担となる配送方式。
(注2)関税・税金がバイヤーに請求される配送方式。
(注3)受発注や在庫管理を行う際の最小の管理単位。
(清野華蓮)
(日本、米国、EU)
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