パキスタン、米・イランの停戦協議不調、国内エネルギー価格の先行きに不安
(パキスタン、中東)
カラチ発
2026年04月15日
パキスタンの首都イスラマバードで4月11日、米国およびイランの代表団による停戦協議が開催された。同協議はパキスタン政府の仲介の下、約24時間にわたり断続的に行われ、双方は緊張緩和に向けた対話を継続する重要性について一定の認識を共有した。しかし、停戦条件をめぐる双方の主張の隔たりは埋まらず、即時停戦の合意には至らなかった(2026年4月13日記事参照)。パキスタンのムハンマド・イスハーク・ダール副首相兼外相は協議終了後、同国として引き続き米国・イラン間の仲介役を担う決意をあらためて表明した。
今回の協議には、米国とイランからそれぞれ高官が出席し、パキスタン側はダール副首相に加え軍首脳が仲介人として同席した。停戦実現を目的に当事者双方が同じテーブルについたこと自体は、対話の必要性に関する一定の認識共有が図られた点で意義があったと捉えられる。一方、協議が不調に終わったことで、軍事的緊張は解消されておらず、ホルムズ海峡は依然として閉鎖された状態が続いている。エネルギー供給の要衝である同海峡の機能停止は、原油および液化天然ガス(LNG)の国際価格の高止まりを招いており、パキスタン国内のエネルギー情勢の先行きにも不安の影を落としている。実際、情勢の不安定化以降、パキスタンのガソリン小売価格の急騰に加え、ジェット燃料価格はそれ以前の2.8倍、航空運賃は平均約1.6倍と上昇が続いており、家計や経済活動に負担が生じている(添付資料表1~3参照)。
今後も停戦協議に進展が見られず、紛争が長期化する場合、エネルギー市場の不安定化がさらに拡大する恐れがある。こうした中、パキスタン政府が示す仲介継続の姿勢は、中東地域の緊張緩和に向けた数少ない外交的チャンネルの1つとして意味を有する。ダール副首相は協議後、「当事者双方が、停戦へのコミットメントを引き続き順守することが不可欠」と強調し、対話継続への期待を表明した。
(糸長真知)
(パキスタン、中東)
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