5月の郷里送金受取額、過去最高水準に到達

(パキスタン)

カラチ発

2026年06月16日

パキスタン中央銀行(SBP)は6月10日、5月の海外送金(郷里送金)受取額が、前年同月比15.4%増の43億ドルになったと発表した。前月比でも20.2%増と大幅な伸びを記録した。2025年7月から2026年5月までの累計では381億ドルに達し、前年同期の349億ドルを9.2%上回り、郷里送金が変わらず増加傾向にあることを示した。

湾岸諸国は送金全体の半分近くを占める主要な資金供給源

送金元では、サウジアラビアがトップの約10億2,500万ドル、続いてアラブ首長国連邦(UAE)が約10億660万ドルと、前月に続き2カ国で全体の半分近い約47%を占めた。続いて、英国の約6億4,550万ドル、米国の約3億4,980万ドルとなった。

5月海外送金受取額の43億ドルは単月で過去最高水準に達しており、海外在留パキスタン人による送金が引き続き同国の対外収支を支える重要な要素となっている。送金上位国は従来からパキスタンの送金基盤の中核を担っており、とりわけ湾岸地域への労働者依存構造があらためて確認される結果となった。

月次データをみると、海外送金額は、2024年12月以降は30億ドルを下回ることなく推移しており、おおむね月ごとの輸出歳入を上回っている(注)。足元では2026年4月の35億ドル台から5月には40億ドル超へと急増するなど、犠牲祭と呼ばれるイスラム教の宗教祝日(5月26~28日)の季節要因も反映した上振れが確認される。

パキスタンの郷里送金は、政府による送金インセンティブなどの政策誘導や、中東地域でのインフラ開発などに係る底堅い労働力需要を背景に、近年増加傾向を維持している。また、2020年以降コロナ禍で人々の海外往来が困難になったことを契機に、出稼ぎ労働者によるデジタル送金が普及したことで、送金の見える化が進んだ事実もある。2026年5月の送金額が過去最高額に達したのみならず、この傾向が続けば2025/26年度(2025年7月~2026年6月)通期でも過去最大規模に迫る見通しだ。郷里送金は外貨収入の柱として、同国経済の安定に引き続き重要な役割を果たすことが見込まれる。

(注)パキスタンの2026年4月の輸出歳入は約24億8,000万ドル(暫定値)。

(糸長真知)

(パキスタン)

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