米USTR、BIS規制は輸出障壁に、2026年外国貿易障壁報告書(インド編)
(米国、インド)
調査部アジア大洋州課
2026年04月10日
米国通商代表部(USTR)は、3月31日に公表した2026年版「外国貿易障壁報告書(NTE)」
(2026年4月2日記事参照)で、インドとの貿易について、19ページにわたって米国が問題視する政策や慣行を詳述した。詳細は次のとおり。
関税について、インドの2024年の一般(MFN)関税率の平均適用関税率は16.2%で、非農産品は同13.0%、農産品は同36.7%だった。品目別では、植物油やトウモロコシ、自動車(二輪車を含む)、天然ゴム、コーヒー、アルコール飲料など、広範囲の品目に対して45~150%の高関税を課しているほか、世界保健機関(WHO)の必須医薬品リストに記載の医薬品製剤(完成医薬品を含む)に対し、最大20%超の基本関税(Basic Custom Duty、BCD)を課していると懸念を示した。
特に、農産物に対する譲許税率(注)は世界最高水準であり、平均で113.1%、最高で300.0%に達しているとした。また、譲許税率と実効税率に大きな乖離があり、農産物・非農産物のいずれについても、インド政府が随時、関税率を変更する裁量権を有していることから、米国の農家や輸出業者にとって、多大な不確実性を生み出しているとした。
一方で、このような制度上の柔軟性を生かすかたちで、インド政府は過去に関税率の引き下げを行っている。2025年度(2025年4月~2026年3月)予算案では、電気自動車(EV)や携帯電話用バッテリー製造用の原材料・部品ほか、リチウムイオン電池スクラップなどの重要鉱物、オープンセルディスプレーなどの特定の電子部品などについて適用関税を引き下げている。
技術的貿易障壁については、品質管理命令(QCO)が取り上げられた。インド政府はQCOを通じて、化学、電子機器、医療機器の構成部品、繊維などさまざまな分野でインド規格局(BIS)による認証取得を義務付けている〔詳しくは、「インド標準規格局(BIS)強制認証制度の概要」を参照〕。QCOは完成品に加え、原材料や中間財なども対象としていることから、サプライチェーンを混乱させる可能性があると懸念を示した。また、BIS規格については国際規格と完全に整合しておらず、インド側が国際規格の無効または不適切であることを立証していないこと、適合性を確認するために著しく負担がかかること、移行期間や認証の有効期間に関する明確なスケジュールが欠如している点を指摘した。インド政府は2025年に、一連のQCOの撤回・延期を実施したが(2025年11月21日記事参照)、引き続き医療機器や化学製品、電子機器、農産物など米国の主要輸出品目に対してQCOが発効されている点について懸念を表明した。
インドと米国は2025年2月、2国間貿易協定(BTA)の交渉開始を発表した。2026年2月6日には、BTAに向けた暫定的な枠組みに合意(2026年2月10日記事参照)しており、NTEでも今後双方が最終合意に向けて取り組むとする姿勢が紹介された。
(注)WTO加盟国が、ある一定率以上の関税を課さないことを約束する税率のこと。
(深津佑野)
(米国、インド)
ビジネス短信 8f6ba19af9b3bf0d





閉じる