4月28日から政策金利を引き上げ
(パキスタン)
カラチ発
2026年04月28日
パキスタン中央銀行(SBP)は4月27日、金融政策決定会合(MPC)を開催し、政策金利をこれまでの10.5%から11.5%に引き上げ、28日から適用すると発表した。今回の会合は、中東地域における地政学リスクの急激な高まりを背景に、国内のインフレ動向と金融・為替安定化への対応が注目される局面で実施された。SBPは、経済成長の持続性、公的債務の返済、国際金融環境の変化などを勘案し、インフレ抑制を優先する引き締め姿勢を維持した。
MPCの政策金利引き上げ決定の背景として、中東情勢を受けた原油・天然ガス価格の上昇が挙げられる。輸入エネルギーへの依存度が高いパキスタンでは、これに起因するコストプッシュ型のインフレ圧力が高まり、政府は一部で緊縮措置を取っていた(2026年3月12日記事参照)。2026年3月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比7.3%となり、2025年12月の同5.3%などに比して段階的な上昇基調が確認されていた。特に、燃料・電力価格の高騰が輸送費や生活必需品価格に波及するなど、SBPがインフレ再上昇を警戒する要因となっていた(2026年4月6日記事参照)。
IMF融資継続の条件に対応すべく外貨準備高の確保が課題
パキスタンは2026年に過去に発行した複数の外国債の返済期限を迎え、外貨準備高の確保は優先課題だ。こうした中、4月に満期を迎えたアラブ首長国連邦(UAE)政府からの約35億ドルの債務について、政府は外貨準備高の一部を充当し、4月23日までに同債務を全額返済した。その結果、4月24日時点で外貨準備高は約158億ドルとなったが、今後予定される融資などで6月までに輸入債務の約3.3カ月分相当の約180億ドルが確保されるとしている。IMFは、この「外貨準備高180億ドルの維持」を融資継続の前提条件として提示している。一方、UAE向け債務返済に先立ち、サウジアラビアはパキスタンの外貨流動性悪化を防ぐ観点から、新たに30億ドルの融資供与と、既存の約50億ドル債務の繰り延べ継続を決定し、融資資金は4月20日までに送金が完了していた。
パキスタン政府はインフレ抑制に向けて金融引き締め策を維持しながら、ユーロ債など市場からの新たな外債の調達、郷里送金(注1)やIMFの融資プログラム(注2)などを活用しながら、IMFの融資継続条件を堅持する姿勢を示している。
(注1)2026年3月の郷里送金額は38億ドルと前月比16.5%増で、2025/2026年度(2025年7月~2026年6月)の9カ月累計(2026年3月まで)では前年同期比8.2%増と、堅調な動きを示した。
(注2)IMFは2026年3月上旬、パキスタン向け約70億ドルの追加融資プログラム(2024年9月30日記事参照)に関する第3回レビューを終了し、第3弾となる10億ドルの融資についてスタッフレベルで合意した。現在、5月初頭に予定されるIMF理事会での最終承認を待つ段階。
(糸長真知)
(パキスタン)
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