5月のインフレ率11.7%に、5カ月連続で加速

(パキスタン)

カラチ発

2026年06月05日

パキスタン計画・開発省統計局(PBS)は6月1日、5月の消費者物価指数(CPI)上昇率(インフレ率)が、前年同月比11.7%になったと発表した(添付資料図参照)。インフレ率は、前月の10.9%から一段と加速し、物価上昇圧力が継続していることが確認される。地域別では都市部が11.8%、農村部は11.5%といずれも高水準にあり、全国的なインフレ傾向が確認された。

インフレ率は2025年後半以降、緩やかな上昇基調に転じており、特に2026年1月以降、5カ月連続で加速傾向にある。PBSによると、2025年7月から2026年5月までの平均インフレ率は約6.7%と前年同期(4.6%)を上回っており、年間を通じた物価上昇圧力の強まりも認められる。中東情勢の不安定化で原油価格や輸入コストが増加していることに加え、これに連動して内陸輸送費調整マージン(IFEM:Inland Freight Equalization Margin、注)も上昇しガソリン小売価格に上乗せされるため、ガソリン価格の上昇フェーズでは消費者の負担感はより大きくなる。

品目別にみると、輸送関連が前年同月比36.8%と大幅に上昇し、燃料価格の上昇が依然として物価全体を押し上げている。また、住宅・光熱費も16.8%上昇し、日々の生活に必要な支出への負担が拡大している。生鮮食品はマイナス3.0%と下落する一方で、加工食品や保存食品などの非生鮮食品は9.4%と上昇を続けており、食料価格全体ではばらつきが目立つ不安定な動きが確認された。特に小麦(都市部62.2%、農村部63.4%)や小麦粉(都市部54.4%、農村部62.7%)の価格高騰は顕著で、小麦由来食品の値上がりの家計への影響が大きい。生鮮食品以外では唯一、レクリエーション・文化費が0.2%下落し、前月と同様に昨今の消費者の節約・在宅志向を映している。例えば、パキスタンの大学の多くは、政府が緊縮措置の導入を発表して以降(2026年3月12日記事参照)オンライン講義を取り入れ始めている。現在は金曜日の授業を完全オンラインに切り替え、在宅による一部緊縮対応を続けている。

インフレの加速傾向は、エネルギー・輸送を主因とするコストプッシュ型であり、中東情勢次第では今後も高止まりが続くとみられる。6月15日に予定される金融政策決定会合では、インフレ抑制を最優先した追加的な金融緊縮策が取られるかが注目され、需要抑制が景気の下押し圧力を強める可能性がある。

(注)内陸輸送費調整マージン(IFEM)は、パキスタンで地域間の石油製品価格を均一化するための制度。原油の製油所への輸送費および石油製品の国内流通に要する費用を全体で負担するように調整する仕組み。

(糸長真知)

(パキスタン)

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