インド標準規格局(BIS)強制認証制度の概要:インド

質問

日本で製造した製品をインドに輸出します。日本側で必要となるインド固有の手続きがあると聞きましたが、制度と手続きの概要について教えてください。

回答

インドの国家規格機関であるインド標準規格局(BIS: Bureau of Indian Standards)が定める強制認証品目に該当する日本製品をインドに輸出し、またはインド国内で販売する場合、BISによる認証を取得する必要があります。製造業者自身が申請をする必要があり、インド国内の輸入業者が申請を代行することはできません。工場ごと、製品ごとに個別の申請が必要です。強制認証品目は年々拡大していることと、手続きには一定の時間(BISの案内によると平均6カ月)を要することから、自社製品について認証を取得する必要があるかどうかご確認ください。

I. インド標準規格局(BIS)強制認証制度の概要

  • インド標準規格(BIS)の基本情報

    インド標準規格局(BIS)は、インドの国家規格機関であり、製品の品質・安全性・性能に関する規格・認証制度を運営しています。
    BISの認証制度には、任意認証と強制認証の二つのカテゴリがあります。任意認証は製品の製造者が自発的に取得するものであるのに対し、強制認証は特定の製品に対して製造者の取得を義務付けています。強制認証製品に該当する場合は、BISによる認証を取得しない限りインドに製品を輸入し、またはインド国内で製品を販売することができません。

  • 法的根拠と関連法規
    1. 2016年インド標準局法:BISの設立と運営に関する基本法
    2. 2018年インド標準局(適合性評価)規則:適合性評価の手続きを規定
    3. 品質管理命令(QCO: Quality Control Orders):強制認証対象製品の範囲とその取得期限を規定

II. 認証対象品目

  • 強制認証の対象となる品目の種類

    強制認証の対象品目は年々増加しています。自動車部品、電気製品、化学製品など幅広い製品が含まれます。これらの製品はBISの認証を取得しない限り、インドに輸入・インドにて販売することができません。また、強制認証対象品は過去急速に拡大されてきました。インドに製品・商品を輸出している企業におかれては、すでに輸出している製品が強制認証対象品に該当しないかも含めて随時以下の確認作業を行う必要があります。

  • 最新の品目リストの確認方法

    強制認証対象品目の確認方法として、つぎの4つの方法が考えられます。

    1. BISのウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで確認する方法:Conformity Assessment -> Product Certification -> Products Under Compulsory Certificationのセクションを参照
    2. QCOを確認する方法:QCOはインターネット検索エンジンによる検索で確認可能
    3. Indian Standard(IS)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照する方法
    4. 専門コンサルタントに照会する方法

III. その他の重要事項

  • 認証期限と異議なし証明書(NOC: Non-Objection Certificate)

    BIS認証手続きの所要期間は、FMCSのFAQコーナー( Frequently Asked Questions - Bureau of Indian Standards外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によれば平均6カ月との記載があります。計画的な申請手続きが推奨されます。
    また、QCOで定められた認証取得期限を遵守する必要があります。強制認証の対象となる製品については、QCO記載の期限までに認証を取得しなければ、インド国内に輸入・販売することができませんが、異議なし証明書(NOC)と呼ばれる書類を取得することで経過措置を得ることができます。
    手続きをスムーズに進めるために、必要に応じコンサルタントの利用も検討していただくようにお願いします。

  • 他国の認証との互換性の有無

    他国で取得した認証規格は、インド標準規格制度の認証に代替させることはできません。インドでの認証取得が必要です。

IV. 認証取得手続き

  • 認証申請の申請者

    申請者は製造業者で、インドの輸入業者等が申請を代行することはできません(FAQ-17外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。工場ごと、製品ごとの申請が必要です(同14)。

  • 認証申請の実務
    1. 強制認証の対象該否を確認:上述した手法等で、自社製品商品が強制認証対象品目かどうかを確認します。商品の品目ごとに適用されるスキームが異なり、日系企業はスキームI(Mark Scheme)、スキームII(Registration Scheme)への対応が重要です。ここでは工場監査を含むスキームIの流れを記載しますが、実際に手続きを行う際は自社製品を外国製造業者認証スキーム(FMCS: Foreign Manufacturers Certification Scheme)に照らして必要な手続きを必ず確認してください。
    2. 現地代理人の任命(外国製造業者の場合):日本法人を含む外国製造業者については、FMCSに従って申請を行いますが、その際に現地代理人(AIR: Authorized Indian Representative)を任命する必要があります。当該代理人は外国製造業者とインド側当局のコミュニケーションを円滑化したり、現地法令への遵守を徹底したりする役割が期待されています。
    3. 製品の試験と評価・必要書類の作成:FMCSの申請書に必要な書類外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを提出します。提出にあたっては、BIS認定試験所で製品が基準を満たしていることの確認が必要です。
    4. 書類審査後、登録する製品を製造する工場の監査(インドから人員を受け入れるため、インド側のスケジュールに時期は左右される)とインド国内の試験所にて商品試験を行い、登録が完了します。
  • 認証の更新時期について

    FMCSのライセンスは、当初1年以上2年以下の期間で付与されます。ライセンスの更新時の有効期限は、年間ライセンス料・Minimum Marking Fee(最低表示料、製造者がBIS認証マークを利用するために必要な使用料。価格はインド規格局のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで確認可能)の前払金等が支払われているかに応じて、1年間から5年間の期間で検討されます。

参考資料・情報

ジェトロ
「インド標準規格局(BIS)の強制認証、対象品目増加とその背景 | 地域・分析レポート」
「Q&A方式で把握するインド標準規格(BIS)強制認証の制度概要と対応策(2024年2月)」

調査時点:2024年9月

記事番号: J-240901

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