米USTR、タイの農業・知財・労働に焦点を当て貿易障壁を指摘、2026年外国貿易障壁報告書(タイ編)

(タイ、米国)

バンコク発

2026年04月08日

米国通商代表部(USTR)は3月31日、「外国貿易障壁報告書(NTE、2026年版)」を公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、タイとの取引障壁を取り上げた。NTEは、米国企業にとって障壁となる外国の貿易慣行などをまとめ、1985年以降毎年公表している。今回は63カ国が対象となっている(2026年4月2日記事参照

まず農業分野では、豚肉についてラクトパミンの最大残留基準が設定されておらず、実質的に輸入が禁止されている状態にあると指摘した。これを理由に、米国はタイ向けGSP(一般特恵関税制度)の免税措置を一部取り消している(2020年11月5日記事参照)。加えて、β(ベータ)作動薬で処理された牛肉の内臓に対する輸入制限のほか、高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)に関連した家禽(かきん)の輸入禁止が頻繁に行われている点を障壁として挙げている。加工肉についても、新製品に関する輸入プロトコルの策定の遅れが問題視されている。

知的財産では、米国の2025年版スペシャル301条報告書(2025年4月30日記事参照)で、タイを監視国リストに指定。オンライン著作権の侵害、偽造品の販売(バンコク市内のMBKモールなど)、無許可の著作権管理団体、医薬品特許出願の遅延などへの懸念をNTEで改めて示した。

労働・環境面でも、結社の自由と団体交渉権に関する懸念のほか、アジア・アフリカ・中南米産の野生生物の違法取引の供給源・経由地・目的地となっているとした。米国トランプ政権は3月12日、タイを含む60カ国に対して強制労働に依拠した製品輸入の有無について、1974年通商法301条に基づく調査を開始している(2026年3月13日記事参照)。

障壁撤廃に向けた取り組みとして、NTEは米国とタイの両国間で2025年10月に合意された相互貿易協定(ART)に関する枠組み合意に言及した。同合意では、上記の指摘事項の一部に加えて、自動車の安全基準や米国産エタノールの輸入許可、汚職撲滅に向けた関税法改正などについて、タイ側の取り組みが盛り込まれている(2025年11月7日記事参照)。

(藪恭兵)

(タイ、米国)

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