EU、150ユーロ未満の少額小包に3ユーロの関税を課すことで合意、2026年7月1日から

(EU)

ブリュッセル発

2025年12月17日

EU理事会(閣僚理事会)は12月12日、現在EUに輸入される際に関税が免除されている150ユーロ未満の小包(少額小包)に対し、2026年7月1日から3ユーロの関税を課すことで合意した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

今回の関税は、輸入ワンストップショップ(IOSS、2021年6月30日記事参照)に登録済みの非EU販売業者が取り扱うすべての少額小包を対象とする。関税は、少額小包に含まれる商品の関税分類に応じた品目ごとに課される。このため、同一の小包に、複数の品目が含まれる場合、その品目ごとに3ユーロが課されることになるとみられる。

関税の賦課は、関税免除措置が廃止されるまでの暫定措置となる。EU理事会は既に、少額小包を対象とした関税免除措置を廃止し、他の輸入品と同様に通常の関税を課す方針を決定している。ただし、少額小包は取扱量が膨大であることから、関税免除措置の廃止は、EUの共通データベース「EU関税データ・ハブ」の運用開始後となる。EU理事会と欧州議会は、EU関税データ・ハブの導入を含む関税制度の改革法案(2023年5月18日記事参照)を交渉しており、2028年にもEU関税データ・ハブの運用開始と関税免除措置の廃止が行われる見込みだ。

強化が進む少額小包対策の背景には、アリエクスプレス(AliExpress)、テム(Temu)、シーイン(Shein)といった中国発の越境EC(電子商取引)プラットフォームの存在がある。こうしたプラットフォームを通じた輸入は急増しており、その多くは関税免除措置の恩恵を受ける少額小包であることから、EU企業は不公平な環境での競争を強いられているとされる。また、EU規制に適合しない有害な製品の摘発も課題となっている。そうした中で、欧州委員会は既に少額小包に対するEU適合性検査を強化している(2025年2月7日記事参照)。

なお、改革法案では、今回の措置とは別に輸入品に対する取扱手数料の導入も審議されている。これは、加盟国の関税当局が負担する費用の増大に対応したものだ。EU理事会は、取扱手数料を2026年中に導入する方針を示している。

(吉沼啓介)

(EU)

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