パキスタン中銀、金融政策決定会合で政策金利を11.5%に据え置き
(パキスタン)
カラチ発
2026年06月18日
パキスタン中央銀行(SBP)は6月15日、金融政策決定会合(MPC)を開催し、政策金利を11.5%に据え置くと発表した。前回4月会合では10.5%から11.5%への利上げが決定されたが(2026年4月28日記事照)、インフレ率の上昇と景気減速の兆しが併存する中、現行の金融引き締め姿勢が中期的な物価安定に適切と評価された。慎重姿勢を維持しつつ、さらなる引き締めとはならなかった。
背景として、米国・イラン間の停戦合意進展など(2026年6月15日記事参照)による原油価格の落ち着きを楽観視する見方や、輸入インフレ圧力の緩和期待が挙げられる。ただし、依然として物価水準は中東情勢の不安定化前より高く、インフレ率は5月に前年比11.7%まで上昇(2026年6月5日記事参照)しており、物価の高止まりやインフレのさらなる進行への警戒感は払拭されていない。
また、SBPの発表によると2025/2026年度(2025年7月~2026年6月)のGDP成長率は3.7%と前年度の3.2%を上回るが、高インフレや緊縮政策の影響により景気は減速傾向にある。特に製造業やサービス業に中東情勢の波及がみられ、農業についても天候不安が先行きの下振れ要因とした。対外面では、輸入増加により経常収支は一時的に赤字となったが、活発な海外送金(2026年6月16日記事参照)やIMF支援の継続により外貨準備は170億ドル台まで回復し、マクロ経済の安定性は維持されている。政府も基礎的財政収支の黒字確保を掲げ、財政規律の維持を図っている。一方、インフレは当面2桁台で推移する見通しで、ガソリン価格、電力・ガス料金、食料価格などは、地政学リスクの間接的な影響を受けやすい構造に変わりはなく、段階的なインフレ緩和を期待するには中東情勢の安定が前提となる。
進出日系企業にとっては、中東情勢安定化の兆しは一定の安心材料ではあるものの、高金利・高インフレ環境の長期化がコスト増や国内需要の抑制につながる可能性がある。外貨準備は一定水準で維持されているが、一部日系企業からは外貨送金の承認取得に通常より時間を要したケースがあったとの声もある。原油価格や為替動向が外貨準備の増減に直結し、政策判断に大きく影響する傾向を踏まえ、中東情勢の行方やエネルギー価格の変動には引き続き高い関心が向けられている。
(糸長真知)
(パキスタン)
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