パキスタンの4月CPI上昇率は前年同月比2桁台、中東情勢を背景に

(パキスタン、中東)

カラチ発

2026年05月07日

パキスタン計画・開発省統計局(PBS)は5月1日、4月の消費者物価指数(CPI)上昇率(インフレ率)が、前年同月比10.9%と2桁台になったと発表した(添付資料図参照)。インフレ率が2桁となるのは2024年7月(11.1%)以来で、物価上昇圧力の再燃が確認された。前年同月の2025年4月は、緊縮財政の影響を受けて0.3%と過去最低水準にとどまっていたことから、その反動に加え、中東情勢の緊迫化などを背景としたエネルギー輸入コストの上昇が、足元のインフレ加速の要因となっている。

品目別にみると、生鮮食品が前年同月比10.3%上昇したほか、住宅関連費(家賃・水道・電気・ガスなど)は16.8%上昇、輸送費は燃料価格の高騰を反映して29.9%の高い伸びとなり、これらが全体のインフレ率を押し上げた。輸送費の上昇は都市部で32.2%、農村部で26.3%と地域間で差がみられる。他方、燃料価格高騰に伴う家計の節約志向の強まりがある中、レクリエーション・文化費は5.1%下落し、主要項目の中で唯一マイナスとなった。

足元の物価上昇には、燃料価格の引き上げが大きく影響している。中東情勢の緊迫化以降、ガソリン価格は上昇傾向が続き(2026年3月12日2026年4月6日2026年4月15日記事参照)、政府は直近4月末にもレギュラーガソリンやディーゼル燃料価格の引き上げを承認した。その結果、両燃料の小売価格はいずれも1リットル当たり約400パキスタン・ルピー(約240円、1パキスタン・ルピー=約0.6円)前後の水準に達しており、輸送コストを通じて食料品や各種サービス価格への波及が進んでいる。

4月のインフレ率発表に先立つ、4月27日のパキスタン中央銀行の金融政策決定会合(MPC)では、食品・エネルギーを除くコアインフレ率の上昇も背景に、政策金利は10.5%から11.5%へと1.0ポイント引き上げられた(2026年4月28日記事参照)。MPCは外部環境の不確実性を背景に、インフレ率の加速傾向に警戒を強めている。

(糸長真知)

(パキスタン、中東)

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